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追ってきたのは人かオバケか

私が幼稚園児の時の話です。
4歳か5歳ぐらいでしょうか。

小さい頃は夏休み、母の実家に、父抜きでよく帰っていました。
父は大変忙しいし、母の実家とは折り合いが悪かったようで…母の実家に帰るときに父は居ない事の方が多かったです。

ちなみに父はオバケにはすこぶる強い人です、霊感というよりは、何か「そういう力」がある人。

そんな父もおらずですし。
母の実家は古くて、なんというかいかにも…出そうな家(笑)
お勝手口のすぐ目の前に小規模な村のお墓ゾーンがあり…
本当に夜は怖かった。


しかし今回はそんな家の中で起こった話ではありません。
夜でもありません。

文字通りの霊感のある姉と、曇りだったけど午前中の明るいうちに、お外に遊びに行った時の話です。

母の実家は、最寄りの駅から山間を車で30分以上は行った所で。バスを逃したら絶望的なぐらい不便な所にあります。多分日に1,2本しかない。

そんなですから、遊ぶと言ったら、公園か神社です。

「まさか神社で何かに遭遇したのか!」と思われたかたが居たらすいません。「公園」の方でした。
神社の方が何か凄いものが居そうかもしれないし、実際その神社は物凄く木々が鬱蒼としており、そこに居られる神様には申し訳ないですが…「出そう」な神社でした。
ほんとごめんなさい神様。
あの時もしかして守ってくれたかもしれないのに。
(母が小さい頃からあった神社のようで、白蛇が木から落ちてきたことがあったとか。なんかこう、ありがてぇですね)


話を戻しますね。そういうわけで、姉は退屈している私の世話を押し付けられたんです。
姉もまだ小学生でしたが、「しっかりしたおねえちゃん」でした。

そんなでしたから、ふたりで遊びに出ることも、特に心配されていなかったと思います。
そんなに人けのある町では無かったですが、それ故に、みんな知り合いみたいな感じだったのかなと思います。
町自体はきっと平和だったんじゃないかな?

そんなのんびり田舎の道、姉と私は15分ぐらい歩いてその公園にやってきました。

公園の入り口に来ると、その人が見えました。
少し距離がありましたが、入り口の反対側の端っこに、男の人が居て…
釣りをしてるんです。

川なんかないのに。
クーラーボックスを横に置いて、釣り糸を垂らしているのです。
何もない空間に。

私は思わず「ねえあのひとなにをしてるの?へんなの…」と口に出してしまいました。
そんなに大きな声ではなかったと思うんです。今思うと聞こえるような距離だったか疑問です。

なのにその人は私の声に振り返り、こっちに早歩きしてきました。

姉は私の手を引いて走り出しました。


私は「変だって言ったから怒ったのかなどうしよう!」とパニックになりながら、必死に姉について走りました。
男の人はまだついてきます。

私は運動が得意な方ではなかったし、私を引っ張って走る姉もまだ小学生です。今思えば、とても大人の足にはかなわないと思うのですが…

なんと母の友達のおばさんのお家まで逃げ切ることができました。
駐車場に隠れさせてもらいながら、こっそり来た道を覗くと、遠くの十字路に走り込んできた男の人が見えました。

走り込んできたんです、その人。

走って来たのに私達に追いつかなかったのは逆におかしいな?と今は思いますが、その当時はとにかく怖くて、それどころじゃなかったです。


しばらくその十字路できょろきょろしていた男の人は、ちょっと顔を引っ込めてまた見たら居なくなっていました。

「いまだ、帰ろう!」と姉は家に連れて帰ってくれました。


後々姉に訊いても「あーそんなことあったようなー」とか曖昧な返事をされるだけで、追いかけられるなんて結構衝撃的事件だと思うのに覚えてないようでした。

親戚のおじさんとかが、「まてまて!」って追いかけて来てたのか…
怒りっぽいおじさんがバカにされたように感じて怒って追いかけて来てたのか…

そもそも、生きてる人じゃなかったのか。

真相はわかりません。
「逃げ切れなかったらどうなっていたのかな」とか、「あの時実は逃げ切れなくて、嫌な事を記憶から消してるだけなんじゃないかな」とか、たまに思ったりするのです。


今回はちょっと怖い話でしたね?
今回はこれでおしまい。

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