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カミケンが見ていた『鉄柵』稽古場

1月12日(日)新作『鉄柵』の立ち稽古がスタートした。

劇団員のかるべさんが書いた詩をモチーフに
演劇作品を立ち上げることは企画段階から決まっていたようで
2年前の冬頃から月一回のペースで劇団員が集まり、
実際に詩を読んだり、
詩をもとにさとさんが書いてきたテキストを読んで動いてみたり、
エチュードをやったりと細々と動いていた。
昨年11月にはさとさんとかるべさんが準備稿を俳優達に配り
(今作は中嶋さと、かるべまさひろの共同脚本である)
作品についての議論や対話を丁寧に重ねながら、
次の稽古でまた改良された台本が配られ、読み合わせというスタイルだった。

これまでのさとさんの稽古場にはなかった手法だったので珍しい光景だ。
今まではさとさんが数ページのテキストを俳優に配って
数回読んだら『ちょっと立ってやってみる?』というケースが多かった。
ここで用いるテキストは全カットになる時もあれば
どんどん膨らんでいく時もあり、
さとさんの中でとりあえずテキストにしてみたシーンの断片を
繋げたり捨てたりしていくパズルみたいな作業なのかもしれない。
シーンの取捨選択だけではなく
俳優が実際にそのシーンに身を投げて、台詞を発語して、動いた時に
さとさんの中で初めて膨らむイメージがあったり、
〈意外とこの役、この後の展開でこう動かしてみても面白いかも。〉と
ある意味、稽古場でも常にさとさんは書き続けていたように思う。

ところが今回の『鉄柵』はもととなる原作があり、
共同脚本という新しい試みを取り入れている点がこれまでと大きく違う。
また、舞台は大きな戦争を経て核がなくなった2072年という独特な世界観を描いている。

読み合わせではあらゆる視点からみんなが『鉄柵』に切り込んだ。
・ここでこの人物がなぜこの行動を取るのか?
・2072年に至るまでの年表というか歴史みたいなものは作家の中にあるのか?
 あるのだとしたら共有したい。
・ここまで情報量が多すぎなくてもよいのでは?
・情報が少なすぎて突拍子もないように聞こえる。
誰も見たことも触れたこともない世界線を作品として立ち上げていくためには
かなり大きな強度と説得力が必要であると思う。

稽古場では作品について俳優達が問いを立てながら
このアナザーワールドのような2072年を現在の観客と
どう接続させて入り口をつくっていくのか?

読み稽古は昨年末まで続き、
対話を繰り返してより洗練された『鉄柵』決定稿が配られた。
ここから3月の福岡から熊本までのツアーを目指し
広く大きな鉄柵を組み上げていく作業が始まる。

公演詳細/FOURTEEN PLUS 14+ホームページ↓
https://www.fourteen-plus.com

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