三つ穴樹脂の筐体遷移について①
本記事では、意外にも深い沼である「三つ穴樹脂」について解説していこうかなと思います。
コード接続口が三か所あるため、「三つ穴樹脂」と呼ばれています
まず「三つ穴樹脂」というのは、正式名称ではなく信号界隈が使用する愛称であることには十分注意していただきたいです。
樹脂灯器の誕生
そもそも樹脂製灯器というものは、当時多く採用されていた金属製灯器が非常に塩害等に弱いため、塩害等に強い灯器を制作する必要があったことから登場した灯器です。
その化学的性質(塩害等に強い)から沿岸地域などに多く設置されました。
しかしながら最初は樹脂製(所謂ポリカーボネート)ではなく、FRP製(繊維強化プラスチック)が使われていましたが、FRPは製造コストが高く、次第に安価な樹脂が使用されるようになりました。
「三つ穴樹脂」というものはFRP~樹脂の移行した際に製造された、所謂移行後最初の世代で、初期のころは後代の樹脂製モデルとは若干異なっていました。
製造期間はS49.2~S51.7と二年半弱ですが、この期間で後代のモデルへかなり近づいていきました。
今回はその期間の多様なモデルチェンジについて細かく解説しようかなと思います。
三つ穴樹脂と各メーカー
FRP灯器や樹脂灯器を製造していたのは、「三協高分子株式会社」というメーカーで、【「小糸」「日信」「京三」「松下」「立石(オムロン)」「住友」etc…】
と多様なメーカーへODM供給していました。
そのため「三協高分子株式会社」の銘板で見かけるのは非常に稀です。
上記のメーカーのなかでも「日信」「京三」「松下」「立石」「住友」は三つ穴樹脂が存在していたことが確認されています。
また更にその中でも「松下」は他メーカーに比べ初期から積極的に採用していたようで、多様な世代がありモデルチェンジを確認しやすくなっています。 なので今回登場する灯器は殆どが松下製です。
筐体遷移
最初期筐体(S49.2、S49.3)
まずは樹脂移行直後の最初期筐体です。 だいたいS49.2、S49.3頃に見られる灯器です(S49.4~は見つかっていません)
大きな特徴としては水抜き穴が横一列となっているところですね。
(水色楕円水抜き穴位置)
第1.5世代(S49.3~S49.5?) イレギュラー筐体(?)
先程と同じ最初期型世代の灯器(水抜き穴が横一列)ですが、最初期型にはないネジがあったり、後代の灯器と筐体似ていたりと特殊なものとなっています。
S49.3(S49.4~は見つかっていません)のみで見られるイレギュラー(?)灯器です。
大きな特徴としては筐体底面にネジがあり、筐体側面にネジがないところでしょうか。
またかつて徳島県には筐体背面にネジが四本あった筐体もあったそうです。
(水色楕円水抜き穴位置) (桃色楕円底面ネジ)
比較用 (黄色楕円筐体側面ネジ)
第2世代S49.5~S50.10)
最初期の次の世代で、だいたいS49.5~S50.10で見られます。 この世代から、水抜き穴が縦一列、筐体側面ネジが二本ずつ(両側)となりました。
またこの世代半ばから、レンズ外部に金属リングを搭載し、300φを250φに仕様変更するという灯器が誕生しました(恐らく250φ蓋まだ無かったため)
余談ですが、300φを250φに仕様変更している灯器は「なんちゃって250φ」という愛称があります。
なんちゃって250φはS49.8~S50.8で見ることが出来ます。
S50.10からはようやく、250φ蓋が製造され始めたので、250φのものも見かけます。
(水色楕円水抜き穴位置) (黄色楕円筐体側面ネジ)
比較用
なんちゃって250φ
第2世代の初期型(なんちゃって250φ登場前)
次回予告
ここまででもかなり長くなってしまったため、第3世代以降(S50.10~S51.7)は次回にしようかなと思います。
また次の記事では世代的に「松下」以外のメーカーの三つ穴樹脂がようやく確認できる世代となるので、他メーカーを織り交ぜながら説明していこうかなと…
長くなってしまいましたが…
ここまでご覧いただきありがとうございました。