2021年6月号 ホタルの光は守るあかり
春夏秋冬亀成園便りの30作目です。三重県松阪市飯高町での自給率の高い暮らしをする小さな自然養鶏農園からの季節レターをお楽しみください。
【亀成園便りここから】
蛍飛び舞う6月です。今年は梅雨入りも早く、気温が上がるのも早いので、蛍もあっという間だろうなと心配していたら、わりと温度上昇がゆるやかになり、雨ばかりでもなくなり、ゆっくりゆっくり蛍が動いています。
芸術的な写真を撮るのはハードルが高く、ぼんやりと灯りを捉える程度ですが、至近距離で見ることはできます。例年隣の地区で行われていたこの辺りでは貴重な夜遊びの日になっていたホタル祭もありませんので、ひそやかな観賞です。
ちょうどホタルブクロも咲いてきました。この辺りでのホタルブクロは紫色ではなくもっぱら白色です。初夏はなんだか白い花ばかり。見分けがつかないともどかしいけれど、これはわかる花なので見つけると嬉しくなります。
花の場所を覚えて蛍を誘導できますかね。
夏野菜の芽出しも順調です。ウリ科の芽でグリーンカーテンにするといえばゴーヤが一般的ですが、この夏の鶏小屋前はヘチマにすることにしました。ゴーヤやハヤトウリは採れすぎて持て余してしまうので、趣向を変えてみましたよ、他に夕顔の苗(かんぴょうの原料になります)も頂いて、亀成園のあちこちで天然のグリーンすだれを観察できそうです。鶏たちも少しは涼しく過ごしてくれるといいです。
春に迎えたヒヨコたちが随分大きくなりました。もうヒヨコとは呼びにくい成長途中です。烏骨鶏も3回孵化を試み、合わせて10羽程育っています。春から初夏のヒヨコがいる時期は、訪れてくれた子供たちもより喜んでくれます。この2年は片手で足るほどの機会しかありませんでしたが、この体験をもっと多くの子供たちにしてもらえるよう、卵の数もヒヨコの更新も鶏の安全も、いろいろ守っていかなければいけませんね。
散歩コースのひとつでもある、水路を巡る道を通ると見えるのが、五葉松です。地域のお寺のシンボルとなる木でもあります。樹齢の高い木が地域を見守ってくれていた歴史を思えば、この数年の待ち時間は小さなものかもしれません。またこの里山に子供の声が響くことを願っています。
【亀成園便りここまで】
全然子供が増えなかったこの頃に放った願いが報われて、数年経った今では飯高町のあちこちで新しく来た子供たちの笑い声が響いており、その流れはまだ続いていきます。
来てくれた子供たちはかなりの確率で亀成園のヒヨコにも会ってくれますし、草花や生き物の話にも耳を傾けてくれるので、気を抜かずに好奇心に火をともすことを伝え続けていかなければなと思います。
この頃育て始めたヘチマも毎年少しずつつなぐことができており、早いうちに食べたりスポンジになったりしています。暮らしのつながりはいつだって楽しい話題です。
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