#選択の代償 第10話
おはようございます、「選択の代償」、亀川がお送りしております。
前回までの当時の状況は、1999年11月頃の記憶です。何やら癖のあるXX氏という投資家が登場し、私が適任者かどうかの面談まで進みましたが・・・
その面談から2日後、マイク氏から連絡がありました。「先日のXXX元常務の面談、お疲れさまでした、一応、話を前に進めるという事になりましたので、私の都内のオフィスに来てもらえますか?」「場所は、築地です」、私は「はい、わかりました・・・」、M氏「では、明日の13:00でいかがですか?」
そして私は、指定された場所に向かうことにしたのだが『ホントに、投資なんてしてもらえる?』『それに、どんな仕事をするのか、未だわからない・・・』『ひょっとして、仕事自体が、怪しい?・・・』などと、思いが巡るばかりで、ただただ、ドキドキ感がどんどん膨れ上がる状況でした。
今から思うと、このようなときに、冷静に物事を分解して考える論理的思考の技を身につけていたら・・・と反省しております。
鎌倉での怪しげな草庵の面談は別としても、西新橋での「投資家」との面談においては、何か準備をすべきでした。更に、相手側のジャッジ(判断)がYesと出たのであれば、何かしらの準備をすべきだったのかと・・・
当時、ここまでの話を第三者に相談しなかったことも、是か非か反省すべき点でもあります・・・
そして、なんの準備することも無く、指定された築地のMAIAという会社の事務所を訪問しました。すると、マイク氏が迎えてくれ、中に通されました。そして、「初めまして、MAIAの代表の、元木です」とまた新たな登場人物とあいさつを交わすことになりました。
そのオフィスの中は女性が一人と、4名ほどの男性がなんとなく(というか、散在的に)デスクに座っておりちょっと異様な空気を感じました。なぜなら、全員の目線が私に向けられた際に、とても訝しげな、猜疑心にもにた視線であったように思います。私は『やっぱ、なんかマズイ気がするな・・・』と頭をよぎりました。
マイクと元木社長は、私の正面に対座し、話を始めました。
元「一応、マイクからここまでの経緯は聞いているので、細かい説明は要らないが・・・今、貯金はいくらある?」
私『えっ?やっぱりなんか怪しい・・』「特に、まとまった個人の預金はありません。マンショに移り住んだばかりなので・・・」
元「そうか、しかしながらストックオプションの経験はあるんだろう?どのくらい儲かった?」
私「いや、それほどでも・・・とりあえずXX百万くらいです」
元「一山当てたいと思ってるんだろ?それなら、最低限の種銭は必要だぞ!とにかく、種銭貯めないと先に行けないから・・・」と吐くように言ったその彼は、細身で神経質そうな雰囲気で、まるでカマキリみたいに見えた・・
元「さて、今回の案件だけど、本来はうちで狙っていたんだが、どうにもこうにも適任者がいないことはわかっていたので、これまでの流れになった。XXX元常務と面談してどうだった?」
私「いえ、特に・・・これまでの自分には縁の無い世界の方のように思えました」
元「そうだろうな、あの上場した会社実際に本社オフィスを見せてもらったけど、凄いぞ!全員の席のPC画面に自分の保有する自社株の時価総額がリアルタイムに映っているんだ。全員が持ち株会に入っており、自己資産が見えるんだよ・・・ありゃ、驚いた。だから、自分の仕事の評価が、ダイレクトに毎日映し出されるようなもんだからね・・・」
私は『外資系でのプレッシャーもさることながら、日本企業でもこのような会社があることに驚かされた』そして「それは、スリリングですね。緊張感があっていいですね」と答えてしまった。・・・
そしてこの続きは次回となりますが、このMAIAが大きな起点となるとは、この時点では全く予想していませんでした。