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【読書日記:余談】6/4 新学社文庫 再読中

noteを始めてから、改めて自分の読書のことについて考える機会が増えました。
今まで読んできた本、影響を受けた本についても思い出して再読しています。
最近の再読率の高いものでは小学校か中学校での頒布会のようなもので買ってもらったシリーズで、「新学社文庫」です。

リストを配られて希望者が申し込むのですが、母が読ませたい本と私の欲しい本がずれてしまって、ふてくされた記憶があります。
買った本を読まないと怒られるというか、基本的に積読禁止(読んでいない本があるのに新しい本を欲しがるなど、もったいない)、の方針だったので、内心で「私が興味のない本は買わないでほしい」と反抗しておりました。

新学社文庫ラインナップ

今、思えば、さほど余裕があったわけでもない家計からやりくりして買ってくれたわけで(同級生の中でも群を抜いて申し込み冊数が多かった)ありがたいと思います。親の心子知らず。
そして、見直すと結構、良い本が多いんですよね。

現存しているものは二十数冊ですが、元々はもっと多かったのです。私の子供時代の本は、実家が台風で雨漏り被害にあったときにかなり傷んでしまって処分せざるを得なくなりました。

ちゃんと巻末に解説や作品の見どころ、などの学習に役立つページが掲載されているのも学校頒布本らしさでしょうか。

改めてじっくり見てみると装丁は棟方志功。扉絵は日輪の烏と月の兎で格調高くしあがっています。

棟方志功の扉絵

新学社文庫発刊のことば、がまた良いのです。

 人生の大きいよろこびの一つは、ことばと文字をもち、読み書きのすべを伝授されたことにある。これあるがゆえに人は、ひとりひとりの寿命こそ短いが、祖先から子孫に通じて文化の継承という永遠の発展性をもち、宇宙の秘められた調和と法則をも解明することができる。また個人の生涯においても人は読書により古今の賢者を師として、はるか数千年の歴史をさかのぼり、また広く東西の知識を学ぶことができるが、読書を外にしては祖先がのこしてくれた文学上のおおいなる財宝や、真実な盟友、親切な忠告者、愉快な伴侶を得ることが難しいであろう。
良書は何をおいても読むべきである。
弊社はここに新学社文庫を発刊するにあたり、多感にして吸収力に富む若き日にぜひ一読すべき良書を精選して広く若人にすすめ、愛読をこいねがう。
 昭和43年5月  奥西 保
 監修 武者小路実篤 麻生磯次 三輪知雄

新学社文庫発刊のことば

現役の「若人」のときは、母の目を憚っておざなりに読んだだけのものもあったのですが、それ以降折に触れて手に取ってきました。
最近では、特に「現代日本詩集」を読み返しています。「若い君に」という巻頭詩が堀口大學で、編者は浅野晃。
最近のアンソロジーにはほぼ収録されないだろうな、というものも多いような気がします。
章立てが「春」「夏」「秋」「冬」や「人生」「旅」「友と愛と勇気」などは、よくあると思うのですが「祖国」「責務と献身」「勉強・努力・希望」「慷慨」などは珍しいかと。時代性もあるのかな。(私が買った版は昭和57年版ですが発行は昭和43年)
中学生の頃は、難解なものが多くてパラパラの拾い読みでした。また、しっかり読んだら読書日記にも書こうと思います。

数十年の時を経て「良書は何をおいても読むべきである」という親心が身に沁みます。
(書きぶりが微妙になってしまいましたが、母は健在です。)