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㊗イクイノックス秋天連覇㊗

秋天が終わった。
やっと精神が落ち着いて、ウマ三期も昨日全部観た。

尋常じゃないぐらい、イクイノックスの勝利を想っていた。
アサマのアホが回避してくれたので、久しぶりにイクイノックスだけを応援することができたのもある。は~~。疲れたな。

いい機会なので、自分が彼をどう思ってきたかを書き出してみた。

まず、ヴァイスメテオールというラジオNIKKEI賞を勝った馬がいたんだ。
マジメで優等生だったヴァイスと、大戦犯アサマノイタズラの二頭を、菊花賞で応援していた21年の秋までさかのぼる。

弟として

ファンタジーSで武幸四郎厩舎のウォーターナビレラが勝ち、来年の牝馬クラシックはこれを応援しよう、と考えていた頃だった。
新聞の馬柱にヴァイスメテオールの弟がいた。母シャトーブランシュのキタサンブラック初年度産駒、新潟のデビュー戦を強い上がりで勝った馬。
1枠1番で鞍上はルメール。1人気。ヴァイスと同じキムテツ厩舎。
よう分からんけど凄いのだろう、と思って馬連か三連複を買った。確かアサヒが抜けてて外れたんじゃないかな。

翌日がグランアレグリアのラストランだった

白い帽子と、白い流星の馬が、最内から大外にスライドし、直線をじっくり溜めてから大爆発。一瞬で脚を繰り出して突き抜けた。
G1は間違いない、上り32.9は普通にヤバい、先輩らと温泉で盛り上がった。
それがイクイノックスだった。

クラシック無冠

ステップレースを使わず、皐月に直行すると掲示板で見て、不安だった。
素質は誰もが認めるところだが、直行というのが嫌われていた。
友道厩舎のドウデュースや、ダノンベルーガ、キラーアビリティといった実績馬が順調に前哨戦を重ね、同厩のジオグリフですらヒイコラ連戦している中、強さの根拠は相手の薄い東スポ2歳Sのみ。

このころは彼の体質とか、性格についてあんまり理解してなかったんだよな。

皐月賞と桜花賞は悔しかった。どっちも2着だった。イクイノックスは同厩ジオグリフに、ウォーターナビレラはスターズオンアースに敗れた。

皐月賞のパドックまじで好きなんだ~

大外枠と、道中の運びから、この差は気にしなくていいとは思った。が、皐月で負けた以上、じゃあ最初からダービーに直行で良かったのではと無茶苦茶な事を当時は考えた。なにせ、間隔を詰めると馬が厳しいから皐月に直行したのに、皐月からダービーで疲れが抜けるのかと。皐月を勝っていればローテに文句も垂れなかっただろうから、なかなか身勝手な意見だ。

で、ダービーも負けた。武豊が、一番のドラマを演出した。大外を連続で引いた不運もあるが、枠番再抽選して10回やっても勝てなかっただろうな、と思った。能力はある。素質もある。しかし無冠。どうすりゃええねん。

夏休み

激戦だったダービーは反動が激しく、マテンロウレオとジオグリフが骨折、イクイノックスも脚部不安と報じられた。
ドウデュースはカイバをモリモリ食っていた。格の違いを感じたよな。

また、夏を全休してぶっつけでG1を走るのか、と不安が増した。
このパターンで勝てるのかどうか、信じられる根拠が欲しかった。

夏を前にして、兄のヴァイスメテオールが急逝した。
追切中の開放骨折だった。

キツかった。
好きな馬がこういう形で亡くなるとは思っていなかった。

有馬記念で盛大にかましたアサマノイタズラとは違い、ヴァイスは菊花賞からコツコツ立て直して、レーンの鬼鞭にめげずメトロポリタンSを勝ち、秋にはまた大きい所を、という時だった。

走るはずだったエプソムカップは、ラジオNIKKEI賞で共に走ったノースブリッジが制した。

兄の分まで、イクイノックスには勝ってもらわないといけない。
ジオグリフ共々よろしく夏を謳歌している様を見ながら、怨念のような願いは溜まっていく一方だった。

天皇賞秋

天皇賞秋の登録がほぼ確定になり、相手を見た時、勝つならここしかないと思った。なにせ相手が薄かった。
去年はグランアレグリアVSコントレイルVSエフフォーリアの怪獣大決戦。
2頭が引退し、エフフォーリアは傷心中。タイトルホルダーとドウデュースは凱旋門賞帰り。

このメンバーで、ここを勝てないのなら、もうずっとG1に手は届かないかもしれない。状態面も、成長も、夏休み中のコラム記事も、全部が魅力的だった。これでダメなら、本当に運命的な何かがダメなのではと思うほどに。

だから、パンサラッサが大逃げをかまして最終コーナーを独走してきた時、やられた、と頭を抱えた。こういう所だ。イクイノックスはベストを尽くしているのに、何か光るものを持った馬に、それを上回られてしまう。

事実、春のレースはそうだった。
そして、この時のイクイノックスとは全く関係のない話だった。

実家のデケーテレビ画面で、イクイノックスが詰めてくるのを見て、普通に間に合わないと思ったんだ。そしたらアッサリ差しちゃったんだよな。
東京の直線は思ったより長かった。

それもそのはず、夏休みの間はずっと園田競馬に通い、たった直線200mのレースを観ていたのだから。525.9mて。2倍ぐらいあるやんけ。
あと200m!と実況が伝えた時、全然脳が追いついていなかった。

終わってみれば勝って当然、しかしとんでもない内容だった。普通ならパンサラッサが大金星をあげるところを、捉えきってしまった。
正直自分は、イクイノックスがG1を一つでも勝てれば満足だった。クラシックが無冠に終わっても、3歳での天皇賞秋勝利、キタサンブラックとの親子制覇は箔が付く。でも、これを観た後じゃ無理な話だ。次を想わずにはいられない。

元から素質馬ではあったけど、ひと夏経て何か凄いことが起っていた。

有馬記念を馬なりで上がってきて圧勝した時、正直ドン引いた。
思ってた強さと違うというか…。これ本当にイクイノックスですか?

キレる脚と利口さが彼の武器だと思っていた。全然ちがうな。
多分心臓が複数あるんだと思う。ルメールは並行世界で馬を走らせた経験を一個体に集約している。キムテツは未来の勝利を知ったから上機嫌。逆因果律ってやつだ。

こうなってくると、次が怖い。なにせ、コントレイルが大阪杯で重馬場に沈み、エフフォーリアがスランプに陥った4歳の春がやってくる。

秋天も有馬も勝って、年度代表馬。ここから失墜してしまうのだけはやめてくれよと思って「海外なんて行くな!!春全休しろ!!!」と叫んでいた。

結局、全部杞憂だった。
ドバイ。意味が分からなかった。何を見せられたんだ。
宝塚。この状態で勝ち切るのかよ。

天国のヴァイスメテオールが弟の背中を押しすぎている説が定期的に彼の掲示板で囁かれているが、本当にその通りだと思う。
しかもメチャクチャ健康で、これだけ強い競馬をしても身体の成長が上回って無理が来ない。3歳春の恐る恐るといった空気はどっか行ってしまった。

気が付いたらG1を4連勝。デビューから全連対。現役世界最強馬。
豪華なぬいぐるみまで作ってもらった。
ただ、喉に骨が刺さったままだった。

天皇賞秋 2

さて、ここでようやく今に至る。
ドウデュースの話をしないといけない。おれの友達はドウデュースが好きで、というより友道厩舎が好きで、ドウデュースのことを隙あらば教えてくれている。彼がずっと言っていたのは、本質的にマイラーだという点。京都記念や、最近の馬体を見るとその通りだな、と思う。筋肉の塊が地面を直接蹴っている。身体の厚みも凄いし、それでいて脚がめちゃくちゃ回転してる。かっこいい馬だよな。

たったの一度で、「ドウデュースに脚で負けた」と思い知らされたのがダービーだった。だから、ずっと再戦を夢に見ていた。ドウデュースのファンが思う以上に、おれはダービーでの着差を強く意識している。何度やっても勝てないとも思う。惜しかったけど、負けたんだ。

おれはドウデュースのアンチではないが、イクイノックスのファンボとして、「イクイノックスを負かすのはドウデュース」という言説が何より不快だった。ちがうんだよな。
皐月>ダービー制覇の流れから「逆襲」と冠がつくのも何かちがう。
逆襲するのはイクイノックスなんだ
世界ランキング1位になってなお、ドウデュースにダービーで敗れた事が、ずっと残っていたんだ。

そういう想いで、秋天はイクイノックスの単勝を買った。

ひと夏越えて世界一位、ふた夏越えたら世界何位だ?(なぞなぞ)

負けるなら相手はドウデュースだとも思った。今年こそ順調ではないとはいえ、馬体の仕上がりが凄まじかった。陣営の気合も怖かった。そして何より、天覧競馬で武豊が敬礼というのは容易に想像がつくドラマ展開だった。
この手の運というか、ドラマ性をイクイノックスは持ち合わせていない。

だから、乗替わりは本当に残念だった。
繰り返すがおれはイクイノックスのことが数倍好きなだけで、ドウデュースのアンチではない。しかしドウデュースのファンのアンチではある。厄介!

今回の秋天は武豊とドウデュースに、正面から決着をつける事にこそ意味があった。唯一の救いは、イクイノックスがバケモンすぎて全然戸崎だろうが武インパクト豊だろうが結果は動かないと全員が思い知らされたことだろうか。まあ、ジャパンカップでもっぺんやったらええだけの話。

勝ち時計1分55秒2

ラジオの実況中継で観ていたのだが、ジャックドール>ガイアフォース>イクイノックスの隊列が決まった時点で勝ちは堅いなと思った。

(中略)ガイアフォースの白いケツ

直線で、イクイノックスがギアを上げず、じりじりと進んできた。「はじけるぞ!」と実況が叫んだのを強く覚えている。このハイペース3番手から自分のラップを作ってしまうのかよ。

関係ないけどディープボンドの勝ち筋が全部潰されてんだよな。

は~。
ヴァイスメテオールになんて言おうか。
勝つ度に弟がG1を~とヴァイスのファンと一緒に掲示板に書き込んでいたが、流石にここまで来ちゃうとな。
無事に馬生を永らえるよう、空から見守って~とか、怪我しないように~とか、無難なことしか頼めなくなってきてしまった。
もうちょっと、弟の背中を押すにしても加減を知って欲しい。

秋古馬三冠を~とかお願いしたらどうなっちゃうんだろうな。

本当の話をすると、ジャパンカップはリバティアイランドが勝つだろうと腹をくくっていた。全然ファンでもなんでもないが、普通に能力と鞍上と斤量で相当のアドバンテージがあると思ってのことだ。JCで負けても斤量と三冠牝馬と川田というところで言い訳は立つ。

しかし、ドウデュースのファンにダービーを一生こすられるのだけは絶対に避けてほしかった。だから、秋天は引けなかった。イクイノックスの単勝はここしか無いと突っ込んだ理由はこれだ。

気持ちの証明と自己紹介。おれはイクイノックス応援アカウントですよ。

それが1分55秒2だよ。
こうなってくると、斤量とかの話ではなく、リバティアイランドがイクイノックスと同じ次元に立つ存在なのか否かという話になってくる。そして、「ダービー」を清算した、本当の逆襲のドウデュースがやってくる。

晴れやかな気持ちでジャパンカップが楽しめそうだ。
なんかもう、難しい事を考えなくても納得がいく結果になる気がする。

おわり













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