【ホーンテッドキャンパス 恋する終末論者】
久々の読書感想文です。
角川ホラー文庫から出ています。著者は櫛木理宇さん。
タイトルは、5冊目になります。
いきなりこの巻の話をしてもアレなので、簡単にシリーズの始まりがどんな内容なのかを添えておきます。
主人公の八神森司は、高校時代の後輩で現在は同学年の灘こよみという女性に片思い中。そんなごく普通の大学生だが、彼は幽霊が見えるという体質を持っていた。
そうは言っても除霊とかできるわけではなく、ただ見えるだけ。だから元々幽霊やそういったものが苦手だった。
でも片思いで相手の灘こよみは、どうも幽霊に好かれやすい体質らしい。しかも大学のオカルト研究会というサークルに入るというので、森司はヘタレなりにも彼女を守るため、オカ研に入るのだった。
実際には、変な部長や森司同様幽霊が見える部長のイトコ、酒豪の美女とか色々いますが、今回読書感想文で書きたいと思ったことはそこではないので色々割愛。
で、今回の「恋する終末論者」について。
基本的に、このシリーズは全部短編連作に近い形を取っています。最後の話で、各話に出てきた要素や話題が伏線になってたり。
私が個人的に思い入れがあったのは、二話目の「啼く女」というお話です。
詳しい内容はネタバレになるので書きませんが……こう、書いておきたいところがあるので、そこだけ。
この「啼く女」には、「想像力が欠如した女性」が出てきます。
なんというか、基本的には自分基準でしか物事を考えられず、「それをしたら相手はどう思うか」がほとんど想像できない、という人物でした。
良かれと思ってやったことが、相手にとっては迷惑にしかならない。そんなことを、何の疑問もなくやってしまう人。
実際の内容は、本当に「え、なんでそうなるの」ということでした。
でも現実でも、こういうことってあるよなってすごい納得してしまいました。全く同じではなくても、近いことやってる人……いるよなって。
こういう人に「自分がされたらどう思うか?」って質問はあまり意味がないように思います。実際、子どもの頃、彼女がしでかしたことについて、一ヶ月くらい根気良く説明されてようやく理解した、という描写がありましたが……その人物が最終的にどうなったのか、はここには書きません。
何にしろ、様々なことを想像する力って、本当に大切だなって思いました。
私も、見当違いなことしてるんだろな、と思う瞬間はあります……気をつけたいです。
非常に偏った感想になってしまった気がします。
このシリーズは、全体通して「森司とこよみの動向にやきもき」と「えぐい他人の事情」を楽しむ内容だと思います。
二人に対してじれったくなり、人間のドロドロ見てうわーってなったり。両方の要素が好きな人にはオススメな作品だと思います。