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【読書日記】5/25 舞ちゃんがんばれ!「きりきり舞いのさようなら/諸田玲子」
きりきり舞いのさようなら
諸田玲子 (著)光文社
江戸の戯作者・十返舎一九の娘、舞が変人奇人に翻弄されつつ奮闘するシリーズ第4弾。
以前にもご紹介していた「きりきり舞い」の最新版です。
発行は2021年12月。好きなシリーズなので新刊発売の時にすぐ読みたかったのですが、タイトルに「さようなら」、とあったので、「あ~、一九さん亡くなったのか・・・。悲しいなあ」と思って読むのをためらっておりました。
しかし、先日「貸本屋おせん」を読み、江戸時代の出版文化、戯作者や浮世絵師の話に触れて、「うん、やっぱり読みたい」となったのです。
十返舎一九といえば辞世の句が有名です。
「この世をば どりゃ おいとまに せん香の 煙とともに 灰左様なら」
本書でも、一九らしい素敵な(?)お葬式でありました。
さて、本書では一九一家は、大火で命からがら焼き出されてしまい、無一文となり、北斎が世話してくれた長屋に仮住まいすることになります。
しかし、焼け出された長屋の住民たち、大火の中で逃げる途中に足手まといとばかりに知り合いの家族に押し付けられた老婆、さらには同じく焼け出されたお狐さま(町内の稲荷社の祠にいた眠そうな顔のご神体)まで転がり込んできたからその食い扶持だけでもさあ大変。
娘の舞は、今日もきりきり舞い。
火事は悲劇だし、養う口はなぜか多い。本当に大変なのですが、舞ちゃんはいつも明るい。
変人だけど愛する家族と奇人だけどにくめない友人(北斎の娘、お栄)に囲まれて今日も頑張ります。
忙しいと、いつの間にか目がお狐様以上にぎりぎりと吊り上がっていく自分をちょっと反省です。やっぱり、笑う門には福来る、ですね。