有吉の壁、ブレイク芸人選手権から考える大衆扇動

有吉の壁内のブレイク芸人選手権での芸人たちのネタを大衆研で学んだ演説のフレームワーク等を当てはめて比較検討した。その結果、最もブレイクしていると思われるチョコレートプラネットのMr.パーカーJrは、他の芸人と比べて大衆扇動の手法が突出して洗練されていることがわかった。

導入

「有吉の壁」は日テレ系水曜午後7時から放映されているバラエティー番組で、若手お笑い芸人が有吉の用意したお笑いの壁に挑戦し、芸人として成長するというコンセプトである。(wikipediaより)

番組内の企画の一つにブレイク芸人選手権というものがある。
これは普段は考え抜いたコントを行っている芸人たちが、あえてわかりやすく耳に残りやすいフレーズを持ったキャラを演じて、バズることを目指す企画である。

このコンセプトは完全に大衆扇動に用いられるテクニックと同じであり、(言葉は柔らかくしているが)バカでもわかるようにネタを簡単にするというコンセプトを企画としてオープンにしている。それでも扇動される人たちが多いことから、ヒトラーが「我が闘争」において、民衆は愚かだと言い切っているにもかかわらず、大衆扇動に成功しているのと近い部分があるだろう。


いくつかの例をもとにどのような大衆扇動のテクニックが用いられているのか考察する。


①チョコレートプラネット:Mr. パーカー Jr

「Mr. パーカーJr」というキラーフレーズによるサビ始まり。
Aメロ、Bメロと非常にテンポよく進み、音楽による演出でサビ前を盛り上げ
「Mr. パーカーJr」のフレーズを放つ。
最後のアウトロもきれい。
この動画は1つのコントだが、テレビではこれを何本かやるため、さらに強く「Mr. パーカーJr」のフレーズが頭に刷り込まれ、サビ前の音楽の期待感はより高まっていく。

次に真善美のフレームワークにのっとり考えてみる。

真(世界はこうなっている):陽射しが暑い

善(我々はこうすべきだ) :(パーカーを)被れ

美(詩的表現)      :パーカーあれば憂いなし


さらに儀礼的な意味でも
・パーカーという誰でも持っている服装
・フードをかぶるという簡単な動作
・ミスター (a-) パーカー (a-) ジュニア(a)と韻も踏んでいる
・絶妙にまねしたくなるポーズ
とこれでもかと一般大衆がやりやすい儀礼が盛り込まれている。

さらにMr.パーカーJrダンス選手権の開催等リアルタイムで聖性の構造が広がっていくさまが見れて面白い。
チョコレートプラネットはTT兄弟もブレイクさせており、非常に扇動のテクニックに精通していることがうかがえる。


②タイムマシーン3号:鬼ギャルゾンビ

やはりギャル語によるサビ始まり
Aメロ、Bメロは日常会話で流れ、サビはゾンビにかけたギャル語を畳みかける。サビ部分のキラーフレーズが揃ってないのが気になるが、remixバージョンだと「いい墓掘ってんねー」でサビが統一されていて見やすい(有吉の壁のスタッフすごい)

あくまでコントであるため、真善美のようなメッセージ性は見受けられなかった。
Mr.パーカーJrと比べると服装はまねしずらいが、「いい墓掘ってんねー」はやりやすいか。ただやはり大衆扇動の域まで達しておらず、Mr.パーカーJrほど流行っていないのだろうか?

③ジャングルポケット:ストレッチャーズ

こちらはキラーフレーズがない代わりに、真善美にのっとったメッセージ性を持つと考えられる。

真(世界はこうなっている):通常のストレッチ

善(我々はこうすべきだ) :ほぼ負荷のかからない謎の動さ

美(詩的表現)      :謎の顔と音楽?

美の部分は無理やり感があるが、絶妙にやってみたくなる。

まとめ

・キラーフレーズ(サビ)とメッセージ性(真似したくなる感じ)の2方面から解析する形になり、
①両方を持つ、②キラーフレーズのみ、③メッセージ性のみ
の例として分類した

・キラーフレーズとメッセージ性の両面を併せ持ったMr.パーカーJrが扇動力という意味で突出していていることがわかった

・チョコプラの例から大衆扇動によって儀礼をはやらせることでそのまま聖性の構造形成に発展させていくという流れがあることがわかるか?

・タイムマシーン3号のように編集でサビを作ることもできる。MADとかもそんな感じか?

・もう少しtwitterやTik Tokでのデータを基にした解析結果を調べて、詳しく違いをみたい



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