過去のM-1グランプリ01年〜10年まで観てきた感想
M-1過去10年を振り返ってみると感慨深いものがあった。自分がお笑いの、ネタというものを好きになったのは99年スタートの爆笑オンエアバトルの第二回か三回目くらいを初めて観て、ハマった。
ここで、芸人の本ネタというものを知った気がする。
その少し前くらいはボキャブラ天国が絶頂期で、徐々にブームの終わりかけくらいに始まった。ボキャブラ天国では芸人はダジャレネタしかやらず、ギャーギャー騒いでいるだけ、という印象であり、若手芸人ってつまらないな。やっぱりダウンタウンやウンナン、とんねるずだよな!と思っていた。
しかし、ボキャブラ天国でブレイクした爆笑問題、ネプチューン、海砂利水魚らも、その後正月や笑点の前半コーナーなどで本ネタの漫才やコントを観る機会があり凄い面白くて、とんでもない誤解をしてたと思い知ることになった。
そうやって自分がネタというものにハマっていくにつれ、世間も徐々にお笑いブームへと流れていく。ダンディ坂野やテツトモ、はなわらが売れ始めていく。
オンエアバトルで勝ち上がって来ていた中川家やハリガネロック、ますだおかだやアメリカザリガニなどが、M-1の初年度でゴールデンタイムで堂々と漫才をしたのを観て感動したのを覚えている。
世間も、漫才って面白い!と気付き始めた。しかしかつてのような漫才ブームで一過性で終わるのではないかと危惧していた。
しかし、そうはならなかった。
ただその反面、個々の芸人たちは飽きられ、使い捨てにされていた。いわゆる一発屋だ。
絶対数が多いので、飽きられても次から次へとどんどん新しい芸人がやってくる。お笑い、というより芸人のブームがあった。
しかし、漫才コンテストとしてのM-1は毎年開催された。関西ではABCグランプリなど、むしろ当たり前にあるコンテストでも、全国的にはM-1が初の毎年開催のお笑い賞レースとなった。(厳密にはNHKの新人演芸大賞などがあるが、規模や知名度は比べ物にならない)
M-1はリアルタイムでも毎年見ていたが、久しぶりに振り返って改めて思うのは、毎年明らかにどんどんレベルが上がっている、ということだ。競技人口が多いというのも要因だが、優勝者や決勝進出者の芸人としての人生が変わる瞬間というのを目の当たりにするからだ。
M-1に人生を賭ける!という芸人や学生時代にM-1に憧れて漫才やるぞ!という新世代のハライチなどが時代を作っていく様を見るのも楽しみになっていた。
毎年出てるコンビや期間を空けて決勝進出したコンビなどのパワーアップやダウンを凄く感じることもできた。
フットボールアワーやチュートリアルの成長には度肝を抜かれたし、笑い飯も毎年バカバカしく楽しませてくれた。
逆にアメリカザリガニなどは初年度の出来は素晴らしかったが、出る度にM-1にハマらなくなっていく感じが非常に残念だった。
新人にも驚かされた。02年の笑い飯、04年の南海キャンディーズ、10年のスリムクラブなどは当時、とんでもない新星が現れた!と思ったものだ。
最終決戦の凄かったのは、03年と07年だ。この2年は3組ともレベルが高すぎて審査員泣かせだったと思う。漫才のレベルが高すぎて凄かった。
06年は漫才というジャンルの幅の広さを感じた。5人漫才のザプラン9や素人漫才の変ホ長調、過去のチャンピオンが初めて登場したのもこの年。安定した横綱漫才も観ることができた。バラエティに富んだ年だった。
劇的だったのはやはりサンドウィッチマンの07年。無名からの駆け上がっていくサクセスストーリーだった。
様々なドラマが生まれたM-1初期10年。
芸人がいかに真面目で真剣に戦っているのかがよくわかるVTRの番組の前半に流れるようになった。お笑いを下らないものと吐き捨てたかつての大人たちはM-1グランプリが始まって反省したに違いない。
10年で笑いは大きく変わった。そして、ダウンタウン松本人志という人は、かつて若手をあまり認めなかった。褒めなかった。さらに、若手のネタで笑うなどありえないし、考えられなかった。
「おもんない、フン!」みたいな感じで若手がネタをやっても一蹴し、さらには若手の名前すら呼ぶことも少なかったイメージがある。
しかし、02年から03年あたりにかけて彼に変化が現れた。若手の漫才で笑うようになってきたのだ。
印象に残っているのが、アンタッチャブルのファーストフードのネタで楽しそうにケラケラ笑っていたのが映っていたのだ。
リアルタイムで見たとき、あの松ちゃんがアンタッチャブルのネタで笑っている!と思った。フットボールアワーのことも、おもろいっすねーと素直に認めるようになったし、初年度の麒麟に対しても、笑ってはこそいなかったが、僕は今までで一番良かった!と賛辞を送っていたのだ。
カリスマ松本人志の変化の歴史も、このM-1グランプリで感じることが出来た。
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