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【読書日記】2/18何時でも何処でも少女は少女「赤ずきんの森の少女たち/白鷺あおい」

赤ずきんの森の少女たち 
  白鷺あおい 著  東京創元社

 新刊案内に惹かれて。

 神戸の高校生・かりんと従兄の慧の亡き祖母は、神戸の空襲の日、6,7歳で日本人に保護されたドイツ人。二人は、祖母の遺品であるドイツ語の本を翻訳することにします。

その本は19世紀末、闊達で向学心に溢れた少女ロッテがドレスデン郊外の寄宿学校に転校してくるところから始まります。
 寄宿学校は、グリムの赤ずきんの物語の舞台とされる森の近くにあり、皮だけの狼が徘徊するという怪談がある。そして、高価なマイセンの食器やドレスデンの崩壊を告げる予言文書が隠されているという。
 ロッテは、転校早々、これらの謎に巻き込まれていきます。
 知的でボーイッシュなドルトヒェン、つんとしているけれどその実ロマンチストな貴族令嬢マーレ、面倒見の良い優等生ベルタ、黒髪に青い目の日独ハーフのリースヒェンなど同室の少女たち。
 読み進めていくうちに、作中の少女と現代神戸のかりんたちの祖母が重なり合うところが出てきて・・・。

寄宿学校、隠された文書や宝を探す謎解き、森に住んでいた赤ずきんのおばあさんの正体、精霊の世界につながっているといわれる巨木の洞、狼と森の王、夢遊病の少女、神戸のお化け人形とドレスデンの絡繰り人形、時間旅行、未来を予言したという謎の画家、暗示される二つの大戦・・・。

少女+探偵+ファンタジー+SF+冒険+恋、と心惹かれるモチーフが次から次へと現れて、これらがきれいに収まるべきところに収まっていくのは心地よいです。
また、私は、寄宿舎ものや女学校ものなど女の子たちの群像劇が好きなので楽しく読みました。こういう物語に出てくる女の子たちを、子供の頃は少し上の世代のロールモデルとして憧れ、成長した少女時代には同世代の友人とみなし、・・・今では娘として応援しているような感じ、でしょうか。

色取り取りのドロップスが詰まっている缶のような多彩な楽しみ方のできる物語でした。

※見出し画像は 赤ずきんの一枚絵。(1872年)
一枚絵は庶民のための絵入りの新聞のようなもの。読み書きが十分にできない層向けに、宗教の教え、様々な知識、珍しい話、物語などを伝えるメディアとして19世紀頃には盛んに刷られていたそうです。
グリム童話が描かれている一枚絵を紹介している「目で見るグリム童話(野村茂:著)」から赤ずきんのページを撮りました。ちょうど、作中の物語と同時代なので面白く感じたので。
それと、「赤ずきんの森の少女たち」は、電子書籍で読んだので、書影が無くて。可愛らしい女の子のイラストで素敵でしたよ。