今年も入選したよ 害虫展
去年の害虫展から続いて、今年の池袋でのジュエルインセクト展へと虫のご縁が続き、そのまま虫愛続行中で今年の害虫展に入選することができました。
木で外枠を作り、紙の切り絵を挟み込み仕上げた作品です。
今回の主役はミミズにしましたが、ミミズそのものを大きく作るのではなく、次のようなコンセプトで作品作りをしました。
みみずの糞は土壌改良になるため、菜園や花壇では益虫とされていますが、芝生では糞塚が景観を壊す、芝刈りの刃をいためることから不快害虫としても位置づけられています。
先日レイチェル・カーソン著の「沈黙の春」を読みました。 たった一種類の、人間にとって「害虫」とされた虫を駆除するために、多くの命が奪われる様が書かれていました。
飛行機からの害虫駆除薬剤の散布により土地が汚染され、汚染された土壌の有機物を体内に取り込んだ「ミミズ」は「汚染ミミズ」になります。「汚染ミミズ」は多くの生き物のエサとなり、その「汚染ミミズ」を食べた他の生き物が中毒で死んだり、薬剤の影響で繁殖不能となりその大地からいなくなります。植物も枯れていき食物連鎖が崩れて、他の多くの生き物もその大地から消えていきます。
微妙な命のバランス、というのは普段あまり感じる事ができません。私は山に登るのですが、「山めし」作りではお湯も大地に捨ててはいけないという記述を目にしたとき、はっとしました。水を湧かしただけの「お湯」なら捨てても自然に影響は無いと思っていたのですが、高温のお湯を流すと、土の中の微生物が死に、生態系のバランスが崩れてしまうのです。
そのような繊細な命の関係を、バランスゲームにして表現してみました。人間の都合で益虫にされたり、害虫にされたりする「ミミズ」を取り除くゲームです。 全体のバランスを崩すことなく、「ミミズ」だけを取り除くことは出来るでしょうか?
随分と前になりますがテレビで牡蠣養殖業者の畠山重篤さんが「森は海の恋人」とおっしゃているのをみました。
牡蠣が美味しく育つには森から海へと流れ出る水が重要だから漁師である自分が山に木を植えるのだと。山を守り川に繋げ海を豊かにする。自分の体験から出たその言葉の確かさと強さに心が強く揺さぶられた事を今でもはっきりと覚えています。
ミミズは豊かな土壌を生み出してくれます。神話でミミズは大地を作ったというものもあります。
人間は土や砂を自力で作り出すことはできません。絶滅した生き物を作り出すこともできません。
繊細なバランスの中で生きている私、その足元にあるものをゆっくりと考えてみる時間がもてたなら、と考えています。
9月2日東京会場からスタートして大阪、長野と巡回いたします。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
東京
MATERIO base
東京都中央区東日本橋3-11-12
2023年9月2日(土)〜 9月15日(金)10:00〜17:00
大阪
箕面公園昆虫館
大阪府箕面市箕面公園1-18
2023年9月20日(水)〜 9月25日(月)10:00〜17:00
長野
白馬村
長野県北安曇郡白馬村大字北城7078
2023年9月30日(土)〜 10月9日(日)10:00〜19:00(予定)