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真珠腫という病【その1】発覚

<振り返り記事>

ハジマリは学校での耳鼻科検診。
小学2年になった息子が持ち帰ったお知らせには
『右耳が高音(4000㎐)を聞き取れていないので耳鼻科で診察を受けるように』
と書かれていた。
高音だけだろうか…とちょっと片耳ずつ声掛けしてみたりして、とにかく耳鼻科へ。

耳鼻科の先生は診てすぐに
「中耳炎、ずいぶん前にやってるね、ここ1年、2年じゃないね」
と。

確かにタイで中耳炎になり病院へ行った。
治ったと言われたはず。でも完治していたのかは分からない。

片耳ずつ音の反応を見る機械にかけ、グラフがプリントアウトされた。
やはり右耳はさほど反応していないのが分かる。

先生から、人間の耳は10歳には完成されてしまうのでそれまでに治した方が良いと言われ、中耳炎を放置した可能性を考えるとチュービングの手術がいいのではと言われる。

鼓膜に穴を開け、チューブを入れて半年から1年様子を見るもの。中に膿が溜まっているとの事で、それを乾かすのが目的らしい。


定期的に耳鼻科に通いながら空気を通す処置をし続けるより通院の間隔も開けられ、チューブの穴から耳の中の換気も出来るので早く健康な耳に近づける事が出来る、チューブを取れば鼓膜は元に戻る(ごく僅か、戻らない場合アリと頂いたプリントには書いてあった)。

その場でチュービング手術をすると決める。

部分麻酔で出来る、ほんの数分との事と、先生が息子の耳元で爪の先でパチパチと音を鳴らした時、息子ははっきりと「こっちの耳の方がよく聞こえる!」と言ったのを見て、今までずっと右耳は聞き取り難かったのかと驚き、早く戻してあげたかったので。

手術と聞いて、息子は涙をこぼしつつも
「あんまり聞こえて無かったのかー、じゃあ手術する」
と決断していた。

「すぐ終るからね、こんな手術だよ」と先生が動画を見せてくれて、穴を開けた部分にチューブを入れるだけの場面、ほんの数秒のものだったので息子も少し落ち着いた。
夫にも連絡を取り、そういう状況ならその判断がベストとの事で一安心。

数日後、手術の為に病院へ。
順番が近づいてくるにつれ、不安げに泣く息子。
我慢してもつい不安で涙する姿が痛々しく、背中をさすって大丈夫だよと励ます。

簡易な手術台に横向きに寝かされ、耳に麻酔液を溜める。
10分程したらそれを流し、レーザーで鼓膜に穴を開けた。
動いたら危ないと言われ、じっと耐える姿を見ていられず、一瞬目を閉じ祈る。

自分の身が危険と判断出来る年齢であれば、動かないのだと、安心する反面、怖いとも思った。

脅迫とか犯罪に遭った人に平気で「抵抗すれば良かったのに」と言う人がいるけれど、恐怖とは動けなくするものなのだと思う。
動かない、抵抗しない事が身を守る術だと思わされる事こそが恐怖なのだと。
とても息苦しい数分だった。

レーザーで穴を開けた後は、また診察台に戻ってチューブを入れるのみ。
ただ、鼓膜の中を映し出す画像を見せながら説明しようとした先生が
「あれ?」
と言って角度を変えては何度も映し直した。
そして、白い物を捉えると早口で言った。
「コレ、良く無いモノが出ちゃったね!この白いの、真珠腫って言うんだけど、ほっとくと骨が溶けちゃうの!これは〜、大きい病院で手術になるね〜!」
と。

最初からハッキリ物を言う先生で、余りこちらも迷わないで済んだけれど子供の前で大きな声で骨が溶けるとか手術するとか言って欲しくは無かった。
案の定、息子は泣き出して何度もハンカチで目を押さえるけれど涙が止まらない。
「大丈夫大丈夫、今日はもう何もしないよ、痛い事ないよ!」
とトンチンカンな事を口走る先生と看護師達。

ちげーよ、今痛いから泣いたんじゃねーわ!
骨が溶けるだの、手術だの捲し立てるように言うから怖くなってるんだろうが、ボケ!

…と思いつつ、息子をなだめる。
先生は急に優しくなり、
「この辺りではすごく手術が上手で一番信頼出来る病院に紹介状書くからね、ちょっとまってて、すぐ書くよ!」
と言ってくれた。

なんちゅーか、医者なんだからさー、言い方!
と思ったけど、居るよね〜とも思う。
症状を見て、こりゃいかん!と慌てるのは知識があるからこそなのだけど、それをそのまま患者に言っちゃうって…悪いヒトじゃないのだけど…っていうね。
はぁ…。

でも、見つけてくれてありがとう、いい病院を紹介してくれてありがとうございます!!
もし学校で見逃されていたら、そしてこの先生が10歳までという期限や悪化したら大変な事になる病であると教えてくれなかったら、ここまで早く動いていないと思うので。

早く見つかって良かったんだよ、そして鼓膜に穴を開けなければ真珠腫だと気づけなかったのだから、この先生が焦らせてくれて良かったのかもな…、案外その急かす感じ、悪く無いかも…と思い直す。

もう。そう思わなきゃ沈みきってしまいそうだった❗️

…というワケで平成最後の日に大きな病院の診察へ行くことになりました。

その話しはまた次回に。

【2019.05.03に書いたものです】


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