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宗教二世に産まれた私が、AVのプロデューサーになるまで_1 

これは宗教二世の目線で統一教会を語るものであり、内情に関しては筆者の幼少期の記憶や解釈に基づく記述です。

世界平和統一家庭連合とは

韓国の文鮮明という人物によって創設された、キリスト教系の新興宗教団体。
旧名の『統一教会』という呼び名の方で知っている人も多いかもしれない。
安部元首相の事件で世間で広く知られるようになったが、
過去も桜田淳子などの著名人の入信や合同結婚式への参加で、度々話題に上がっていた。私も幼少期、世界平和統一家庭連合(以後、統一教会と表記)のイベントに参加した際に、桜田淳子さんやアントニオ猪木さんにお会いし、握手をしたことがある。

以下に、ざっくりと統一教会の教義を説明する。

キリスト教をベースにした新興宗教というものは、大体が救世主イエス・キリストの再臨として教祖が誕生するところから始まる。
救世主=メシアとしてこの世に産まれた教祖が、神の声を聴いたと言い、巧みな話術や奇跡的な事象を信じ込ませて、信者を獲得するというのがお決まりの流れだ。

まず、宗教とはなぜ生まれるのか?
それは、死という決まった終わりの先に何もないことが怖い人間達が、死後の世界を求めるからだ。

では、なぜ人はイエスのようなメシアを求めるのか?
許されたいのだ。罪を許されて、死後の世界では安寧に生きたい。有り体に言ってしまえば、なんか凄い人が出てきて、奇跡的な力で救ってほしいのだ。
そして出来る事なら、この現世での争いごとを収めてほしい!そんなスーパーマンを人々は待ち望んでいる。

誤解を恐れずに言うと、キリスト教ではイエスは神の子であり、原罪(全ての人が産まれながらにして持っている罪)を、死ぬことで償ったとされている。
が、統一教会では、それは霊的に償えただけであって、肉体的には現人類にまだ原罪が残っていると主張している。(!?)

キリスト教でユダヤ人が選民(神に選ばれた民)であったように、統一教会では韓国人が選民である。
文鮮明は洗礼を受けた(=信者)選民の韓国人と、他の国の人間を結婚させて、選民の輪を広げようとしている。
そして、その間に出来た子供(二世)は原罪のない子供だといい、この活動を続けていけば、肉体的に人類の原罪が清算され、全ての人類が天国の門を潜れるようになると説いている。
なので『世界平和統一家庭連合』。
めちゃくちゃざっくり言うと、全人類が家族になれば平和だよね~という宗教なのである。
一世の原罪は雪がれることはない。自分の子供が天国に行けることをただ望んでいる。

宗教一世の親



父:母校(鮮文大学校)にて
母:聖地にて


私の父は韓国人、母は日本人。合同結婚式で結ばれた国際カップルだ。
父は文鮮明が作った大学(鮮文大学校)を卒業しており、統一教会の牧師の資格を持っている。
母は統一教会で婦人部長を務めていた。
バリバリの宗教一家である。

両親が結婚した頃は日本がバブル期で、韓国よりも日本で暮らしたほうが良いと韓国側の家族に勧められたこともあり、日本で生活を始めたらしい。
バブルだったこともあり、父親も教会の仕事ではなく、実入りの良い通常の企業へ就職をした。
だが長子である私が産まれ、暫くしたころにバブルが崩壊。
韓国人である父は真っ先にリストラされ働き口を無くしてしまった。

父親に牧師にならないかと何度も誘いがあったそうなのだが、謎のプライドなのか教会で仕事を貰うことはしたがらず、慣れない日本語に苦労しながら清掃のバイトをする傍ら介護の資格を取り、現在では介護職についている。
母親の方はというと、いつの間にか教会の教育部長になっていた。婦人部長とどちらが偉いのかは正直分からない。

実家での生活

両親・私・弟の4人家族で3LDKのアパートに住んでいたのだが、その内訳はリビング、ダイニング、寝室、祭壇部屋であった。
思春期の頃は自分の部屋が欲しくて仕方が無く、祭壇部屋を恨んでいた覚えがある。

家庭では朝の訓読会、夜の祈祷会が行われていた。
毎日のように、教典(原理講論)を読んだり、神に祈ったり、祭壇に礼拝(ひたすら文鮮明夫妻の写真が飾ってある祭壇に土下座を繰り返し行うというものだ)をしていた。
そして日曜は教会に行き、日曜礼拝に参加する。

こんな状況にも関わらず、私と弟は洗脳されることもなく、普通にグレた。
私は高校を卒業してすぐにスーツケース一つで家を飛び出し、行方不明者として両親に見つからないように成人まで過ごした。
(その間、弟とだけは連絡を取っていたが)
その後は東北で風俗嬢として出稼ぎ労働しながら日銭を稼ぎ、専門学校へ入学。
後にアダルトビデオメーカーへ就職をし、プロデューサーとしてAV制作を手掛けるようになった。

以降、統一教会二世として生きることの実態を、私の半生の記録を交えながら書いてく。

もし今、保護者から宗教の強要を受けている宗教二世がこれを読んでいたら、これだけは言いたい。

別に良い親でも悪い親でも、いつか死ぬ。
貴方が殺す必要はない。
苦しい10代を過ごす事になるかもしれない。
でもその先、80年くらい人生はあるから。まだ諦めちゃダメだ。
振り返ってみれば、あんなに恐ろしかったモンスターは老いた生き物だ。

宗教を信じているのは、それを子供に強要をするのは、子供を愛しているから、子供に幸せになってほしいからだという親の気持ちは理解している。

で、理解はするけど、だから何?普通に嫌だが?
そういうマインドで生きて行こう。負けるな。

続く。

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