起承転結が大切
ビジネスでは:結:から言うのがトレンド
「結論から先に言いなさい」
「山中商事から契約破棄との意思表示を受けました。」
「はあ!? 聞いてないぞ、そんな話!」
「はい。今初めて報告しています」
「いったい、なにがあったんだ!? もったいぶってないでさっさと話せ!」
承:ビジネスで大切なのは報連相
「今回の山中商事との契約内容はすべて、島田専務のご提案です」
「ああ、もちろん知ってる。専務から俺に直々に、陣頭指揮をとるようにと指示されたんだからな」
「そのことを山中商事の滝本社長はご存じありませんでした。島田専務からなんの意思表示もないことでご不興を買いました」
「なに? なぜお前たちは専務の意向を伝えなかったんだ」
「部長が直接、滝本社長に話を通すとおっしゃったので」
「俺はそんなことは言っていない! 君の怠慢の責任を押し付けるつもりか!」
「それはまだ良かったのです。連絡の行き違いということで、ご納得いただけました」
「じゃあ、なんで契約破棄になんか……」
転:結から話すと驚かされることも出てくる
「私は今回のプロジェクトから外して欲しい旨、部長に申し上げました」
「ええ? そうだったか?」
「はい。部長は『仕事を選り好みするな』と怒鳴りましたよね」
「いや、覚えてないよ。そんなことしないだろう、俺は。コンプライアンスにはうるさいんだ」
「ええ、うるさいですよね、部下には。ですが、その態度がすでにコンプライアンス違反、パワハラです」
「そ、そんなわけないだろ。それより、山中商事の話だ! どうなったんだ」
「私は山中商事の滝本社長から執拗にセクハラを受けていました」
「なに?」
「ですので、今回、お尻を触られたときに背負い投げで嫌悪感をお伝えいたしました」
「背負い投げって!」
結:長すぎずに一件落着するとスマートなのだが
「そういう経緯です」
「それならそうと契約破棄になんかなるまえに、一言相談すればいいだろう! 俺の顔に泥を塗りやがって! 報連相はビジネスの基本だ。基本もできていない社員なんかいらないんだよ!」
「よく理解しているようだね、飯塚部長」
「島田専務! もうしわけありません。今回は部下の不手際で……」
「君の不手際だよ、飯塚くん。辞表は明日までに用意してくれたまえ」
「え、なんで、私が……? 悪いのは全部、この島田で……。え、お前、島田って」
「専務の島田は私の祖父ですが、なにか」
「早く言えよ、そういうことは!」
「ビジネスでは結論から先に言うのが大切なのでしたね。部長からの最後のご指南、とてもためになりました。今までありがとうございました」
執筆に必要な設備費にさせていただきたいです。