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成都太古里(旧・成都遠洋太古里)は歴史資産を活用した好開発
木下斉さんのVoicyで、歴史資本と景観資本は真似できない無形の価値であるということに触れられていました。
例えば300年の歴史があるお寺を真似しようと思えば300年前にタイムスリップするしかないので出来ません。フランスの高級ワインと同じような味の、新興国のワインはあるでしょうが、そのフランスワインが経てきた歴史、創業者や作りての思い、ブランドづくりは真似できない唯一無二の価値である、というお話です。
上記放送にコメントをしたところ、光栄にも2回目の放送で取り上げていただきました。
私の以下のコメントに触れていただいております。
私は中国で勤務していますが、私が印象深い当地の小売施設は成都市の遠洋太古里です。
1,600年の歴史を持つ古刹の周辺環境を守りつつ一体開発されており、寺や歴史へのリスペクトを感じ唯一無二の環境になっていると感じます。これは景観資本と歴史資本の好例と感じました。
木下さんに紹介いただき多くの方の耳に触れたと思いますので、せっかくですから「遠洋太古里」をご紹介したく思います。どうぞお付き合いください。
1,600年の歴史を持つ大慈寺の環境を活かし開発された成都太古里
まず、上記の事実を知らず旧称でコメントを記入していたのですが、該当の商業施設、遠洋太古里は2023年8月成都太古里に改称していたようです。
そんなことより、成都太古里はどのように『一体開発されており、寺や歴史へのリスペクトを感じ唯一無二の環境になっている』のかご興味を持ってこの記事を読んでいただいていると思いますので、まずは太古里の画像をご覧に入れます。百度百科からの引用です。
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![](https://assets.st-note.com/img/1701681956754-CVYUalJqAz.jpg?width=1200)
高さ規制を敷きながら、お寺の環境と一体化するように周辺を開発されていることがお分かりになると思います。いわば超アップデートされた浅草仲見世といった風情です。
そのお寺、大慈寺も歴史が長いだけでなく、玄奘三蔵や唐の玄宗皇帝と縁があるような由緒正しいお寺です。お寺の隣に商業がある、というのではなく、お寺を囲むように商業が展開されているところにユニークさがあります。
成都太古里の立地と運営主体について
成都太古里は、その名の通り中国・四川省成都市にあります。
成都市は三国志の蜀ゆかりの地としても有名ですね。麻婆豆腐発祥の地としても知られます。また、四川省といえばパンダでも有名でして、「世界ふしぎ発見!」でも成都パンダ基地で勤務する日本人の方が取り上げられたエピソードをご覧になった方もいらっしゃるかと思います。
成都太古里は、この成都市の中心部、地下鉄春煕路駅にほど近いエリアに2014年に開業した商業施設です。
太古里は、香港の太古地産による商業施設の名称です。太古地産は、英語表記だとSwire Properties(スワイヤー・プロパティーズ)という会社名になりまして、太古集団の一画をなす企業です。
太古集団は1814年創業、中国大陸でのコカ・コーラボトリング事業や、不動産事業、砂糖事業やキャセイパシフィック航空の事業などを傘下に収めるコングロマリットで、誤解を恐れず平たい言い方をしますと財閥企業ですね。
この界隈は歩行者天国になっている一画があり、ここには2022年閉店してしまいましたがイトーヨーカドーや、伊勢丹なども出店していました。
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大慈寺(旧大聖慈寺)について
大慈寺は3,4世紀に創建されたと推定され、1,600年にわたる歴史を持つお寺です。7世紀には西遊記で有名な玄奘三蔵が成都で学び、大慈寺でも学んだ記録が残っているようです。大慈寺の歴史は本筋とは外れますのでこれ以上は語りませんが、立派なお寺です。
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この古刹(こさつ)に隣接してゴリゴリの商業をやってしまうパワーには脱帽です。夜の雰囲気もまた格別でした。
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欧米ブランドが大好物の歴史価値
中国の大都市と言えば上海・北京・天津・重慶といった特別市がまず代表的存在です。成都市は相当元気な大都市でしたが、それでもこの施設があるからこそ出店・イベント実施しているんだろうな、という欧米ブランドも見受けられました。
彼らは歴史価値が売りですから、こうした背景は大好物です。
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ルイ・ヴィトン、エルメス、ティファニー、グッチからアップルストアまで欧米勢が目白押しです。これらブランドによって、このエリアの価値は大きく上がったと思います。
とは言え、これは大規模な開発であるからこそこうした姿なわけで、「上がり」を欧米勢に取られるのではなく、地元ブランドが大きな売上・利益を作ってこそ本来の姿でしょう。
日本でも規模は違えど同様の開発はできるし、やっている
成都太古里は大企業による大規模な開発で、その中核は歴史ある有名なお寺ですが、これと同様の取り組みは日本でもできるし、既に多く行われていると思います。
町屋・古民家を再開発したホテルや商業は多くあります。これらのコンテクストを語ることは付加価値を増すことに繋がるでしょう。
また、お寺や神社、教会にカフェを作ったり物販を併設することでメンテナンスや価値向上に寄与することもできるでしょう。こうした魅力ある施設が増えることで観光客が分散し、オーバーツーリズムの解消に繋がるとともに日本の活性化にも繋がればいいと思います。
お付き合いいただきありがとうございました。