2020年12月号 土の恵みと歴史ロマンの冬
春夏秋冬亀成園便りの24作目です。三重県松阪市飯高町での自給率の高い暮らしをする小さな自然養鶏農園からの季節レターをお楽しみください。
【亀成園便りここから】
激動の2020年も残り少なくなりました。人々の意識変革がたくさんありましたが、健康への関心が一段と高まったようですね。健康を支えるのはなんといっても食事と睡眠です。日照時間の長い今年は葉物野菜がよく出ています。不安な人々に静かに活気を与えてくれる土の恵みには頭が上がりませんね。亀成園の畑でも冬野菜がわしゃわしゃと盛り上がっています。鍋物に煮込み料理に、身体を温めて整えてくれる野菜をこんにゃくと共にたっぷり取り入れていけるのが幸せです。
お米仕事がひと段落して稲わらがたくさん出てきたので、わら細工やしめ縄を練習中です。縄をなうだけでもすぐに手がカサカサになるし、力が足りないとすぐにもろもろになってしまい、道のりは遠そうですが、そのうち鍋敷きやかごが作れたらいいなぁと憧れています。百姓仕事はキリがないけれど、あるものでいるものを作る営みの繰り返しなのだから、あるうちに練習しなければね。
飯高町はとても広くて、まだまだ知らない場所がたくさんあります。連れて行ってもらった川辺の散策路を歩いた先で、向こう側が見える素掘りのトンネルがありました。そこは昔、発電所を作るために川の流れを変えたのだそうです。人の手が入ったところが時間をかけて野山に馴染んで廃墟のようになった場所に思いがけず巡り会えました。しかもそこはよく知っていた場所のすぐ近くだったのです。地元、発見です。
亀成園がゲストハウスをするのなら、お客様はこの近辺に興味があるだろうと、香肌峡の魅力をずっと探して溜めてきておりますが、旅人は山登りや川遊びをするばかりではないと最近気付かされました。伊勢参りの後に亀成園に泊まり、それから奈良観光に行かれた方があり、観光地を結ぶ穴場としての力もあると見直しました。
その気付きもあって、先日は意外と近い奈良に出かけ、明日香村にあるキトラ古墳を訪れて来ました。極彩色の壁画が残されていたことで有名な古墳で、すっかり復元された後に埋め戻され、今はちんまり静かに残されています。謎に包まれたまま憩いの場を提供する素敵なところでした。
旅人が求めているのはどんなところか。ふしぎ発見の探索は続きます。
【亀成園便りここまで】
亀成園便りは毎月卵の発想が近付くと締切りに追われるように一気に書きます。鶏のことや亀成園のことだけでなく、周辺案内やそのとき私がハマっているものなどなかなか多岐でつかみどころがないのですが、その月その月は不思議と一連のまとまりがあるようになっています。
そしてこの書き直し作業でもまた、ちょうど似たようなテーマでの考察とリンクすることが多く、我ながら謎の多いお便りなのですよ。
目に留めて下さったどなたかにもリンクすることがあると、とても嬉しいです。
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