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遅効性ホワイトデー事件
どうもどうもこんばんは、みんなの神尾です。
全然タイムリーじゃない話だけど、バレンタインデーはみなさんいかがお過ごしでしたか?
バレンタインデーの時期って、あれだよね、どこもかしこもチョコチョコしてて、おいしそうで、華やかなチョコがわらわらしてて、いいよね!
わたしは中高女子校だったんで、バレンタインデーの日はお菓子作りが得意な女の子がおいしーやつ作ってきてくれて、そのお相伴にあずかっているばかりでした。
バレンタインデーはお菓子が食べられる日。
という気持ちでいた、そんなある年のバレンタインデーですよ、
後輩が、「かみおせんぱーい」ってチョコもってきてくれたわけ。
うれしーじゃないですか。
これはホワイトデーにお返しをしなければ、ついでに友人まわりにも振る舞おうと思い立ち、3月13日にわたしはオーブンレンジの板いっぱいのブラウニーを焼きました。
そして、ただのブラウニーではつまらないだろうと思い、ロシアンブラウニーにしました。
そのほうが、盛り上がると思ったのです。
わさびでも入れたらいいかなあと思ったんですが、わさび入りのブラウニーは生地の段階で味見をするとべつにそう驚きの味ではなく、それならばと辛子を入れ、でもやっぱりピンとこず、唐辛子を入れ、こしょうを入れ、タバスコを入れ…………
いくらなにを入れても、生地が若干赤っぽく変色しただけで、口に入れて「うわっ」という反応になるものにはならなかったわけです。
あれだけ入れたのに案外普通のブラウニーになってしまったな、と思いながら、「普通のブラウニー」と「なにが入っているのかわからない若干赤っぽいブラウニー」を焼いて、翌3月14日学校へ持って行きました。
「ロシアンブラウニーだよ! 一列に一個(外れを多く作りすぎた)、ちょっと何が入ってるかよくわからないブラウニーがまざってるよ!」と言いながら、わたしは揚々とみんなに配りにいきました。
まあ、箸が転がっても面白い女子高生たちなので、みんな「えー」と言いながらも楽しく食べてくれました。
外れに当たった(とおぼしき)みなさんの反応は、
「ん……? これは……なんか、味が変かも。外れかな。うん、なんかおいしくない。まずい、かな……うーん?」
というような、至極曖昧なものでした。
わたしが想像していた、テレビでよくあるロシアンに当たった芸人さんの反応とはまったく異なるものでした。
ロシアンはむつかしいなあと思いながら配り歩き……
もちろん、あのかわいい後輩にもあげました。
それが、ええ、お昼休みのことでしたねえ……。
午後の授業中のことです。
ブラウニーをふるまった友人たちのうち数人が、ひとり、またひとりと、「なんか気分が悪い……」とぐったりし始めました。
心当たりはひとつしかありませんでした。
ええそうです。
わたしのふるまったロシアンブラウニーです。
あの、「なにが入っているのかわからない若干赤っぽいブラウニー」以外にありません。
おいしいチョコをもらったお返しに、遅効性のロシアンブラウニーを振る舞われることほど不本意なことはないなと思います。
そんなたちの悪いものはありません。
後日、わたしは各学年に謝罪参りにでかけ、その後しばらくにわたって、わたしが作ったお菓子は警戒されるようになったとのことです。
みんな、ロシアンなんちゃらをつくるときは、用法用量をよく守って正しいレシピで作ることをおすすめしますよ。