【読書日記】6/20 合歓が咲いた。夏至が近い。「リーサの庭の花まつり/ベスコフ」
リーサの庭の花まつり
著者 エルサ・ベスコフ (さく・え),石井 登志子 (やく)
童話館出版
高速道路を走行中に眺めている山々、この季節はたっぷりのうるおいを得てそれはもう濃い緑になっています。その緑の中に美女のためいきのように繊細な淡い紅色が浮かぶようになると、ああ、夏がくるなあ、と思います。
合歓の花です。子供の頃に、しきりとつっついてみてお辞儀しないオジギソウ、つまらん、と思うあの花です。歓び合う、と書く美しい名前の花なのですが。
それはさておき、夏至が近づいてきました。
そんな今日は、この絵本。
リーサが花たちと一緒に夏至祭りを楽しむ物語。
エルサ・ベスコフはスウェーデンの方なので、「夏」、「太陽」といったものに寄せる思いが私とは違うのだろうな、と思います。
私にとっては、夏も太陽も勢いが激しすぎて「いえ、もう充分です。どうぞお手柔らかに」と言いたくなるのですが、北の国では命を寿ぎ、太陽の恵みに感謝する季節なのだろうと思います。
リーサは、夏至の精の計らいで、花々の世界を垣間見ることが出来るようになります。
ヤグルマソウや、マーガレット、ケシなどの草原の花たちがみつばちやマルハナバチたちと到着します
森からはもう少し静かなお客様、チョウチョウラン、野イチゴ、こけもも、まつかさ坊やたちがやってきます。
庭では薔薇の女王をはじめとする華やかな衣装のシャクヤク、ライラックなど宮廷風。
池と沼からはあしの紳士や黄しょうぶの騎士たちがやってきます。
それぞれが美しい歌をうたい、お祭りを盛り上げます。
一方で、庭に侵入しようとする雑草たちと野菜たちの攻防戦も繰り広げられています。
この雑草たちのふてぶてしさも一興です。
最後はカエルの子守歌で夏至祭りもおひらきです。
この世界には色々な生物がお互いに影響を与え合いながら暮らしています。
夏至の日、普段は人の見えない世界にも思いをはせたいと思います。