事業を始めてからの初めての給料
ゴールドトレジャーを引き取ってから、来月の25日で一年になる。
この一年間は、とにかく辛かった。
開業が昨年の10月。
開業資金だけでも四苦八苦したが、馬社員が3頭やって来た。
毎月の締め日に冷や汗をかき、支払日にはお金を掻き集め、クタクタになった。
馬を迎える初期費用の工面に、眠れない程に追い詰められ、それを終えると、毎月の飼育代が秒で待ち構えていた。お金の苦労はどこまでも追いかけてきた。
事業が回り出すまでの一つの目安がやはり1年なのだろう。
今月になって、開業以来、僅ではあるが夫の給料がとれた。
本当はもう少し多かったはずだが、今月は馬社員達のための爪の手入れと予防注射の出費が10万を超えていたので、予定より少ないものであったが、初任給の様に嬉しかった。
それは一万円札が3枚。
あぁ…回り出した…。
夫と手を取り合い、泣いた。とても大金に思えた。
支払いを滞る事なく、微々たるものでも会社の資産を積み上げる事が出来、馬や猫の生活を支えてやれる。
その会社の資産は、やがて馬達の天寿を全うする為の資金へと変わる。
私がいなくなったとしても、こうして馬社員達の生活は担保される。あとは頑張り、継続しかない。
しかし、この緊張が一年近くも続くと、少しだけ心を休めたくなった。
次にやってくる仔をじっと待っていようと思う。
その仔が一つの区切りとして役目を終え、私達の元へとやって来るのを見守りたい。
それまで少しの間当たり前の日常を過ごしたい。
疲れたねー。お母ちゃん、頑張れたかね…?
すぐに元気になるよ。だって立派なセラピーホース達に囲まれているんだもんね。
ありがとね。トレジャー、藍ちゃん、ミーちゃん、
バリ、ルー、ミルク、そだち、アン、ブルー、タマモ。お空のオーシャン。
みんな、みんなお母ちゃんが守っているから、思う存分我が生涯を生きなさいね。
母ちゃんは、少し休憩。
とにかく、眠くて、眠くて…。おじいちゃん、必ず側におって下さいね。