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【読書日記】4/12 国語の教科書が大好きだった。「くじらぐもからチックタックまで」

くじらぐもからチックタックまで 石川文子編
フロネーシス桜蔭社

新しい学年も軌道に乗り始めました。こどもの音読も新しい教科書になりました。
こどもたちが教科書をいただいてくると、真っ先にチェックするのは国語の教科書。

私のときと同じお話に懐かしさをおぼえたり、新しく採用されているお話で私の好きな作家さんだとちょっと上から目線でウムウムお目が高いとうなずいてみたり、初見の作家さんと出会ったりと楽しいのです。

本書は、昭和40年から平成16年までの40年間の小学1,2年生の教科書に採用された童話の中から採用頻度を調べて選んだ作品集です。

「くじらぐも 中川李枝子 著」「チックタック 千葉省三 著」「スイミー 谷川俊太郎 訳」などなど目次を見ているだけでうれしくなってきます。

私が使った教科書では採用されていなくても、他の機会に見聞きした童話が多く収録されているので、懐かしいですし、読み聞かせにもちょうどよさそうです。
そして、それぞれの作品の背景も添えてあるので、こちらも読みごたえがあります。

特に「くじらぐも」
へえ、ぐりとぐらの中川李枝子さんだったのね、と気付いて驚きますが、本書に納められている「くじらぐもができるまで」は一読の価値があります。
教科書の編集委員だった石森延男氏から「文字を覚えたこどもたちのために、楽しいお話をかいてください」と依頼されたことがきっかけで、徹底的に一年生のことを研究したこと。
中川さんの子供時代は戦争中で、疎開した時の寂しさを紛らわせるために前の学校との共通点を探し、それが校庭と空だったこと。

だからこそ、青空の下、手足を伸ばしてみんなで体操する喜びを表現したかったということ。
そして、安心して手足を伸ばせる、ということが大切なこと。
なぜなら、空から何も落ちてこないのは平和だから。戦争中なら、こうはいかない。
この作品の根底にあるのは、平和であることへの祈り、だと。

さらに、子どもたちに平等に分かりやすく楽しめること、読みやすく分かりやすい言葉をつかうことなどなどの工夫・・・。

なんとまあ、何気なく読んだ「くじらぐも」にこれほどの思いと愛情がこもっていたなんて。
しかし、だからこそ、すべての子供たちに愛されて、大人になっても愛されるお話しなのかもしれません。

「国語」の授業、もちろん、漢字も文法も大切だけれども、何よりも「本を好きになること」を教えてあげてほしいな、と思っています。