ベトナムラーニングジャーニーで感じたこと4 ベトナム初のミシュラン星付きレストランへ行ってみた
ベトナムラーニングジャーニー記事第4弾です。これが最後です。
2023年、ベトナムでは初めて4つのレストランがミシュランガイドの星を獲得しました。
うち3店舗がハノイ、1店舗がホーチミンシティにあります。
今回、ホーチミンシティ唯一のミシュラン星付きレストランAnan Saigonへ訪れてきました。Anan Saigonはアジアのベスト50レストランにも選ばれたという実力派です。
こうした「わかりやすく特別なお店」を訪れ、予約から退店までの体験を踏まえ感じ・考えたことを残しておきたいと思います。
どうぞお付き合いください。
〇予約はメール or FB Messengerのみ可能~入店まで
Opentable、Resy、食べログなどといったオンラインプラットフォームではなく、予約はメールかFacebook Messengerでのみ可能でした。
言った言わないが防げるうえ、プラットフォームへの手数料が発生せず、かつ言語の壁も翻訳アプリで基本的に突破できるので妥当と思います。
返信は24時間以内に行う、ということでしたが実際に返信があったのは34時間後くらいでしたでしょうか・・ある程度想定内です。
3名で予約していたのですが、現場では
「え?2名じゃないの!?」
と言われました。
「いやいや、3名って言ったよ。画面見てよ」
で解決しましたが席は正直狭かったです。
また、サイトでは12歳以下の子供はお断り・・ということでしたが4歳児を連れていっても入れてくれました。このあたりは私も未確認で手落ちがありましたが現場では全く何も言われませんでした。
というあたり、オペレーションはいい意味でラフでフレキシブル、悪い意味では統制が取れていません。海外らしいですが店の雰囲気を守るという意味ではあまりよくないですね。はい、おまいう案件です。確認せず連れて行ってしまった私が言うべきではありません。
このあたりはプラットフォームを通じて予約していれば人数の誤認はシステム上起きないと思うので良しあしありますね。
日本でも海外旅行者を相手に商売するのであれば、メールやWhatsApp、Messengerなどでの顧客対応窓口があったほうがベターだな、と思います。
〇立地に2度ビックリ
Ananは、雑多な個人商店が立ち並ぶ小径にありました。ベトナムらしいともいえるかもしれませんが、ミシュラン星付きレストランがある立地とは思えませんでした。
下記写真のように、間口は非常に狭いです。所謂ウナギの寝床です。ホテルのコンシェルジュに予約の相談をした際も、
「狭い店だから、直前だと予約が難しいかもしれないよ」
と言われた意味が分かりました。
ただ、屋上はルーフトップバーになっているのですが、周辺が低層ということがあって少し眺望が抜けているんですね。遠くを見渡せるほど高層なわけでもないし、決して良い景色ではないものの欧米人にウケる仕掛けだと思います。このあたりは上手い。
〇価格設定は旅行者目線
価格設定は、
ティスティングメニューが2種類(95USD, 120USD)と、アラカルトです。かなり強気です。しかしながら、アジアのベストレストラン50、ホーチミンシティ唯一のミシュラン星付きレストランですから妥当でしょう。
ビールが瓶のみで最低95,000ベトナムドン(約900円)。NYならUSD10以上でも普通ですがこのあたりに強気の価格設定が見て取れます。
客層はスノッブな華僑・華人、欧米からの旅行者が大半のように見えました。
〇お料理云々でなく、オペレーションに課題あり
前述した通り、テイスティングメニューとアラカルトが並在しています。
しかしながら、テイスティングメニューを出す顧客と、アラカルトを出す顧客が同一空間上に存在してしまっているところに課題を感じました。
テイスティングメニューを待っている顧客をしり目にどんどん出てくるアラカルト。ポーションが小さいので、テイスティングメニューを食べている欧米人から醸し出される「隣の食事食べたいよ」感。
私はレストランオペレーションの専門家ではありませんが、それでも決して居心地がいいものではありませんでした。このあたりは欧米・日本のほうが一日の長がありそうです。
お料理はとても美味しかったですよ!洗練されていて一般的なベトナム料理とは一線を画すものでした。
しかしながら、ニューヨーク・ロンドン・パリ・東京あたりの一線級のレストランと比較すると苦しいな、という感覚は正直否めませんでした。
〇環境 x 顧客動線 x プロダクトにヒントはあった
Anan Saigonはターゲット顧客を旅行者・ベトナム在住富裕層・接待需要ビジネスマンに置いていると思います。
この顧客に最適なカスタマージャーニーが設計できているか、といえば少し課題はあるように感じます。
全てでないにしろ、日本のお店で総合的に超える価値を提供できているところは多々あるでしょう。
日本でのインバウンドターゲットビジネスにおいて、カスタマージャーニーの設計、プロモーション・ブランディングの重要性が再確認できました。
ベトナムで同時にミシュラン星付きレストランとなった4店舗のうち、1店舗は日本食です。体験していないので断言できませんが、Ananがやり切れていない部分、つまり日本のレストランが十分に提供できている価値で勝負できているのではないかと想像します。
日本の「地方の名店」が4大都市圏ではなく、海外に打って出る・・そんな未来もよぎりました。勝ち筋は明確にありますね。
今日もお付き合いいただきありがとうございました!