見出し画像

FP1級基礎2024年5月+α 4/6様

FP1級学科試験 2024年5月 基礎編 

 この度はお立ち寄りいただきありがとうございます。

 2024年5月に実施されました学科試験の基礎編の私見を書かせていただきました。今回は、タックス分野の問25~問33までになります。

 また、これまでどおり下記のテキストでの取り上げ具合もざっくりではありますが数えてみました。前回の2024年1月と同程度の直撃率になっていますが、推察可能かも、は含めませんでしたので、数値はもうちょっと上乗せされるかもしれません。
 消去法を使って残り一つに絞りこめる問題や過去に出題されている問題も今回はそれなりにありますので、なんやかやを考えると直撃率にいくつか足した数を正解できる可能性もありそうです。

 今回の出題傾向でまず目に付くのは、計算問題です。ステルス計算問題である問43 2)以外で、問1、問22、問31の3問と少な目でした。なのに、そのうちの2問は思いもよらないところからやってきました。もう、ほとんどびっくり箱状態です。

 その、びっくり箱の正体ですが、問22は、現物と先物の収支をそれぞれで算出し両者の差額に「×1億÷100円」を掛け合わせて正答になるようでした。果たしてこれで正しいのかどうか調べなおしている最中です。

 そして、問31は、計算式が「No.5651特定資産を買い換えた場合の圧縮記帳」として国税庁のホームページにありました。

 全体を通しては、濃淡の違いは若干あるとしてもこれまでの出題傾向を踏襲している様子でした。

 これまで頻繁に扱われていないところで、テキスト目線で眺めてみますと、「以上」「未満」「超える」「以下」「かつ」「または」など文章に埋もれがちなところからの出題は少ない様子で(例えば問6「各種加算」)、その項目で印象的なところが選ばれて出されていた感が強いようでした。

 例えば、問3の「高額療養費の合算可能被保険者」、問4「教育訓練給付におけるキャリアコンサルティングとジョブカード」、問9「保険会社が破綻した場合の保険料支払について」、問10「保険募集人の罰則規定」、問24「個人情報の有料開示について」、問34「35条書面(重要事項説明書)と37条書面の違い」、

 問35「実測面積と公簿面積」(問題文とうまくリンクできないかもしれません)、問37「土地区画整理法について」、

 問46「相続・贈与の納税義務者について」(単語の長さに惑わされそうですが、ざっくり覚えるのは思いのほかいけそうです。事が起こったときに日本に住所がある→居住、国内・国外の資産に課税される→無制限、になります。そして、該当しない方は非居住、制限になります。
 国内に住所があるけれど例外とされる方、10年以内に住所があるけれど例外とされる方、10年以内に住所がない方、など同士のときに、居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者になります)

 問50「非上場株式についての納税猶予・免除の特例における提出書について」などになりそうです。

 すみません、おもいっきり横道にそれてしまいました。それでは、本題にもどります。

[Ⅰ]テキスト直撃率
書籍(b) 「’23~’24版 FP1級技能士学科合格テキスト」→32/50 62(%)
書籍(c) 「’23~’24版 合格テキストFP技能士1級 TAC FP講座」→29/50 58(%)、
書籍(d) 「’23~’24版 みんなが欲しかった!FPの教科書」→29/50 58(%)
(書籍名の使用は出版社より了解をいただいています。ご対応いただきましたご担当者様には改めてお礼を申し上げます)
なお、書籍(a)は’22~’23版のため、今回より上記の3冊にさせていただきました。

[Ⅱ]テキストや過去問などで正解が導き出せそうな問題について

●正解を取れそう。
A:テキストにあるし見慣れたところ:下記以外26問  
B:正解以外テキストに回答有り(消去法可):問3、5、6、9、11、12、17、18、20、30、35、合計11問
C:過去に出題されている:問26、29 合計2問
D:感覚で回答できる: 合計0問

●難問になりそう。
E:テキストにあるけれど文面をなぞって終わる可能性がある:問19、34、46 合計3問
F:改正等(直近): 合計0問
G:見覚えないorあやふや:問2、7、21、22、31、42、47、48 合計8問
正解が可能と思えるのは、A~Dの38問のようでした。39/50 78%

題名にあります+αは以下の通りになります。
【周辺情報等】テキストではみかけるのに過去問では影が薄いところの情報。
【法改正等】ここ数年の間に法律が出来たり変わったりまた何か動きがあって、探し当てられた情報。
【問ア、問イ…】応用問題の穴埋めで過去に出題されているところを絡めた一問一答。

 なお、こちらに関することは私見の域をでていませんので、気になるところがありましたらお調べ直していただきますようお願いいたします。

 また、試験問題の使用は了承をいただいていませんのでお手数ではありますがお手元にご用意いただけますと助かります。

 どうぞよろしくお願いいたします。

問25 ④ A 所得税の非課税所得について。

肢1、〇 通勤に自己所有の自動車や自転車を利用している場合は、片道の通勤距離により非課税限度額が決まります。片道の通勤距離が2km未満では、原則として、支給された交通費は全額課税されます。テキスト:(b)×P269(c)×P27(d)×P43
◆「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2585.htm

肢2、〇 鉄道を利用して通勤している給与所得者に勤務先から通常の給与に加算して支払われるべき通勤手当は、経済的かつ合理的な運賃等の額で、月額15万円を上限として所得税の非課税所得となります。
また、公共交通機関と自動車や自転車を同時に利用して通勤をしている場合は、それぞれの通勤費非課税額を算出し、合算して最高15万円になります。(下記◆参照)テキスト:(b)P281(c)P27(d)P43
◆「電車・バス通勤者の通勤手当」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2582.htm

肢3、〇 贈与税がかからない財産はいくつかありますが、そのなかに「2、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」というのがあります。 また、あわせて、必要とされる都度支払われること、とされ、通常必要とされるものに直接本人に支払われることが求められています。

 設問では、祖父母は扶養義務者であり、また、大学の授業料は教育費でもありますので、2点の条件は満たしています。授業料とされていますので、都度の支払条件も問題ないところになります。最後に、直接本人に渡す条件は、学校の指定口座に振り込みした場合や大学からの口座振替は、直接本人への支払に該当しますので、設問は非課税所得になります。テキスト:(b)P269(c)×P2(d)×P2
◆「贈与税がかからない場合」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm

肢4、× 「雇用保険の給付のうち、育児休業給付金や高年齢雇用継続給付金も所得税の課税所得」とされているところは誤りで「所得税の非課税所得になります」が正答です。テキスト:(b)P269(c)×P2(d)×P3
◆「Q&A 高年齢雇用継続給付金 Q19」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158464.html
◆「育児休業、産後パパ育休や介護休業する方を経済的に支援します」P2:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_r02_01_04.pdf

【周辺情報等】所得税の種類と合計所得金額、総所得金額、総所得金額等について。テキスト:(b)P269(c)P3(d)P5

☆所得税は、総合課税と分離課税にわかれ、それぞれ源泉徴収される場面があります。
 源泉徴収される総合課税は給与が身近なところで、他に総合課税を選択した配当金などがあります。源泉徴収される分離課税は預貯金の利子が代表的なところです。
 また、預貯金の利子は源泉徴収されて課税関係は終了(確定申告ができない)しますので、源泉分離課税になります。

総合課税に分類される所得は
(ⅰ)事業所得:ほとんどが総合課税。(ⅱ)不動産所得(ⅲ)給与所得(ⅳ)利子所得:一部対象→同族会社の社債の利子を一定の関係性をもつものに支払われる場合など。(下記◆Ⅱ参照)(ⅴ)配当所得:一部が対象または選択できる。(ⅵ)譲渡所得:一部が対象。(不動産・株以外の譲渡所得が対象になります)(ⅶ)一時所得:一部対象外(一時払い養老保険など5年以内(5年経たずに)解約した場合など。下記◆Ⅲ参照)(ⅷ)雑所得:一部対象外(先物取引による差金決済など。下記◆Ⅳ参照)
※源泉徴収とは、納税義務者に代わり支払者が税金を徴収して納める制度です。

☆合計所得金額、総所得金額、総所得金額等の順番について。

《合計所得金額》
 総所得金額に退職所得・山林所得(申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長(短)期譲渡所得については特別控除前の金額)の合計額を加算した金額です)を加算して繰越控除を差し引く前の金額です。

《総所得金額》
 総合課税に含まれる所得の合計で損益通算および一時所得・総合長期譲渡所得の2分の1をした後になります。また、繰越控除の金額を持つ場合にその金額を反映した後になります。

《総所得金額等》
 合計所得金額から繰越控除等を反映した後の金額です。繰越控除等がない場合は、合計所得金額と総所得金額等は同額になります。

《判定に使われるケース》
(ⅰ)合計所得金額:人的控除、地方税の均等割り限度額、などです。
*例:配偶者控除・配偶者特別控除の「納税者の合計所得金額」
扶養控除の「納税者と生計を一にする親族の合計所得金額が48万円以下」などです。

(ⅱ)総所得金額等:寄附控除、雑損控除、医療費控除、地方税の所得割限度額、などです。
*例:雑損控除の「損失の金額‐(総所得金額等の合計額×10%)」
医療費控除の「総所得金額等の合計額×5%」などです。
◆Ⅰ「専門用語集」;(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/yogo/senmon.htm
◆Ⅱ「利息を受取ったとき(利子所得)」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1310.htm
◆Ⅲ「一時所得」;(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490.htm
◆Ⅳ「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1522.htm

《順番》損益通算・一時所得と総合長期譲渡所得の2分の1→合計所得金額→雑損失・居住用財産などの各繰越控除→総所得金額等(総合課税のみは総所得金額)→所得控除等・雑損控除→課税総所得金額等→算出税額→税額控除等→所得税額
◆「所得税計算の仕組み」:(財務省ホームページより)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/024.pdf

【法改正等】扶養される親族のうち非居住者についてその範囲が見直されました。

 令和5年1月1日以降から、非居住者である親族が扶養親族となるための要件が設定されました。

 年齢30歳以上70歳未満は原則として被扶養者にならなくなりました。前記の年齢に該当する場合で被扶養者となるためには、以下の通り条件があります。
(ⅰ)留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者。
(ⅱ)障害者。
(ⅲ)扶養控除の適用を受けようとする居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者、です。
*年齢は申請する年の12月31日で判断します。
*非居住者で上述に該当する扶養親族について適用を受けようとする居住者は、その旨及びその該当する事実を記載した「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下「扶養控除等申告書」といいます。)又は「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出するとともに、現行の親族関係書類に加えて、その非居住者である扶養親族が上記に掲げる者に該当する旨を証する書類の提出等を求められています。(下記◆参照)
*確認書類の提出または提示は、年末調整の際、配偶者控除申告書提出の際に提出または提示します。
*非居住者の扶養状況は、申告書の提出時点の現況で判断します。
◆「令和5年1月以後に非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0022009-107_01.pdf

【問ア (a)にはいる数値は】所得税の税額の計算は速算表を基に算出します。課税所得金額が195万円超~300万円以下の計算式は「課税所得金額×10%‐(a)円」です。
(答え:住宅ローン控除において所得税から引ききれなかった場合に住民税から一定の金額を控除することが出来ますが、その上限額と同じです。令和6年以降に建築確認を受ける場合は省エネ基準に適合することが条件になりました)

問26 ③ B 居住者の不動産所得について

肢1、〇 所有する賃貸アパートの屋上や塀等に設置した公告等の看板にたいする使用料は、不動産所得になります。テキスト:(b)P275(c)×P12(d)P22
◆「法第26条(不動産所得)関係 26-5」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/02.htm

肢2、〇 賃貸アパートを取壊したことによる損失の金額は、事業的規模とそれ以外で扱いに違いがあります。事業的規模以外では、不動産所得額を限度として必要経費に算入できます。

 また、事業的規模は損失額の全額を必要経費にすることが出来ます。事業的規模の場合は、控除し切れなかった損失額は損益通算の対象になり、また、青色申告であることが条件で純損失として繰越控除が可能です。ただ、取り壊しにかかった費用は、資産損失ではないため事業の規模にかかわらず全額必用経費に算入可能です。テキスト:(b)P276(c)P12(d)P24
◆「事業としての不動産貸付とそれ以外の不動産貸付けとの区分 所得金額計算上の相違点(1)」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm

肢3、× 自宅を取壊した費用は家事費とされるため不動産所得の必要経費や賃貸アパートの取得価額に算入は出来ません。テキスト:(b)×P275(c)×P12(d)×P21(cの不動産分野で逆が説明されているP141
◆「建物の取壊し費用の所得税法上の取扱いについて 1、研究の目的(問題の所在)」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/90/01/index.htm

肢4、〇 所有する土地に借地権を設定した場合は、その権利金の額によって所得税が変わってきます。権利金が時価の2分の1を超える場合は譲渡所得で計算をして、2分の1以下の場合は不動産所得の総収入金額に算入します。テキスト:(b)P275(c)P32(d)P59
◆「土地を貸し付けて権利金等をもらったとき」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3111.htm

【周辺情報等】居住者・永住者、非居住者について。テキスト:(b)P268(c)P5(d)P7

《居住者》国内に住所を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいいます。
※「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。

*非永住者:居住者のうち日本国籍がなく、かつ、過去10年以内の間に日本国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下である個人をいいます。

 所得税法に規定する国外で生じた所得(国外源泉所得)以外の所得と、国外源泉所得で日本国内において支払われ、または日本国内に送金されたものに対して課税されます。

*非永住者以外の居住者:所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、そのすべての所得に対して課税されます。

《非居住者》居住者以外のもの。日本国内において生じた所得(国内源泉所得)に限って課税されます

《国内または国外に住所を有する者と推定》(下記◆Ⅲ参照)
 要件はそれぞれありますが、国内または国外において、「国内または国外に継続して1年以上居住することを通常必要とする職業に就くこと」とあり、こちらの要件が居住者とするか非居住者とするかを推定するためのベースになります。
◆Ⅰ「居住者と非居住者の区分」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
◆Ⅱ「納税義務者となる個人」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2010.htm
◆Ⅲ「住所の推定」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875-1.htm

【法改正等】給与所得者が一定の支出をした場合に、給与の控除が受けられる「特定支出控除制度」があります。

 令和5年より「特定支出」のうち一定の支出は、給与支払者にかわり「キャリアコンサルト」の証明により認められることになりました。

「特定支出控除制度」は、給与所得者が「通勤費」「職務上の旅費」「転居費」「研修費」「資格取得費(職務に直接必要な資格)」「帰宅旅費」「職務に関連する図書費・衣服費・交際費等(65万円を限度とします)」を支出した場合に、一定の要件のもと給与所得控除後からの所得額より控除を受けることが出来ます。テキスト:(b)P282(c)P26(d)P46

《支給額》確定申告をすることにより、対象となった特定支出額のうち給与所得控除額の2分の1を超えた部分を控除できます。

《主な要件》特定支出が職務に関連するものであることを給与支払者またはキャリアコンサルトの認定を受ける必要があります。

「学び・学び直し促進のための特定支出控除における特例措置」として、給与所得者が厚生労働大臣の指定する教育訓練給付指定講座を受講した場合において、「研修費」と「資格取得費」に該当するものにつき、給与等の支払者による証明に代えて、国家資格であるキャリアコンサルタントによる証明を受けることで特定支出控除制度の適用を認めることとされました。

《手続き》この特定支出控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。

 その際、特定支出に関する明細書および、給与の支払者またはキャリアコンサルタントの証明書を申告書に添付するとともに、搭乗・乗車・乗船に関する証明書や支出した金額を証する書類を申告書に添付または申告書を提出する際に提示します。

 キャリアコンサルトの認定には、キャリアコンサルトに依頼をし「ジョブ・カード」の作成のもとキャリアコンサルティングを受けます。キャリアコンサルタントが作成した、職務に必要であることを証明する特定支出の証明書を、確定申告の際に提出します。

*「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。(下記◆Ⅱ参照)

*「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルティングを行う専門家で、資格試験があり合格をして登録をすることにより付与される国家資格になります。

 また、5年ごとに更新があり、原則として知識講習8時間以上、技能講習30時間以上の受講をします。資格者は、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。(下記◆Ⅱ参照)
◆Ⅰ「給与所得者の特定支出控除」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1415.htm
◆Ⅱ「特定支出控除制度におけるキャリアコンサルトによる証明制度について」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/tokuteishishutsukojo.html

【問イ】山林所得において、山林を譲渡したとしても山林所得ではなく事業所得または雑所得となる山林の所有期間は(a)年以下です。
(答え:優良住宅地の造成等のため土地などを譲渡した場合の長期譲渡所得に係る課税の特例を適用するために必要な譲渡資産の所有年数と同じです)

問27 ④ A 「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」について

肢1、× 設問の特例は、一定の要件を満たした上で、譲渡資産に損失が生じたことにより他の所得と損益通算や繰越控除が出来る制度です。設問では、譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えているとされていますが、日本国内にあり譲渡した日の属する年の1月1日において5年を超えている、が正当です。

 不動産の損失は、通常損益通算や繰越控除の対象ではありませんが、住宅(マイホーム)は特例により損益通算や繰越控除が可能になっています。

 設問以外にも要件がありますが、その中の期限に関係しているところは、
・買換資産は、譲渡した年の前年1月1日から譲渡年の翌年12月31日までに取得する。
・譲渡した翌年(譲渡した翌年中に取得した時は翌々年まで)の12月31日までに居住する。

また、数値では、
・買換え資産に10年以上の住宅ローンを有すること。
・譲渡資産の敷地面積のうち、500㎡を越える部分は、繰越控除(損益通算は制限されていません)の対象にならない。
・買換え資産の敷地面積は50㎡以上である。
・繰越控除は合計所得金額が3,000万円以下であること。 
・他の居住用住宅の譲渡に係る特例を譲渡年の2年前以内に利用をしていたときも設問の特例は利用できませんが、その中に「固定資産の交換の特例において長期譲渡所得課税の特例を適用」も含まれています。テキスト:(b)P398(c)P135※(d)P160※(※不動産分野)

肢2、× 設問の「居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除」の特例は、居住の用に供さなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡する必要があります。設問にある3年目ではなく、3年目の12月31日が正当です。

 また、建物を取壊した場合は、家屋を取壊してから譲渡契約を結ぶまで貸付をしていないなど一定の要件の元、取壊した日から1年以内に契約をかわし、そして、取壊した日から3年目の12月31日までに譲渡することが必要です。テキスト:(b)P398(c)P135※(d)×P160※(※不動産分野)

肢3、× 買換資産の条件は、設問にあるとおり床面積が50㎡以上であることと居住用であることがありますが、居住用部分が2分の1以上の条件はありません。テキスト:(b)P398(c)P136※(d)P160※(※不動産分野)

肢4、〇 買換資産に対して、取得した年の12月31日時点で償還期間10年以上の住宅ローンが必要です。テキスト:(b)P398(c)P135※(d)P160※(※不動産分野)
◆「マイホームを買換えたときに譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の譲渡損失及び損益通算の特例):(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3370.htm

【周辺情報等】取得の日・譲渡の日について。テキスト:(b)P287(c)P33(d)P62

*取得の日:個人が不動産を譲渡した場合の譲渡日と取得日(農地等を除く)
・その資産の「引渡しを受けた日」「契約の効力発生の日」のいずれかを選択できる。
・相続又は遺贈により取得した資産は、被相続人または遺贈者が取得した日になります。(限定承認は受取った日になります)
・贈与により取得した資産は、贈与者が取得した日になります。

*譲渡の日:資産を相手方に「引き渡した日」「契約の効力発生の日」のいずれかを選択できます。

*自ら建設等をした取得日は、建設等が完了した日になります。また、他に請け負わせて建設等をした場合は、その引渡し日になります。どちらの場合も、契約日を取得日とすることはできません。

◆「「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明(情報)」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/joto-sanrin/091116/02.htm

【法改正等】2024年は「中堅企業元年」と位置づけて、中堅企業の成長を促進するための支援を措置しました。

 中堅企業は、「中小企業を卒業した企業であり、規模拡大に伴い経営の高度化や商圏の拡大・事業の多角化といったビジネスの発展が見られる段階の企業群。」とし、「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律」において「常時従業員数2,000名以下の会社等(中小企業をのぞく)」と定義しました。

 特に、「賃金水準が高く国内投資に積極的な中堅企業者を特定中堅企業者」と定義し、特定中堅企業者等による成長を伴う事業再編の計画を主務大臣が認定した場合、中堅・中小グループ化税制、大規模・長期の金融支援(ツーステップローン)、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)による助成・助言等の措置を包括的に講じました。

 取り組み方針は4本柱を設定し、その目標に対しての制度が設定されました。(下記◆Ⅰ参照)
1、国内投資拡大・イノベーションの促進
2、良質な雇用の実現
3、外需獲得(グローバル展開・インバウンド取込)の支援等
4、経営基盤の強化・整備

 その大きな目標を支援するために、「賃上げ促進税制への中堅企業枠の設定」「中堅・中小グループ化税制の拡充」等が具体策として出されています。
◆Ⅰ「中堅企業成長促進パッケージ」:(経済産業省ホームページより)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/pdf/pr_package.pdf
◆Ⅱ「中堅企業支援に関する今後の取り組み方針2024(案)概要:(首相官邸ホームページより)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/seichou_sokushin_wg/dai8/siryou2.pdf
◆Ⅲ「「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました」:(経済産業省ホームページより)
https://www.meti.go.jp/press/2023/02/20240216001/20240216001.html

【問ウ】個人住民税の納付方法は、「普通徴収」と給与所得者で見られる「特別徴収」がありますが、どちらも年度開始は(a)月からになります。
(答え:厚生年金の標準報酬月額の定時決定を求めるための期間における最終月と同じです)

問28 ② A 居住者に係る所得税の所得控除について

肢1、〇 社会保険料は支払った額の全額が社会保険料控除の対象になります。一方、国民年金保険料を2年分前納した場合には、全額を控除する方法に加えて各年分の保険料に相当する額を各年に控除する方法も選べます。テキスト:(b)×P296(c)P62(d)P108
◆「社会保険料控除」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm
◆「2年前納された国民年金保険料の社会保険料控除について」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenkin_zennou/index.htm

肢2、× 介護保険料や健康保険、後期高齢者医療保険など特別徴収された場合は、支払った本人が社会保険料控除の対象になります。また、普通徴収により社会保険料を支払った場合には、支払った本人の社会保険料控除になります。例えば、生計を一つにする家族がそれぞれで普通徴収で支払った分を世帯主がまとめて社会保険料控除にすることは出来ません。テキスト:(b)P296(c)P62(d)P109
◆「よくある質問」:(国税庁ホームページより)
https://www.keisan.nta.go.jp/r4yokuaru/cat2/cat22/cat222/cid039.html
◆「よくある質問」:(国税庁ホームページより)
https://www.keisan.nta.go.jp/r2yokuaru/cat2/cat22/cat222/cid040.html

肢3、〇 医療費控除の申請に当たって、保険金等の額がまだ確定していないときは金額を見積もって申請をします。その後、金額が確定した時点で修正申告または更正の手続きを行い訂正します。テキスト:(b)×P296(c)P69、P146※(d)×P107(※リスク分野)
◆「よくある質問」:(国税庁ホームページより)
https://www.keisan.nta.go.jp/r4yokuaru/cat2/cat22/cat221/cid481.html

肢4、〇 日本赤十字社や新聞社などの募金団体へ拠出した義援金等は、最終的に義援金配分委員会等に対して拠出されることが明らかな場合は、寄附金控除の対象になります。また、法人においても「国に対する寄附金」に該当してその全額が損金に算入できます。ただ、日本赤十字社などが事業運営に使用するなど、義援金配分委員会等に拠出されない場合は異なる扱いになる可能性があります。

 義援金を受取ったときは、所得税法上非課税となり、雑損控除などの損失額の計算上、資産の損害の損失を補てんする目的ではないため控除する必要はありません。テキスト:(b)×P297(c)×P58 (d)×P113
◆「義援金に関する税務上の取扱いFAQ Q2」:(国税庁ホームページより)
◆「義援金に関する税務上の取扱いFAQ Q11」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/h30/pdf/0018007-088_05.pdf

【周辺情報等】寡婦控除、ひとり親控除は所得控除の一つです。二つの控除は別の仕組みになりますが、要件で共通するところもあります。

 共通するところは、納税者が、(ⅰ)合計所得金額が500万円以内。(ⅱ)納税者に事実上婚姻関係と同様の事情が認められないこと。(ⅲ)原則として12月31日の現況で判定する、等です。テキスト:(b)P298(c)P70(d)P116

《ひとり親控除》控除額:35万円 合計所得金額:500万円以下
(ⅰ)婚姻をしていないまたは配偶者の生死が明らかでないこと。
(ⅱ)生計を一にする子がいること。その子は、総所得金額等が48万円以下で他のひとの同一生計配偶者や扶養親族になっていないことが必要です。
などで、父親や母親の区別はなく、シングルマザー・シングルファザー、また結婚の事実も必要がないため未婚での出産でも対象になります。
※「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とはされておらず、勤務や修学、療養などの理由で別居の状態にあったとしても、余暇には起居を常例としている場合などや定期的な送金などを行っている場合などは生計を一にする状態になります。(下記◆Ⅲ参照)

《寡婦控除》控除額:27万円 合計所得金額:500万円以下。
納税者の経緯は(イ)離婚によるときは扶養親族を有することが必要。(ロ)死別によるときは扶養親族の要件は必要ありません。また、対象者は妻のみになります。

(ⅰ)ひとり親に該当しないこと。
(ⅱ)(イ)夫との離婚による:扶養親族がいること。(ロ)夫と死別:扶養親族の要件は求められません。

※テキスト(c)(d):寡婦控除のところで「扶養親族(総所得金額等の合計額48万円以下であるものに限る)」と記載されていますが、扶養親族の所得制限は「合計所得金額」のようでした。(下記◆Ⅳ参照)
 一方、「総所得金額等48万円以下」はひとり親控除の子の要件になるようです。(下記◆Ⅱ参照)
◆Ⅰ「寡婦控除」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1170.htm
◆Ⅱ「ひとり親控除」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1171.htm
◆Ⅲ「生計を一にする Q1」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180_qa.htm#q1
◆Ⅳ「専門用語集 扶養親族」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/yogo/senmon.htm#word7

☆令和7年の税制改正において扶養に係るところの見直しが図られているようです。
◆「扶養控除と子育て支援」:(NHKホームページより)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/zeisei2024/dependent/

【法改正等】災害関連損失の繰越控除は5年に延長できるようになりました。テキスト:(b)P293(c)P52 (d)P94

《雑損控除》雑損控除の繰越期間は原則として3年間ですが、「東日本大震災又は令和5年4月1日以後に発生する特定非常災害により生じた損失額については、繰越期間が5年間」になりました。

 また、純損失についても同様の仕組みがあります。ただ、状況により繰り越される損失の範囲が異なっています。

 分岐点は「特定非常災害※に指定された災害により生じた損失(特定被災事業用資産の損失)の割合が保有する事業用資産等のうち10%以上」かどうかです。(下記◆Ⅱ参照)

※特定非常災害とは、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律第2条第1項の規定により特定非常災害として指定された非常災害です。ライフラインの途絶範囲や倒壊家屋の件数、人的被害の状況などを総合的に勘案して特定非常災害が発令されることになります。

《10%以上》
*青色申告:その年に発生した純損失の総額です。
*白色申告:災害事業用資産の金額と変動所得※に係る金額の合計額です。
※変動所得とは、事業所得や雑所得のうち、漁獲やのりの採取による所得、はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠、真珠貝の養殖による所得、印税や原稿料、作曲料などによる所得をいいます(下記◆Ⅲ参照)

《10%未満》
*特定被災事業用資産の損失による純損失の金額※です。
※純損失の金額とは、事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得の4つの所得の損失の金額のうち、損益の通算をしてもなお控除しきれない金額をいいます。(国税庁ホームページより)

◆Ⅰ「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htm
◆Ⅱ「令和5年度税制改正パンフレット」P4:(財務省ホームページより)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei23_pdf/zeisei23_all.pdf
◆Ⅲ「変動所得とは」:(国税庁ホームページより)
https://www.keisan.nta.go.jp/r5yokuaru/cat2/cat26/cat269/cid086.html

【問エ (a)に入る数値は】勤労学生控除は納税者が勤労学生であり、合計所得金額が(a)万円以下であるときに控除される。(かつ、勤労に基づく所得以外の所得が10万以下。控除額27万円)
(答え:高年齢雇用継続給付金の60歳以上65歳未満に支払われた賃金額が60歳到達時の賃金と比較して一定以上減少した場合に支給されますがその割合と同じ数値です。)単位違い

問29 ③ C 稼動を停止している設備のメンテナンスでいつでも稼動できる場合は、減価償却を損金に参入できるというもの。

肢1、× 10万円未満または使用可能期間が1年未満で取得した年に全額を減価償却することができる資産でも、貸付の用に供した場合は少額減価償却資産に含まれませんが、設問にあるように「主用な事業として行われる貸付の用に供した減価償却資産」は前述の資産から除かれています。テキスト:(b)P322(c)P118(d)P194
◆「減価償却のあらまし 概要(注4)」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

肢2、× 一括償却資産とは、一つまたは一組などの価格が、10万円以上20万円未満の償却資産を、取得した年に計上した金額を3年に分けて必要経費に出来る制度です。

 一括償却(3年均等償却)を選択したときは、火災などで資産が焼失などしたとしても未償却残高を損金処理ができず、3年均等償却をつづけることになります。途中で売却したときも同様の方法になります。

 また、一括償却資産は、前述の方法とともに通常の減価償却方法を選ぶことも出来ます。テキスト:(b)×P322(c)×P119(d)×P194
◆「少額の減価償却資産及び一括償却資産 49-40の2」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/08/12.htm

肢3、〇 設問にあるとおり、稼動を休止した設備でも、必要なメンテナンスを行いいつでも稼動可能な状態であるばあい減価償却資産として必要な償却が可能です。テキスト:(b)×P322(c)×P118(d)×P190
◆「事業の用に供した日」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5400-2_qa.htm

肢4、× 減価償却資産の償却方法を変更する場合は、変更する事業年度の前日までに所轄税務署長に申請をして承認を受ける必要があります。
変更は頻繁に行われるのを牽制していて変更後3年以内は頻繁とみなされ承認されないようです。テキスト:(b)×P322(c)×P118(d)P191
◆「減価償却資産の償却方法の変更手続」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5407.htm

【周辺情報等】個人事業税について。テキスト:(b)P315(c)P109(d)P175

 個人事業税は個人が行う不動産所得(貸付規模が事業的規模)、事業所得に対して課税されます。個人事業主控除として、290万円(1年に満たない場合は月数に応じた金額)を控除できます。

 なお、所得税の青色申告の控除(最高で65万円)は対象にならないため、所得税で控除した分を事業税の計算では加算します。
*業種は第1業種、第2業種、第3業種に区分され、全部で70業種になります。
・第1業種(税率:5%)小売、製造業、保険業、運送業、宿泊業など。
・第2業種(税率:4%)畜産業、水産業、薪炭製造業
・第3業種(税率:5%、3%)
5%→医業、士業、銭湯、衛生関連業(クリーニング、理美容業)など。
3%→鍼灸師、あんま・マッサージ、柔道整復士、その他医業など。
なお、個人で行う農業、林業、漁業等は原則として非課税になります。(下記◆Ⅱ参照)

*申告時期・納付時期
・申告時期:1月1日~12月31日分の所得金額が対象になり、毎年3月15日までに前年の事業の所得を申告することになっていますが、所得税または住民税の申告をした場合は申告の必要ありません。
・納付時期:原則として8月と11月の年2回になります。また、廃業したり修正申告を行った場合は、送付されてくる納付書に記載された期日までに納付をします。

*事業を廃止した場合は、廃止したときより1ヶ月以内に申告をします。(死亡により事業を廃止した場合は4ヶ月以内に申告をします)

*不動産貸付業・駐車場業の認定基準について→一定の貸付規模に満たない場合は、個人事業税は課税されません。
・不動産貸付業
建物(住宅)一戸建は10棟以上、一戸建以外は10室以上。(住宅以外)独立家屋は5棟以上、それ以外は10室以上。

 土地(住宅用)契約件数が10以上または2,000㎡以上。(住宅以外)契約件数が10以上。などです。

駐車場業:機械式・建築物のある駐車場は台数に係らず対象になり、それ以外は原則として10台以上が対象です。
◆Ⅰ「個人事業税」:(東京都主税局ホームページより)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ji.html#gaiyo_01
◆Ⅱ「農業に対する事業税・事業所税の非課税」:(農林水産省ホームページより)
https://www.maff.go.jp/j/aid/zeisei/jigyou/

【法改正等】2024年度より「森林環境税」が徴収されます。

《経緯》森林を管理整備する担い手が少なくなる上に、所有者不明やほったらかしの問題も重なり環境保全にはなくてはならない森林がその機能を失いつつあります。森林の保全や管理を行う地方地自体への予算の確保も含めて森林環境税が制定されました。

「森林環境税とは、2024(令和6)年度から国内に住所のある個人に対して課税される国税であり、市町村において、個人住民税均等割と併せて1人年額1,000円が徴収されます。その税収の全額が、国によって森林環境譲与税として都道府県・市町村へ譲与されます。」(下記◆Ⅱ参照)
なお、「森林環境譲与税」は2019年度から前倒しで施行されています。
◆Ⅰ「個人住民税」:(総務省ホームページより)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html
◆Ⅱ「森林環境税及び森林環境譲与税」:(総務省ホームページより)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_18.html

【問オ (a)に入る用語は】災害減免法により所得税を軽減免除される場合に、合計所得金額で軽減・免除される所得税の額が分かれています。合計所得金額が500万円超~750万円以下の場合は、所得税の額の(a)に軽減されます。
(答え:不動産取得税には取得した不動産が土地の場合、課税価格が軽減される特例があります。その軽減割合と同じです)

問30 ② A 定期給与について。

肢1、× 設問にある「取締役経理部長として常時使用人である代表取締役の配偶者」は使用兼務役員になることは出来ません。テキスト:(b)×P323(c)P121(d)P195

 使用兼務役員になれない人の条件はいくつかありますが、同族会社において株の所有割合での区分も決められています。
 そのなかで、「その役員(その配偶者およびこれらのも者の所有割合が50%を超える場合におけるほかの会社を含みます。)の所有割合が5%を超えること。」など、必要とされる所有割合条件のすべてを満たしていると使用兼務役員になれません。

 設問では、代表取締役が100%保有していますので代表取締役の属する株主グループに属することになる配偶者は、すべての保有割合の条件を必然的に満たしていることになります。
◆「役員のうち使用兼務役員になれない人」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5205.htm

肢2、〇 役員の給与で源泉徴収された後同額だった場合は定期同額給与となります。

 以前は、額面で判断されていましたが、2017年4月1日以降決議分より、所得税や社会保険料などの源泉税額等を差し引いた後が同額でも認められるようになりました。テキスト:(b)P323(c)△P121(d)×P195(△文言より推察が可能)
◆「役員に対する給与(平成29年4月1日以降支給決議分) 定期同額給与(1)」:(国税庁ホームーページより
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5211.htm

肢3、× 設問のように外貨で支払う場合でも、外貨支払額が同額であり他の要件も満たしていれば定期同額給与となります。
法人税法(第34条第1項第1号)では、支給する給与を円建に限定していませんので、外貨建てでも同額の支払であれば定期同額給与に該当します。テキスト:(b)△P323(c)△P121(d)△P195(△推察可能)
◆「外貨で支払う役員報酬(定期同額給与)」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/11/21.htm

肢4、× 役員の役員退職金は、税務署に届けをしなくても不相応に高額であったりなどではない限り損金算入ができます。役員の退職金を計る手法は、主に「功績倍率法」が用いられています。テキスト:(b)P325(c)P121(d)P199

(功績倍率法)「最終役員報酬月額 ×役員在任期間× 功績倍率= 役員退職金」
 この計算式のうち、「最終役員報酬月額」と「功績倍率」の設定が税務署の情報からかけ離れていると判断されることもありその場合は否認になります。
◆「退職給与」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_07.htm

【周辺情報等】エンジェル税制とは、「スタートアップへ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度」です。こちらの税制は、個人投資家のスタートアップ企業家の投資を促すための優遇税制になります。

 適用場面は、取得時と譲渡時で用意されていて、譲渡時は一般株式や上場株式との損益通算と繰越控除が認められています。

 取得時では、設立後10年以内や5年以内などの満たす要件で変わりますが、取得額が総所得額または一般株式や上場株式の譲渡益から控除が出来ます。(下記◆Ⅲ参照)

 そして、2023年4月1日より「特定新規中小企業者が設立した際に発行した株式の取得に要した金額の控除等の特例制度」が始まりました。

 これまでのエンジェル税制がスタートアップ企業への個人投資を促すための税制だったところ、上記の制度は起業したスタートアップ企業の発起人をバックアップする税制になります。

 要件を満たす企業の設立の際に発行される株式を取得して、一定の要件を満たすことにより適用されます。
要件の代表的なところは以下のとおりになります。
(イ)その設立の日以後の期間が1年未満の中小企業者であること。また、当該株式会社の発起人であること。
(ロ)販売費及び一般管理費の出資金額に対する割合が100分の30を超えることその他の要件を満たすこと。
(ハ)特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の100分の99を超える会社でないこと。
(ニ)金融商品取引所に上場されている株式等の発行者である会社でないこと。
(ホ)発行済株式の総数の2分の1を超える数の株式が一の大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社又は発行済株式の総数の3分の2以上が大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社でないこと。
等です。(下記◆Ⅰ、◆Ⅱ参照)

 上記の要件を満たすことにより、一般株式または上場株式の譲渡益から20億円を限度に発行株式の譲渡に要した取得金額を控除することが出来ます。

 また、譲渡時に損失が発生した場合に、一般株式はもとより上場株式とも損益通算が可能になり、損失が控除しきれないときは3年間の繰越控除も出来ます。

※テキスト(c)P40の「特定中小会社が設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等(スタートアップ企業支援)の特例」にある(概要)は、「特定株式会社の発起人であること」の要件が書かれていませんでした。この制度の肝となるところですのでこの要件は必要かもしれません。
◆Ⅰ「令和5年度税制改正の大綱(国税)(拡充等)(3)」:(財務省ホームページより)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/05taikou_01.htm#01_01
◆Ⅱ「起業特例申請ガイドライン」:(経済産業省ホームページより)
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angeltax/kigyoutokurei.pdf
◆Ⅲ「エンジェル投資に対する措置」:(経済産業省ホームページより)
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angeltax/investment.html

【法改正等】居住用住宅を一定の要件のもと改修を行った場合に、一定の税額控除を受けることが出来ます。こちらの制度は、住宅ローンを組まなくても対象になります。

2023年12月31日期限のところ2年間延長され2025年12月31日までになり、「子育て対応改修」が追加されました。

《子育て対応改修》一定の個人が、居住の用に供する家屋に子育て対応改修工事を行った場合又は子育て対応改修工事と併せて増改築等改修工事を行った場合に一定の税額控除を受けられます。

*税額控除:子育て改修工事に係る「標準的な工事費用※」相当額(250万円が上限)の10%が控除されます。
※標準的な工事費用は、工事内容ごとに単価が決められています。(例:クッションフロアへの取り替え→施行面積×7,000円など)

*申請者要件(ⅰ)19歳未満の扶養親族を有している。(ⅱ)申請者またはその配偶者が40歳未満であること。になります。年齢は居住年の12月31日時点で判定します。

*居住年の合計所得金額が2,000万円以下であること。

*住宅要件:改修後の家屋の面積が50㎡以上で、補助金等を差し引いた工事費用が50万円を超えていること。令和6年12月31日までに工事が終了し居住をしていること、などです。

◆「子育て対応改修に係る所得税額の特別控除」:(国土交通省ホームページより)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001732360.pdf
◆「住宅リフォームにおける減税制度について」:(国土交通省ホームページより)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000249.html

【問カ】内国法人から配当を受取った場合に、法人の関係性で益金算入額が異なります。非支配目的株式等とされる株式保有率が5%以下の場合は、益金不算入割合(a)%です。
(答え:休業特別支給金の休業基礎日額に対する割合と同じです。)

問31 ② E  法人の「特定の資産の買換えの場合の課税の特例」での圧縮記帳についてです。テキスト:(b)×P404(c)×P123(d)×P168

設問は法人による買換えに適用する圧縮記帳の問題でした。

《概要》法人が令和8年3月31日までの間に、その所有する棚卸資産以外の特定の資産(譲渡資産)を譲渡し、譲渡の日を含む事業年度において特定の資産(買換資産)を取得し、かつ、取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供した場合または供する見込みである場合に、買換資産について圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額するなどの一定の方法で経理したときは、その減額した金額を損金の額に算入する圧縮記帳の適用を受けることができる制度です。

 事業用資産の買換特例同様にそれぞれ一定の要件が定められていますので、特徴的なところを並べてみます。

《譲渡資産》(ア)長期所有資産の買換え(所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物(その附則設備を含みます)または構築物から国内にある一定の土地等、建物もしくは構築物への買換え)(イ)棚卸資産ではない。(ウ)土地収用法等による収用、買取り、換地処分、権利変換等により譲渡する資産、また、贈与、交換、出資、現物分配または代物弁済により譲渡する資産ではないこと。

《買換資産》(ア)譲渡資産に応じて定められている土地や建物などの資産。(イ)買換えによって取得した資産が土地等である場合には、特定施設(事務所等の一定の施設をいいます。)の敷地の用に供されるものまたは駐車場の用に供されるもの(一定の要件あり)で、その面積が300平方メートル以上であること。(ウ)買換えによって取得した資産が土地等である場合には、譲渡資産である土地等の面積の5倍以内の面積である部分であること、等です。

《買換取得期限》(イ)原則として、譲渡資産を譲渡した日を含む事業年度に取得した資産であること。なお、譲渡資産を譲渡した日を含む事業年度の前後1年以内(やむを得ない事情がある場合には税務署長が認定した期間内)に取得した資産も含みます。
(ロ)取得した日から1年以内に事業の用に供したかまたは供する見込みであること。
(ハ)やむを得ない事情により、その翌事業年度の開始の日から1年以内に買換資産を取得することが困難な法人は、譲渡事業年度終了の日の翌日から2か月以内に納税地を所轄する税務署長に「特定の資産の買換えの場合における特別勘定の設定期間延長承認申請書」を提出し、その承認を受けた場合には、翌事業年度開始の日から3年以内の税務署長が認定した日まで買換期間を延長することができます。
(国税庁タックスアンサー:No5651,No5652,No5656,No5655,より)

設問については、下記◆より、

圧縮限度額=圧縮基礎取得価額※Ⅰ×差益割合※Ⅱ×80/100
※Ⅰ買換え資産の取得価額と譲渡資産の譲渡価額のいずれか少ない金額
※Ⅱ差益割合={譲渡対価の額‐(譲渡資産の帳簿価額+譲渡経費の額)}/譲渡対価の額

以上より
圧縮基礎取得価額=3,000万円>2,800万円 ∴2,800万円
2800万円×0.7×80%=1,568万円 ∴1,568万円
差益割合={3,000万円‐(800万円+100万円)}/3,000万円=0.7
肢1 × 肢2 〇 肢3 × 肢4 ×
◆「特定資産を買い換えた場合の圧縮記帳」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5651.htm

【周辺情報等】事業用資産を譲渡した場合の圧縮記帳は他に「収用等があったときの課税の特例」がありました。テキスト:(b)×(c)×(d)×
◆「収用等があったときの課税の特例」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5650.htm

【法改正等】青色申告を提出している一定の企業および個人事業主に対する賃上げ促進税制が令和6年4月1日(~令和9年3月31日)より大きく変わりました。

 従前の制度は、大企業と中小企業の2区分のところ、新制度から大企業、中堅企業、中小企業の3区分になりました。

 また、上乗せ要件にこれまでの「教育訓練費」とともに「子育てと両立・女性活躍支援」として「くるみん・プラチナくるみん」「えるぼし」が新設されました。

 他に、中小企業は、税額控除の残り部分について5年間の繰越が可能となり、控除の上限は、法人税の20%となります。

 以下の左側の数値は対前年の上乗せ比です。右側の同順とペアになります。
*大企業:下記以外の企業または個人事業主
継続雇用者給与等支給額(3%)(4%)(5%)(7%)→税額控除(10%)(15%)(20%)(25%)

*中堅企業:従業員2,000名以下の企業または個人事業主
継続雇用者の給与等支給額(3%)(4%)→税額控除(10%)(20%)

*中小企業:資本金1億円以下または従業員1,000名以下の個人事業主
全雇用者の給与等支給額(1.5%)(2.5%)→税額控除(15%)(25%)
◆「賃上げに取り組む会社の皆様へ」:(経済産業省ホームページより)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/r6_chinagesokushinzeisei_pamphlet.pdf

【問キ (a)に入る数値は】オープンイノベーション促進税制で、スタートアップ企業の要件の一つにある設立時期は原則として(a)年未満になります。(売上高研究開発比率が10%以上の赤字会社は××年未満になります)
(答え:特別受益となる贈与として持ち戻される相続開始前の年数と同じです)

問32 ① A インボイス制度での消費税の計算方法は、「割戻し方式」(仕入消費税)と「積み上げ方式」(課税売上消費税)があります。

 インボイス以前の消費税は「割戻し方式」が使われていました。インボイス方式になり「積み上げ方式」も始まったようです。

肢1、× 適格請求書発行事業者は、免税事業者になれません。従いまして、課税期間の基準期間における売上高が1,000万円以下となっても免税事業者になれません。設問の「免税事業者となる」が違っています。テキスト:(b)P398(c)P193(d)P266

肢2、〇 課税資産の譲渡を行い、当該課税事業者から適格請求書の交付を求められた場合、原則として、適格請求書を交付しなくてはいけません。(消費税法57条の4)

 交付義務が免除されている取引には、「3万円未満の自動販売機での購入や施設の入場券代」「3万円未満のバスや電車などの交通費」等があります。テキスト:(b)P398(c)P173(d)P266
◆「2、交付義務の免除」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-07.pdf

肢3、〇 不特定多数を相手にする小売業、飲食業、タクシー業は適格請求書に代えて適格簡易請求書を公布することができます。適格簡易請求書の身近な例は登録番号が印字されているなど簡易適格請求書の条件の整えているレシートです。テキスト:(b)×P348(c)P174(d)×P267
◆「適格簡易請求書」:(国税庁ホームページより)
https://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads/invoice/invoice3b.pdf

肢4、〇 請求書等積上げ計算の課税仕入は、原則として、交付された適格請求書などの請求書等に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額の合計額に一定の割合(78/100)を乗じて算出します。

 積み上げ方式は、適格請求書ごとに算出された消費税を合算する方法になり、割戻し方式は、先に課税仕入れ金額を合計して合計額から消費税を求める方法となるようです。

 原則では、課税売上税額では割戻し計算方式で求めて、課税仕入では積み上げ計算方式となるようですが、課税売上も課税仕入も割戻し計算方式または積み上げ計算方式を適用しても問題はないようです。
ただ、課税売上を積み上げ計算方式にして課税仕入れで割戻し計算方式にすることは認められていませんでした。テキスト:(b)×P348(c)×P175(d)×P267
◆「課税仕入に係る消費税額の計算」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6391.htm

【周辺情報等】消費税における「調整対象固定資産」「高額特定資産」について。

 上記の資産を取得等して消費税の還付を受けた後に納付消費税の節約につながる「免税事業者」「簡易課税制度の選択」となることが出来ない制度です。テキスト:(b)P345(c)P176(d)P270

*「調整対象固定資産」一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が100万円以上の建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権等の資産で棚卸資産以外のものをいいます。
 適用の対象となるのは、「課税事業者選択届出書」を提出した場合と新設法人と新規設立法人の特例から2年間以内に調整対象固定資産を取得等した場合です。特定期間の条件により課税対象者となった場合は、こちらの制度は対象となりません。

*「高額特定資産」一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額 (税抜き)が1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいいます。

 上記の資産を、原則的な課税期間中に取得した場合に、取得した日の属する事業期間を含めて3年間は、免税事業者および簡易課税制度を選ぶことができません。
◆「調整対象固定資産」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/todokedesho/pdf/17.pdf
◆「高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除等の特例」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6502.htm

【法改正等】令和6年の税制改正において売り手による適格請求書の交付義務が免除されている「自動販売機特例」「回収特例」について帳簿に住所の記載を求められなくなりました。

開始日:令和5年10月1日より。遡って適用しますので改めて求められません。
対象取引き:3万円未満の自動販売機及び自動サービス機取引き、入場券など適格簡易請求書の記載事項が売り手に回収されてしまう取引きなどです。
◆「令和6年度税制改正大綱について(インボイス関連)」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_0023012-213.htm

【問ク(a)に入る用語は】消費税が課税されない取引きはいくつかありますが、その中の一つに株式の(a)金があります。
(答え:発行会社に株を譲渡して資本金等を超えた部分の所得と同じです)

問33 ① B 会社と役員の取引についてです。

肢1、〇 役員から法人に対する取引です。法人側は、そのほとんどが給与支払(時価<支払)か受贈益(時価>支払)で振り分けます。設問は時価>支払なので時価‐支払金額は受贈益になります。役員側は譲渡金額が時価の2分の1以上ですので譲渡額が譲渡収入になります。
役員側は1,400万円の譲渡収入となり、法人側は1,800万円-1,400万円=400万円が受贈益です。テキスト:(b)P339(c)P153(d)P240

肢2、× 肢1の別バージョンです。設問は2分の1未満での譲渡のため、役員側として得はしていません。
2分の1未満のため、時価で譲渡したとされ、給与所得ではなく譲渡所得になります。
 法人側は、適正な時価で買い取ったとされ、時価‐支払金額部分は受贈益になります。テキスト:(b)P339(c)P153(d)P240

肢3、× 役員から法人に対して無償(権利金も相当の地代もなし)で土地を貸し付けるケースです。無償の場合、役員側に課税関係は生じません。

 法人側が対策をしない場合は、権利金相当額が受贈益とみなされます。法人側が認定されないためには、①権利金を支払う。②相当の家賃を支払う。更地代×6%程度。③「土地の無償返還の届出」を役員と連名で所管税務署長に提出する、になります。テキスト:(b)P340(c)P255(d)P244
◆「借地権の設定等に伴う所得の計算」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/13/13.htm

肢4、× 役員が無償で金銭を法人に貸し付けた場合は、役員側に課税関係は生じません。法人側も、借入金として処理します。
 設問にある「雑所得の収入金額として課税対象になる」は「ならない」が正答です。

 法人から役員に低額な利息または無利息で貸し付けた場合や役員が貸し付けて高額な利息を受取ったケースでは、給与(法人側:役員給与、役員側:給与所得)としてそれぞれ処理することになります。テキスト:(b)P341(c)P155(d)P244

【周辺情報等】グループ法人税制について
⇒グループ法人内の団体を一つの団体とみなすことで、経営の実態に応じた課税を行うための制度です。テキスト:(b)P337(c)P156(d)P246

 グループ法人税制とは、100%完全支配関係のある法人同士で、一定の条件にある資産(譲渡損益調整資産)の譲渡や寄附金などの取引において一般の取引きとは異なる取扱いを行い、課税の繰り延べや益金不算入、損金不算入などととする制度です。

 こちらの制度は、要件を満たした法人同士では強制適用になります。
また、取引き時に課税されなかった譲渡は、適用外の取引が行われたりグループ法人から離脱したなど一定の事象が生じたときに課税の対象になるため非課税ではなく課税の繰り延べになります。

※「譲渡損益調整資産」土地、固定資産、金銭債権、繰延資産、有価証券(譲渡法人または譲受法人にて売買目的有価証券とされる有価証券は除く)で譲渡直前の帳簿価額が1,000万円以上の資産のことをいいます。

《対象となる法人》一定の距離感内にある法人や個人が間接・直接問わず全株式を所有している関係性のときに対象になります。
別の法人が間に挟まれていたとしてもめぐりめぐって結局全株式を所有していることになればグループ法人税制の対象となります。
 例えば、A社がB社の株を100%所有、A社とB社がC社の株を50%ずつ所有している場合などが該当します。所有するのが個人であっても法人と特殊な関係性が認められるなど、結果的に100%所有にみなされると対象になります。
 上記を規定すると、(ⅰ)発行株式のすべてを直接または間接的に保有する関係。(ⅱ)発行する株式のすべてを保有されている法人同士の関係。となります。

*所有者が個人の場合、所有株式のカウントはその個人及びこれと特殊の関係のある個人(その個人の親族等)になります。
*100%の支配関係とされる株式は、(ⅰ)5%未満の従業員持ち株会所有株式および役員または使用人のストックオプション行使による所有株式。(ⅱ)自己株式、が除かれます。

☆100%グループ内の法人間における資産の譲渡取引等とは
《法人間の譲渡》
内国法人間の譲渡損益調整資産の譲渡に伴う損益はグループ外に移転されたりグループ間の関係が消滅するなどまで繰り延べられます。
譲渡法人で戻りいれする際の計算は「原則法」「簡便法」から選択します。

《法人間の寄附》
 内国法人間の寄附については、支出側は全額損金不算入になり受取側は全額益金不算入になります。ただし、個人株主が存在する場合は、寄附の処理は原則どおりになります。
 個人株主の場合、例えば、グループ法人の資産をすべて別の法人に寄附をして株の評価を0とした後に個人が所有する株を贈与または相続して納税を免れる手法が考えられます。その抜け道を抑えるためだそうです。

《法人からの受取配当金》
 内国法人から受取る配当は、完全子会社法人株式等の配当となるため、全額益金不算入になります。

《現物分配(配当を金銭以外で行うこと)》
 グループ内で行われることを「適格現物分配」といい、分配直前の帳簿価格で譲渡されたとみなされ、譲渡損益は繰り延べされます。

《中小企業向けの特例措置の不適用》
 資本金の額が5億円以上の法人の100%子法人には、資本金の額1億円以下の法人に係る以下の優遇制度が不適用となります。
・欠損金の控除限度額が100%可能。
・800万円まで15%適用となる法人税の軽減税率。
・交際費等の損金不算入制度における800万円の定額適用措置。
・青色申告における欠損金の繰り戻し還付制度。
・中小企業とともに銀行・保険会社に認められている貸倒引当金の繰入れ、などです。

《譲渡法人及び譲受法人通知義務》
 譲渡法人および譲受法人において一定の事由が発生した場合に、譲渡法人または譲受法人に通知する義務が発生します。

*譲渡法人:「譲渡損益調整資産」を譲渡したとき。簡便法のときはその旨も伝える。

*譲受法人:・償却資産または繰延資産で簡便法の適用する通知を受けたとき。・評価替え、貸倒、除去などが生じた場合、などです。
◆Ⅰ「資本に関係する取引き等に関する改正」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2010/pdf/02.pdf

☆「連結納税制度」が廃止され「グループ通算制度」が令和4年4月1日より始まりました。
 「グループ通算制度」とは、完全支配関係にある企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行い、その中で、損益通算等の調整を行う制度です。
 こちらの制度の適用は任意ですので、承認申請書をその親法人の納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出します。
 「グループ通算制度」は完全支配法人に対して適用できる制度ですが、特徴としては前述の通り、企業グループ内で損益通算が可能になります。そして、後に修正が発生しても個別に修正ができる制度です。(下記◆Ⅱ参照)
◆Ⅰ「連結納税制度はグループ通算制度へ移行します」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/hojin/group_tsusan/pdf/0020011-117.pdf
◆Ⅱ「グループ通算制度の概要」令和4年4月開始:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei2020/pdf/01.pdf

【法改正等】令和6年度の税制改正で「中小企業事業再編投資損失準備金」制度に別枠が新設されました。「経営資源集約化税制」とも言われているこの仕組みは、M&Aを行う青色申告である中小企業等を支援するための制度で、「中小企業事業再編投資損失準備金」制度は、投資後のリスクに備えるための準備金を、企業が投資した金額を規定の範囲内で損金算入できる制度です。

 これまでの制度は損金算入可能範囲が取得額(上限10億円)の70%だったところ、別枠として90%と100%の準備金を損金算入できるようになりました。また、据置期間も、既存の制度では5年のところ新設された枠では10年となりました。

 どちらの制度も、計画書(既存と新設では提出する計画書は異なります)の認定は令和9年3月31日までになります。テキスト:(b)P329(c)P134(d)P226

《既存》一定の要件を満たした中小企業者(資本金1億円以下、従業員1000人以下)が対象になります。

*改正部分:(イ)「経営力向上計画」の認定期限が2027年3月31日まで延長されました。(ロ)その事業年度終了の日までに特定保険契約を締結している場合は対象になりません。

*概要:(イ)取得価額の70%までの準備金を損金に算入できる。(ロ)取得価格は10億円以内。(ハ)据置期間5年間。(ニ)据え置き期間後5年で益金に均等算入する。

《新規》新規税制の対象企業は、中堅・中小企業とされていて、「従業員2,000人以下の企業」と規定された中堅企業も申込が可能になります。

 事前に、産業競争力強化法において新設する「特別事業再編計画」の認定を受けます。
 既存の措置と同様に、その事業年度終了の日まで等、「特定保険契約」を締結した場合は、準備金を取り崩して益金に算入することになります。

*概要:(イ)過去5年以内にM&Aを実施している。(既存の措置の適用の有無は問われません)(ロ)「特別事業再編計画」の認定を受ける。(ハ)取得価格は、1億円以上100億円以内。(ニ)損金算入可能額は、制度適用後、1度目は取得価額の90%。複数回以降は100%が対象になります。(ホ)据置期間10年間。(へ)据え置き期間後5年で均等益金算入。

既存制度、新規制度とも一定の事象が発生した場合には、事象内容にあわせて取り崩しが発生します。

※「特定保険契約」とは、事業承継等又は特別事業再編のための措置に基因し、又は関連して生ずる損害を塡補する保険で一定のものの契約をいいます(措法56①)。
◆Ⅰ「中小企業事業再編投資損失準備金制度の見直し」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2024/pdf/F.pdf
◆Ⅱ「中小企業事業再編投資損失準備金(中堅・中小グループ化税制)」:(中小企業庁ホームページより)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/shigenshuyaku_zeisei.html

【問ケ (a)にはいる数値は】消費税の申告と納付期限は、個人事業者は翌年の3月31日までで、法人の場合課税期間の末日の翌日から(a)ヶ月以内に行います。
(答え:介護休業給付金の申請は1回の介護休業終了後の翌日から一定期間経過後の月の末日までに行いますがその一定の期間と同じです)

文中にある問題の答えです。こちらは、過去に出題された応用問題の穴埋めを絡めています。

問ア 97,500円(2023年1月 問59)
問イ 5年(超)(2021年9月 問61)
問ウ 6(月)(2023年9月問51)
問エ 75(%)(2017年1月 問51)単位違い
問オ 2分の1(2017年9月 問60)
問カ 20(%)(2019年9月問51)
問キ 10(年)(2022年9月 問65)
問ク 配当(2021年9月問65)
問ケ 2(ヶ月)(2021年5月問53)

以上となります。

最後までお読みいただき誠にありがとうございます。