草子洗小町の顛末。
「草子洗小町」の顛末:
小野小町と大伴黒主が歌合(うたあわせ)(和歌競べ)をおこなった。「水辺の草」というお題に対して「蒔かなくに 何を種とて 浮き草の 波のうねうね 生い茂るらん」と小町が詠むと、黒主はすかさず「それは『万葉集』の古歌の剽窃だ」「その証拠に、ここに持参した『万葉集』の草子に同じ歌が書かれてる」と騒ぎ立てた。実は黒主は事前に小町の屋敷に忍び込み、彼女の詠歌を盗み聞きし、それを草子に書き加えてから歌合の場に臨んだのだった。草子に違和感をおぼえた小町が試しに清水で洗ってみると、書き加えられた歌だけが洗い流されて、小町の汚名は雪(そそ)がれた。
「浮き草を 古歌だと 根無し事を 言ひ」