2019年9月号 台風にめげず、怠らず、受け止めて
春夏秋冬亀成園便りの9作目です。三重県松阪市飯高町での自給率の高い暮らしをする小さな自然養鶏農園からの季節レターをお楽しみください。
【亀成園便りここから】
残暑お見舞いはあまり使ったことのない挨拶だったのですが、今年は夏が暑過ぎなかったわりに、残暑が厳しく感じます。聞こえるのはすっかり秋の虫の声なのに、夏休みを引きずりそうでちぐはぐなかんじです。畑はもう冬準備を始めるのには遅いくらいだし、亀成園も先を見越した仕事に次々取り掛からねばならないのに、暑さに引きずられて切り替えができずにおりますよ。言い訳ですかね。
鶏たちの方が適応に素直で、秋の声を聞いてから産卵率もいいです。春生まれの若いメスも産卵するようになり、頼もしくなりました。毛色の違った個体なので、つい名付けてしまいます。
飯高町の地で自然に囲まれて、やりたいことは多々ありますが、森を守る活動の一歩として、くぬぎのドングリから育った苗木を裏山に植えることができました。小さな大きな一歩でした。
お米も順調に穂を付け、日に日に重たく育っている様子です。ひえを見逃していたら負けてしまいそうになるので、まだ目が離せませんが、立派な黄金色に近付いてきました。奥に見えている赤茶色の穂は古代米です。生育が遅くて心配していたけれど、どうやら後から追い付いてきてくれたようです。共に収穫できれば元気な色混ざりご飯になりますね。
近隣の田んぼのほとんどは、8月末から9月いっぱいで収穫が終わります。稲作地域では毎日コンバインが大活躍です。亀成園の田んぼは昔ながらの手刈りの予定ですが、圧倒的に強そうなコンバインを眺めるのも楽しいです。
もう新米は召し上がりましたか。毎年の水と緑の営みの深慮に少しは近付けたのか、ちっともなのか。稲の声が聞きたいものです。
谷間では時々虹がかかりますが、今月見たのはとりわけ大きな虹でした。不安になるほどの大きな虹の橋。日々の積み重ねはあまりに小さいけれど、大きな道を目指しているのかもしれないと希望を新たにしましたよ。
【亀成園便りここまで】
古代米の画像は写っていなかったですね。稲穂の色が違うので、田んぼアートなどに使われることもあり、濃い赤色のものや黒、紫いろなどたくさん種類があります。そんなことも知らなかったのですが、2022年度は亀成園でも紫の稲を入手しています。古代米の名のごとく、縄文時代に作られていた流れを汲む稲(小学校の授業でも使われます!)や、香りがあってアジア地域でよく食べられる種類など、稲から知る人の歴史は本当に奥深いです。
そんなことも田んぼを始めてからつながった人脈を通じてわかったことです。稲作マニアの人に出会えるとは幸せなものですね。他にも鶏からつながった人がいたり、森への興味からつながった人がいたり。農村の人のつながりは興味のあることからつながっていくことが結構あります。