「Re:タナトスのガールフレンド」出演者座談会
関係舎 と カミグセ「カミグセ短編集vol.2」の公演まで、残り1か月を切りました。このnoteでは、公演が始まるまでの期間にもお楽しみいただけるコンテンツをご用意していきます。
まず最初は「Re:タナトスのガールフレンド」の稽古場から、星秀美と赤猫座ちこの対談をお届けします。
――それでは「Re:タナトスのガールフレンド」チームの座談会を始めたいと思います。
星秀美・赤猫座ちこ:よろしくお願いしまーす。
――ちなみに今日(座談会の収録日)は7月4日。稽古としては何日目ですか?
星秀美(以下、星):3回目です。
――実は今日、配役が当初のものから入れ替わったんですよね。
赤猫座ちこ(以下、赤猫座):私があやめという人間の役で、(星)秀美が死神になりました。
星:結構びっくりしましたね。入れ替えて稽古するって言われたときは「あ、そういう(お試しの)稽古ね」くらいに思ってたから。実は(赤猫座)ちこちゃん発信の提案だったって聞いて、それは何? 私のあやめは聞いてらんねえぞと?
赤猫座:違うよ(笑)。当初は私がシキって死神の役だったんですけど、人間離れした存在をやるにあたって、あまりに私が人の話を受けすぎるので、すごく人間に寄り添っちゃう感じになるなと。だから、あえて逆にしてみたら何か面白いことが起きるんじゃないかと思って。
星:やってみたら意外としっくりきたよね。
赤猫座:でしょ? 私にはその未来が見えていたの。ただ、見た目的には完全に私が死神で秀美が人間なので、お互い見た目をどう寄せていくかっていう課題がありますね。
星:そう、私すごく見た目が人間的なんだよ。ぜんぜん死の香りがしない…
赤猫座:いいんじゃない? 全く死の香りがしない死神と、死の香りがプンプンする人間って組み合わせも面白いと思うよ。
――「Re:タナトスのガールフレンド」の台本はどんな印象ですか?
星:私は初演の「タナトス〜」を見てるし、リーディング版は参加もしてるんですよ。だから、ここは初見のちこちゃんにぜひ聞きたいなと思いますね。
赤猫座:最初、今までにやってきた芝居とテイストがあまりに違いすぎて、どうしたもんかな…ってすごく考えたんですけど。この作品って、すでに2回も上演されてるから、つくにさんの中でもある程度の完成型が見えている状態なわけじゃないですか。そこに私がいるからこそ持ち込める新要素みたいなものはないかなと思って、毎回「どうですか?これはどうですか?」って試しまくってます。
星:配役チェンジの話に戻っちゃうんですけど、「タナトス〜」って二人が出会うことで二人とも変わっていく話じゃないですか。それが最初の配役だと、けっこう固まってたと思うんですよ。固まったまま出会って、固まったまま別れるみたいな。
赤猫座:わかるわかる。人間の感情の流れがあって変わっていくのが面白いのに、二人とも自分の中に確固たる何かがあってさ。それがただぶつかって、ドーン、ばいばーい、みたいな(笑)。たぶん、お互いのイメージに役が近すぎたんだと思うんですよ。相手とのやりとりで変わるというより、別に何もしなくても自分の感情のおもむくまま台本を読むだけで勝手に変わっていくから…
星:全部わかっちゃうんだよね。「そうそう、こうなるよねー」って。それが逆になったことで、うまいこと二人の感じがミックスされたんじゃないかな。
――配役が入れ替わることで、いい意味で「わからなく」なった?
赤猫座:どっちがどっちをやっても、役のベースに持っているものはお互い共有できるんですよ。でも、そこから先の伸びしろになる部分は違ってて、「そういうやり方があるんだ!」という発見をお互いにできるのがいい。
星:初回からふざけまくってたよね。ていうか、この役ってこんなにふざけられるんだ…って思った。
星秀美
――星さんはカミグセへの出演は2年半ぶりだそうですが、2年半の時を経て参加するつくにさんの稽古場はどうですか?
星:えーと…実はあんまり覚えてなくて(笑)。まず、旗揚げ公演に出てるんですね。次が大学の卒業公演だった「SとNの間の香り」で、その再演にも出演して、それで今回かな? カミグセにとっては節目となる公演にいつも出してもらってるんですよ。だからお互い、すごくいっぱい出てるような気持ちになってるけど、実はそうでもないという。
――稽古の進め方に変化はありました?
星:カミグセの稽古は、せりふの上でのやりとりをすることが多いから、動きをつける前にまずは読み合わせの時間をたっぷり取るんです。でも今回、ちこちゃんが読み稽古しながらも動いたりし始めてるっていうので、今後は変わってくるのかもしれないなと思ってて。「ちこちゃんが動きたそうにしてるし、動くか」みたいな。
赤猫座:私、わがまますぎない?
星:わがままとかじゃなくてさ、役者の気持ちとして自然と動きたくなるときってあるじゃない。そういう、役者の気持ちを汲んでくれる人だなっていうか、尊重されてるなって思う。二人芝居って個人の責任がすごく重いんですよ。いや、もちろん他の芝居も責任は各々に100%かかってるんですけど、二人芝居はそれが特に顕著にあらわれるから、ごまかしがきかないなって。
赤猫座:私は二人芝居初めてだから、すごく楽しみなんです。
星:今のちこちゃんくらいの年齢の時に初めて二人芝居に出たんですけど、責任の比重がすごく大きくて、「もしかして私は演劇をさぼっていたんじゃないか?」と思うほどの衝撃があったんですね。だから、同じような衝撃を与えられたらいいなって思います。
赤猫座ちこ(牡丹茶房)
――対して、赤猫座さんはカミグセ初参加ですが、つくにさんの稽古場はいかがですか?
赤猫座:すごくフレンドリーだなって思いました。
星:つくに史上、たぶん一番フレンドリーだよ。
赤猫座:あ、やっぱり? でもそれは若干感じていて、今までと違うスタイルで来てるんだろうなと。なんでそう思うかっていうと、つくにさんも今日の稽古で言ってたけど、こんなに自分から(アイデアを)持ち込んでくる役者が過去のカミグセ出演者に少なかった、っていうのが大きいのかも。
星:もし、ちこちゃんが何も持ち込まないで言われたとおりの事しかやらなかったり、脚本も大して読み込んでいないのに口出してるんだとしたら、つくにもここまでフレンドリーにはならなかったし意見も採り入れなかったと思うんですよ。
赤猫座:面白いことをするのが許されてる現場だと思ってるので。自分から演出家に対してアプローチできる方法とか、いろいろ試したいこともあって稽古に臨んでいます。
星:まだ2、3回稽古しただけの短い時間で、これだけ演出家との信頼関係を築けるちこちゃんも凄いし、それに対して柔軟に対応するつくにも凄いなって。もともと仲がいいので、現場に入って役者として対峙すると改めて尊敬する部分が見えてきます。
赤猫座:でも今回が初共演なんだよ。
星:そう! そう! 笑っちゃうよね。なんでこんなに仲いいんだろ。
赤猫座:いろんな人から「業界での存在の感じが似てる」って、ずっと言われてて。気になってたんだけど面識なくて、やっと初めましてで連絡先交換して、で、2回目に二人でナイトプール行くっていう。
星:しかもスイーツバイキングからのナイトプール!
赤猫座:つきあい始めて1年くらい経つし…「つきあい始めて」って言い方はおかしいね。プライベートのほうが一緒にいる時間多いってやばいよ。週2くらいで会ってるもん。
――そこまで心を開いた間柄だからこそ、遠慮なくいろんなものを持ち込めるっていうのはあるんじゃないですか?
赤猫座:絶対そうだと思う。私もこんなに脚本のことに口出しするのは初めてなんです。他の現場で初回稽古からこんなことしたら、たぶん引かれるし。あ、でも秀美は私と共演するの緊張してたらしくて。初稽古のとき、ぜんぜん目が合わないの!
星:なんか恥ずかしくなっちゃって。親しい人とお芝居するのって、たとえは悪いけど、ずっと一緒にいる女友達が彼氏と一緒にいるときの顔を見ちゃったような感じなんですよ。自分の知らなかった一面を見る、みたいな。
赤猫座:しかもそれが本業だから余計に、お互い腹の内をさらけ出す感じにならない? だから「こういう人間ですよ!」ってのをガンガン見せていってます。「私はこれとこれとこれができるから、秀美は私が持ってないものを見せて!」って。
星:ノーガード戦法だよね。とにかく自分の持ってるものは全部出し尽くして、かわりに相手からいろんなものをもらって。
赤猫座:つくにさん自身も、私たちと一緒にディベートしながら作品をつくるつもりで演出してるのかなと思ってて。一緒に楽しんでくれようとしているのがわかるから、私としては嬉しくて、わくわくする場所だなって思いますね。
【聞き手:辻本直樹(関係舎)】
関係舎 と カミグセ『カミグセ短編集vol.2』
8月8日(木)〜11日(日) 横浜 STスポットにて
原案:辻本直樹(関係舎)
作・演出:つくにうらら(カミグセ/水中めがね∞)
《上演作品》
**『Re:タナトスのガールフレンド』 **
**女は高熱を出していた。
男は風邪薬を買いに出かけた。
死神が部屋にやって来た。
男の死期は近づいていた。
死神は男を迎えに来た。
女しか部屋にはいなかった。
死神は女に用はなかった。
女は男の帰りを待っていた。
死神も部屋で待つことにした。
男はなかなか帰ってこなかった。 **
**なんにもならないのに出会ってしまった、ふたり。 **
出演:赤猫座ちこ(牡丹茶房)、星秀美
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『思い出にニスを塗れ』
今ここにいないあの子の絵を描こう。
今ここにいないあの子を呼び戻すために。
あの子はきっと綺麗だった。
あの子はもっと嫌な子だった。
思い出を美化してはいけない。
思い出は保存しなくてはいけない。
描き上がることのない肖像の前で、私たちは立ち尽くしたまま。
出演:岩永彩、Q本かよ、塩原俊之、中村佳奈、廣瀬樹紅
《タイムテーブル》
2019年8月8日(木)〜11日(日) 全6ステージ
(全回アフタートークorアフターイベントあり!)
8月8日(木) 19:30★
8月9日(金) 14:00★|19:30◎
8月10日(土) 14:00★|19:30◎
8月11日(日) 14:00◎
★=「カミグセの課外活動」(アフターイベント)
8日(木)19:30・・・歌とギター[出演:つくにうらら]
9日(金)14:00・・・アイドルの真似事[出演:つくにうららと「Re:タナトスのガールフレンド」チーム]
10日(土)14:00・・・新かき氷[出演:つくにうららと「思い出にニスを塗れ」チーム]
◎=つくにうららとアフタートーク(登壇者は予定)
9日(金)19:30・・・「思い出にニスを塗れ」チーム
10日(土)19:30・・・「Re:タナトスのガールフレンド」チーム
11日(日)14:00・・・公演反省会[ゲスト:園田喬し氏(編集者/BITE編集長)]
※受付開始・開場は、各回開演の30分前
※上演時間は2作品あわせて約75分程度を予定
《チケット》
一般:3000円
U-25:2500円
高校生以下:1000円
※全席自由席
※U-25・高校生以下は受付にて要身分証明書提示
※未就学児入場不可
※車椅子等でご来場の場合、あらかじめお問い合わせください。
《ご予約》
https://www.quartet-online.net/ticket/tanpen2
《会場》
STスポット
https://stspot.jp/
〒220-0004 横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビルB1
横浜駅から徒歩約8分
《お問い合わせ》
カミグセ 制作部
MAIL:info@kamiguse.com
WEB:http://www.kamiguse.com/