美術史解説マンガ・コラム:屏風の数え方
日本の美術史解説マンガ
今回は、日本の美術史を学ぶ学生は必ず習う(はず)。屏風の数え方について紹介します。
今回マンガで描いたこの屏風↓
実はこれ、実際に存在する作品を模写したものです。
その作品は、コチラ!
名前は《吉野山桜竜田川紅葉図屏風》(足立区立郷土博物館蔵)
作者は、足立千住の関屋の里に住んでいた、江戸時代後期の絵師•俳人の建部巣兆です。
現在の奈良県にあたる大和国(やまとのくに)の名所である、吉野山の桜と、竜田川の紅葉を描いています。
この二つの名所は、古くから和歌の題材となった歌枕(うたまくら)であることから、中国風の唐絵に対して日本独自の絵画を追求した「やまと絵」の画題として好まれてきました。
↓歌枕についてはコチラでちょこっと解説
この屏風の面白いところは、桜や紅葉が華やかに画面全体を彩る一方で、
農作業にいそしむ人物や家々でくつろぐ人物、川を筏で下る人物などを描くことで、この地の牧歌的でおだやかな雰囲気を伝えているところです。
またこの屏風は、同じように周囲に河川が流れ、畑や田んぼが広がっていた千住の旧家に伝来したものであることがわかっています。
当時の持ち主には、歴史的な名所の雅やかさと、自分たちが住んでいる所と近い身近な雰囲気の両方が感じられたかもしれませんね。
↓屏風の画像はダウンロードできます!(足立区立郷土博物館収蔵資料データベース)
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