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2024年8月の読書

先月の読書記録、とはいえ月末の期限ギリギリなので実質2か月前の読書記録。

8月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1588
ナイス数:95

働くということ 「能力主義」を超えて (集英社新書)感想
働くことの難しさを語り、誰もが当たり前だと思っている仕事における「能力主義」に疑問を呈する。無駄を悪とし、生産性やタイパを至上の価値とする新自由主義的を疑う。事実や理由を性急に求めず、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいられる能力、という意味の「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念が紹介されるが、本書自体この考え方を貫いていると思った。あと本書で取り上げていた空想社会科学小説『メリトクラシー』は読んでみたい。
読了日:08月01日 著者:勅使川原 真衣

陰翳礼讃 (中公文庫 た 30-27)感想
日本家屋の薄暗さに見られるような影に美を見出し、考察する。電灯一つとっても、室内をくまなく照らす欧米的な照明に対する考え方との対比が鮮明だった。『徒然草』の「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは」に通じる美的感覚だと思う。あと女体美への執着が半端ない。
読了日:08月04日 著者:谷崎 潤一郎

[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき感想
フランス革命で王政が倒されたことで、王族だけでなく聖職者や貴族が放逐され、政治に関しては素人である法律家や混乱に乗じて一攫千金を狙う金融業者などが政治や行政に関わることに関して危機感を滲ませている。「固定観念」という言葉を肯定的に使っている本は初めてかもしれない。「伝統」や「慣習」とほぼ同義語か。
読了日:08月07日 著者:エドマンド・バーク

オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書 1097)感想
再読。アナトリア半島の小規模な武装集団を起源とするオスマン帝国がどのように統一的だが緩やかな共存のシステムである「柔らかい専制」を作りえたかを解説する。中国諸王朝と同様に後宮と宦官が存在しながら、統治の仕組みが大きく異なっていることを改めて実感した。
読了日:08月10日 著者:鈴木 董

アサルトリリィヴンダー 激闘!御台場迎撃戦感想
アサルトリリィファンの中でも名高い、リリィの死者0を達成したした御台場迎撃戦を描いた小説。アニメBouquetやラスバレを履修していると、錚々たる顔ぶれが揃っていることがわかり、それだけで壮観だが、大串女子勢の奮戦ややむを得ず富士見橋を落とす決断を下した菱田治の葛藤が印象に残る。
読了日:08月15日 著者:秋月 大河

憲法と平和を問いなおす (ちくま新書)感想
2004年刊行。何回か読んだがまた読むことに。当時はイラク戦争への自衛隊の派遣の是非が取り沙汰されていたが、日本国憲法第9条の改憲派にも護憲派にも欠ける視点として近代国家における憲法制定の神髄である「立憲主義」を説く。立憲主義が国家権力の暴走を掣肘する思想であることはよく知っていたが、その目的が比較不能な諸価値観同士の共存にあることは失念していたので、再読してよかった。
読了日:08月20日 著者:長谷部 恭男

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