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FP1級基礎2024年5月+α 6/6様

FP1級学科試験 2024年5月 基礎編 

 この度はお立ち寄りいただきありがとうございます。

 2024年5月に実施されました学科試験の基礎編の私見を書かせていただきました。今回は、相続・事業承継分野の問42~問50までになります。

 また、これまでどおり下記のテキストでの取り上げ具合もざっくりではありますが数えてみました。前回の2024年1月と同程度の直撃率になっていますが、推察可能かも、は含めませんでしたので、数値はもうちょっと上乗せされるかもしれません。
 消去法を使って残り一つに絞りこめる問題や過去に出題されている問題も今回はそれなりにありますので、なんやかやを考えると直撃率にいくつか足した数を正解できる可能性もありそうです。

 今回の出題傾向でまず目に付くのは、計算問題です。ステルス計算問題である問43 2)以外で、問1、問22、問31の3問と少な目でした。なのに、そのうちの2問は思いもよらないところからやってきました。もう、ほとんどびっくり箱状態です。

 その、びっくり箱の正体ですが、問22は、現物と先物の収支をそれぞれで算出し両者の差額に「×1億÷100円」を掛け合わせて正答になるようでした。果たしてこれで正しいのかどうか調べなおしている最中です。

 そして、問31は、計算式が「No.5651特定資産を買い換えた場合の圧縮記帳」として国税庁のホームページにありました。

 全体を通しては、濃淡の違いは若干あるとしてもこれまでの出題傾向を踏襲している様子でした。これまで頻繁に扱われていないところで、テキスト目線で眺めてみますと、「以上」「未満」「超える」「以下」「かつ」「または」など文章に埋もれがちなところからの出題は少ない様子で(例えば問6「各種加算」)、その項目で印象的なところが選ばれて出されていた感が強いようでした。

 例えば、問3の「高額療養費の合算可能被保険者」、問4「教育訓練給付におけるキャリアコンサルティングとジョブカード」、問9「保険会社が破綻した場合の保険料支払について」、問10「保険募集人の罰則規定」、問24「個人情報の有料開示について」、問34「35条書面(重要事項説明書)と37条書面の違い」、
 問35「実測面積と公簿面積」(問題文とうまくリンクできないかもしれません)、問37「土地区画整理法について」、
 問46「相続・贈与の納税義務者について」(単語の長さに惑わされそうですが、ざっくり覚えるのは思いのほかいけそうです。事が起こったときに日本に住所がある→居住、国内・国外の資産に課税される→無制限、になります。
 そして、該当しない方は非居住、制限になります。
 国内に住所があるけれど例外とされる方、10年以内に住所があるけれど例外とされる方、10年以内に住所がない方、など同士のときに、居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者になります)
 問50「非上場株式についての納税猶予・免除の特例における提出書について」などになりそうです。

 すみません、おもいっきり横道にそれてしまいました。それでは、本題に戻します。

[Ⅰ]テキスト直撃率
書籍(b) 「’23~’24版 FP1級技能士学科合格テキスト」→32/50 62(%)
書籍(c) 「’23~’24版 合格テキストFP技能士1級 TAC FP講座」→29/50 58(%)、
書籍(d) 「’23~’24版 みんなが欲しかった!FPの教科書」→29/50 58(%)
(書籍名の使用は出版社より了解をいただいています。ご対応いただきましたご担当者様には改めてお礼を申し上げます)
なお、書籍(a)は’22~’23版のため、今回より上記の3冊にさせていただきました。

[Ⅱ]テキストや過去問などで正解が導き出せそうな問題について
●正解を取れそう。
A:テキストにあるし見慣れたところ:下記以外26問  
B:正解以外テキストに回答有り(消去法可):問3、5、6、9、11、12、17、18、20、30、35、合計11問
C:過去に出題されている:問26、29 合計2問
D:感覚で回答できる: 合計0問

●難問になりそう。
E:テキストにあるけれど文面をなぞって終わる可能性がある:問19、34、46 合計3問
F:改正等(直近): 合計0問
G:見覚えないorあやふや:問2、7、21、22、31、42、47、48 合計8問
正解が可能と思えるのは、A~Dの38問のようでした。39/50 78%

題名にあります+αは以下の通りになります。
【周辺情報等】テキストではみかけるのに過去問では影が薄いところの情報。
【法改正等】ここ数年の間に法律が出来たり変わったりまた何か動きがあって、探し当てられた情報。
【問ア、問イ…】応用問題の穴埋めで過去に出題されているところを絡めた一問一答。

 なお、こちらに関することは私見の域をでていませんので、気になるところがありましたらお調べ直していただきますようお願いいたします。

 また、試験問題の使用は了承をいただいていませんのでお手数ではありますがお手元にご用意いただけますと助かります。

 どうぞよろしくお願いいたします。

問42 ① G 認知制度について。

肢1、× 嫡出子となる時期は、認知と婚姻の関係性で決まります。設問の、認知された後に婚姻をした場合は、婚姻時から嫡出子となります。
子供の非嫡出子から嫡出子への手続きは、民法789条で「準正」という形で枠組みが計られています。
 「準正」とは、「婚姻」と「認知」の条件が揃うことにより「非嫡出子」から「嫡出子」の身分となることです。二つの要件が揃うことが条件で、どちらが先かなどの順番は関係ありません。
 「認知」→「婚姻」(婚姻準正)の場合、「父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。」とされていて、婚姻時から嫡出子になります。(民法789条第1項)
 「婚姻」→「認知」(認知準正)は、民法789条第2項で「2、婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。」とされて認知から嫡出子の身分になるとされています。テキスト:(b)×P416~(c)P4(d)×P4

肢2、〇 胎内にある子を認知する場合、父は母親の承諾が必要になります。こどもが生まれたときは、母親の承諾は不要です。(民法783条第1項)テキスト:(b)×P416(c)×P4(d)×P4
◆「認知届 届出人・届出場所」:(大阪市ホームページより)
https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000369783.html

肢3、〇 非嫡出子を遺言で嫡出子の身分にすることは可能です。(民法781条第2項)テキスト:×(b)P442~(c)P19(d)×P4

肢4、〇 認知された非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の法定相続分と同じになります。テキスト:(b)P433(c)△P4(d)×P4(△推察可能)

☆令和6年4月1日より民法(親子法制)」が改正され施行されました。令和6年4月1日以前は対象になりませんので、令和6年4月1日以前に生まれた場合は従前の条文が適用されます。
改正された内容は、
(イ)婚姻の解消等の日から300日以内に子が生まれた場合であっても、母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定することとしました。
(ロ)女性の再婚禁止期間を廃止しました。
(ハ)これまでは夫のみに認められていた嫡出否認権を、子及び母にも認めました。
(ニ)嫡出否認の訴えの出訴期間を1年から3年に伸長しました などです。
◆「民法等の一部を改正する法律について」:(法務省ホームページより)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00315.html
◆「令和4年民法(親子法制)改正」:(法務省ホームページより)
https://www.moj.go.jp/content/001414216.pdf

【周辺情報等】失踪宣告とは、「死亡とされる確かな証拠がない」ところで「死亡したとみなすため」の制度です。(民法第30条)失踪宣告により残された者たちが一定の手続きを踏めるようになります。テキスト:(b)×(c)×(d)P3

 失踪宣告には「普通失踪」と「危難失踪」があります。
《普通失踪》不在者(従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者)につき,その生死が7年間明らかでないときに宣告されます。(民法第30条第1項)
《危難失踪》戦争,船舶の沈没,震災など死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後その生死が1年間明らかでないときに宣告されます。(民法第30条第2項)

*申立人:利害関係人(不在者の配偶者,相続人にあたる者,財産管理人,受遺者など失踪宣告を求めるについての法律上の利害関係を有する者)になります。
*申立先:不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所になります。
*死亡とされる時期:(普通失踪)7年間満了時(危難失踪)危難の去ったとき:航空機の不明時や船舶の不明時など
*手続きの流れ:申立てから結果の連絡まで6ヶ月程度(目安)必要となり、公示催促から失踪の宣告までは3ヶ月ほどかかります。また、結果の連絡に不服がある場合は、結果の連絡から2週間以内に申し立てることになります。
結果の連絡→(14日)確定・確定証明書の申請→下記*へ
*失踪宣告後の手続き:戸籍法の手続きが必要となり、審判が確定後10日以内に市区町村役場に失踪の届出をして戸籍の変更を行います。
◆「失踪宣告」:(裁判所ホームページより)
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_06/index.html
◆「失踪宣告の手続き」:(裁判所ホームページより)
https://www.courts.go.jp/nagoya-f/vc-files/nagoya-f/file/syouteim-s16qa.H250514.pdf

【法改正等】「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」が令和5年4月1日から3年間延長され、令和8年3月31日までになりました。今回の延長に伴い、一部改正もされています。

《概略》直系尊属(父母や祖父母)から教育資金を一括贈与された場合に、一定の要件のもと1,500万円(学校以外の教育資金は500万円まで)非課税となります。
《年齢》受贈者は、契約の締結日時点で30歳未満
《所得制限》受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円以下。
《契約の終了》以下の状況になった場合に契約者終了になります。
(イ)受贈者が30歳に達した時点。(30歳に達した日において学校等に在学しているまたは教育訓練を受けている場合は除く)(ロ)受贈者が40歳に達した日(ハ)受贈者が死亡したとき(ニ)口座の残高が0になり、かつ、教育資金口座の契約を終了させる合意があったとき、などです。
《贈与者が死亡》死亡した時点で、23歳未満、学校等に在学中、教育訓練を受講中、は原則として課税されません。
《課税対象》
(イ)終了時点で管理財産に残高があった場合には、原則として贈与税の対象になります。
(ロ)贈与者が死亡したときは、相続税の対象になります。受贈者が孫(代襲相続を除く)のときは2割加算の対象です。
《改正》
(イ)贈与者の相続税の課税価格が5億円を超える場合は課税されます。
(ロ)贈与税の税率は、一般税率になります。(直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与も同様です)
◆「令和5年度税制改正の概要」P34‐2-(1):(国税庁ホームページより)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/explanation/PDF/p0007-0058.pdf

【問ア】贈与税の配偶者控除は、20年以上の婚姻期間がある夫婦間で、居住用不動産または取得する金銭の贈与があった場合に、一定金額を課税価格から控除することが出来ます。その上限金額はいくらでしょうか。
(答え:優良住宅地等のために譲渡した場合に長期譲渡所得の税率を軽減できますがそのその税率の対象となる金額の上限と同じです)

問43 ③ A または消去法。暦年贈与の仕組みについて

肢1、〇 実際に受取った場合以外でも債務の免除や著しく低い価額で財産を受取るなどして何らかの利益を手にした場合には贈与とされ課税の対象になります。(相続税法第7条)
 設問では、時価2,000万円の土地を1,000万円で譲渡していますので、時価の半額になります。これまでの判例などから低額譲渡になり差額の1,000万円は贈与になります。テキスト:(b)P418(c)P57(d)P101

肢2、〇 生命保険はその関係性から税金の種類が変わってきます。保険料負担者=受取人は、所得税、保険料負担者=被保険者≠受取人は相続税、保険料負担者≠被保険者≠保険料負担者・被保険者は贈与税になります。
 贈与となる関係性は、保険料負担者=母、被保険者=父、受取人=子のパターンですので、母が負担した保険料で保険金を按分します。テキスト:(b)P146(c)P45※(d)P65※(※リスク分野)
3,000万円×(200万円/300万円+200万円+100万円)=3,000万円×1/3=1,000万円 ∴1,000万円

肢3、× 相続時精算課税以外の生前贈与(年内贈与も含めて)は、相続や遺贈を受取らない場合相続税ではなく贈与税の対象になります。テキスト:(b)P454(c)P45(d)P65
◆「第21条の2 贈与税の課税価格関係」21の2-3(1)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/10.htm

肢4、〇 見合った対価もなく何らかの利益を得た場合は、受取った利益分は贈与税の対象になります。(相続税法第9条)テキスト:(b)△P418(c)P57(d)×P101(△推察可能)
 問48にある、持分ありの医療法人の持分所有者全員が持分の権利を手放すと医療法人が利益を受けたことになり自然人ではないけれどそのままだと贈与税の課税対象になります。
◆「贈与税の計算と税率」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

☆2024年1月1日以降に贈与をした場合の相続時清算課税と暦年贈与が大きく様変わりしましたので相続時清算課税制度の概略を改めてなぞってみました。テキスト:(b)P425(c)P65(d)P94

☆相続時清算課税制度の変わらないところ
《対象者》原則として、贈与時の1月1日時点で贈与者は60歳以上の直系尊属(父、祖父母)、受贈者は同時点で18歳以上の直系卑属(子、孫)になります。(例外:下記【周辺情報等参照】)
《手続き》最初に贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に「相続時精算課税選択届出書」を管轄する税務署長に受贈者の戸籍謄本など一定の書類を添付して提出します。
《金額》累計で2,500万円までになり、超えた部分に20%の贈与税がかけられます。今回より110万円/年の控除額が新設され、110万円以内の場合は贈与税の申告は不要になります。
《人数》一人の受贈者に複数の贈与が可能です。ただし、110万円の控除は変わりませんので按分されます。
《留意点》一度「相続時清算課税」を選択すると暦年課税には戻れません。

【周辺情報等】
相続時精算課税の60歳以上の直系尊属(父母、祖父母)であるとされる贈与者要件と直系卑属(子、孫)の18歳以上であることの受贈者要件の例外について。
☆居住用財産の購入資金は贈与者が60歳未満の父、祖父母でも可能です。受贈者の年齢が18歳以上は変わりません。令和8年12月31日までになります。(下記◆Ⅰ参照)
☆非上場株式の納税猶予・免除の特例においては、直系卑属とされない第三者でも適用可能です。(下記◆Ⅱ参照)
◆Ⅰ「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税等のあらまし」P6:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0024005-031_01.pdf
◆Ⅱ「No.4103 相続時精算課税の選択」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm

【法改正等】相続時精算課税の改正。(2024年1月1日施行)

《相続時精算課税》
(イ)110万円/年の控除枠が出来ました。(一度選択すると暦年課税に戻れないことは同じです)
(ロ)選択は贈与者ごとに選べますが、相続時精算課税で複数の贈与者から受取った場合の110万円は按分になります。
(ハ)災害により減失等があった場合には相続時に評価のしなおしをします。贈与されたときから災害発生時まで所有するなど一定の要件を満たすことによりその贈与の時における価額から、その災害による被災価額を控除した残額とすることができます。(下記◆ⅡP3参照)

《持ち戻しについて》相続時精算課税の申込時期により相続税の加算期間が異なってきます。
(イ)令和8年(2026年)12月31日まで:相続発生前3年間を加算します。110万円/年の控除部分は加算しません。
(ロ)令和9(2027)年1月1日~令和12年12月31日:相続発生前3年(110万円/年控除後)+4年以前(4年以前の合計から100万円控除後)が加算されます。
(ハ)令和13年1月1日以降:相続開始前7年間を加算します。相続発生前3年(110万円/年控除後)+4年以前から7年は合算額から100万円控除後、になります。(下記◆ⅡP4参照)
◆Ⅰ「令和6年分の贈与から贈与税・相続税の計算方法が変わります!」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/tebiki2023/pdf/030.pdf
◆Ⅱ「令和5年相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

【問イ (a)にはいる数値は】贈与税の延納の期限は最長(a)年です。また、延納金額が100万円以下かつ延納期間が3年以下のときは、担保の提供は求められません。
(答え:医療費控除の明細書等の提出を税務署から求められるかもしれない期限と同じです)

問44 ② A 相続の承認と放棄について

肢1、× 単純承認とは、「相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する」(民法920条)とされ、負の財産も含めてすべて相続することです。
 単純承認となる用件は以下の通りです。(1)相続財産の全部または一部を処分したとき。(2)相続人が相続の事実を知ったときより3ヶ月以内に限定承認または相続放棄の手続きをしなかった場合。(3)財産を隠蔽や消費または悪意をもって目録に記載をしなかったなどした場合。(民法921条)です。
単純承認とされるのは、前述のとおり要件は決まっています。
相続時の資産が相続財産になりますので、設問にある生命保険の保険金は相続財産には含まれません。(受取人の固有財産と言われます)従って受取ったとしても単純承認にはなりません。
ただ、解約返戻金等は、相続財産となります。テキスト:(b)P437(c)P10(d)P15

肢2、〇 限定承認は「相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる」(民法922条)となります。
 また、限定承認の手続きを「相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる」(民法922条)としています。
 相続放棄は「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」(民法939条)と規定していて相続放棄をしたものは相続人ではないため限定承認の申請人には含まれません。テキスト:(b)△P437(c)△P10(d)△P15(△推察可能)

肢3、× 肢2の通り相続放棄をした者は、「相続人とならなかったものとみなす」ですので、子供に代襲相続の身分もないことになります。テキスト:(b)P437(c)P10(d)P16

肢4、× 親と子供が相続人のときで相続放棄の問題となるのは両者の利益が競合するときです。それを「利益相反(りえきそうはん)」と言います。
両者の間に「利益相反」が認められるときに、親権者は未成年である子供の相続放棄の手続きをすることは出来ません。親権者が代理人に認められない場合に、親権者に代わって未成年者の手続きを代行するのが「特別代理人」になります。特別代理人は家庭裁判所に申したてて選任されます。申し立てが出来るのは親権者になります。
 設問では、同時に相続放棄の手続きをする、となっていますので「利益相反」の問題はないため特別代理人の選任は不要になります。テキスト:(b)×P437(c)×P10(d)×P16
◆「相続放棄の申述について(記入例1:申述人が未成年の場合」(福島家庭裁判所):(裁判所ホームページより)
https://www.courts.go.jp/fukushima/vc-files/fukushima/2020/20200325-04.pdf

【周辺情報等】相続には、相続人の当然に持ち合わせている権利を法的になくしてしまう仕組みもあります。それが「欠格」「廃除」です。
 相続人が欠格、廃除とされた場合は、代襲相続が行われます。
 ただ、後述するように、廃除の場合は、兄弟姉妹は対象ではないため代襲相続の適用もないことになります。テキスト:(b)P434(c)P3(d)P4

《欠格》相続人が相続制度を乱す身勝手な行為を行った場合に相続する権利がなくなります。その行為は以下の5つとされます。(民法891条)
 欠格は、以下の事実が確認できた時点で強制的に適用され、生涯欠格から戻ることはできない強烈なペナルティになります。

《次に掲げる者は、相続人となることができない。》(民法891条)
1、故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
⇒故意であることとなっているため、過失致死や傷害致死は含まないとされています。
2、被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
⇒直系血族は、親や子供になります。
3、詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4、詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
5、相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
⇒相続人の利益を図る目的で行ったときに欠格事由に該当するとされ、必ずしもそうとはいえないとき(遺書の保管をまかされて相続発生時まで黙っていた、など)は含まないとされています。
 また、欠格者は受遺能力も失います。(民法965条)つまり、遺贈の権利もなくなることになります。一方、廃除は、遺贈を受けることは出来ます。
 「欠格」とされることに異議があるときは裁判で争うことになります。

《廃除》被相続人が自分に行われた非礼(虐待、重大な侮辱、犯罪、行方不明など)の数々により相続をさせてなくないと家庭裁判所に申し出ることにより相続の権利を奪う仕組みです。(民法892条)
欠格と異なる特徴は、
(イ)家庭裁判所に自ら審判を申し出る、または、遺言で意思を表示するなど自ら動く必要があります。
(ロ)家庭裁判所の審判が確定することにより廃除されます。また、被相続人が家庭裁判所に申し出ることにより取消しも出来ます。
(ハ)対象者は、遺留分を有する推定相続人になります。遺留分の権利をもたない兄弟姉妹は「相続させない」とすることで間に合うため、廃除の適用は必要ありません。

『遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。』(民法892条)

*遺言で廃除の意思表示をした場合には、「遺言執行者」が手続きを進めます。

【法改正等】令和3年(2020年)民法改正により相続に係る制度も幾つか改正されました。「不動産登記法の改正」「相続土地国庫帰属法」が出題されましたが相続や贈与に係るそれ以外も改正されていますのでピックアップしてみました。

 令和3年の民法改正により、特別受益と寄与分の請求に期限が設けられました。(民法904条の3)
 令和5年4月1日に施行されています。
*相続開始(被相続人の死亡)時から10年を経過した後にする遺産分割は、具体的相続分ではなく、法定相続分(又は指定相続分)となりました。(新民法第904条の3)

 ただ、(イ)10年経過前に、相続人が家庭裁判所に遺産分割請求をしたとき
(ロ)10年の期間満了前6か月以内に、遺産分割請求をすることができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、当該事由消滅時から6か月経過前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産分割請求をしたとき、は引き続き具体的相続分での分割が可能になります。

◆「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」P47:(法務省ホームページより)
https://www.moj.go.jp/content/001401146.pdf

【問ウ】被相続人の居住用財産(空家)の譲渡所得の特別控除は、一定の要件を満たすことにより譲渡金額より3,000万円の控除を受けられる特例ですが、適用要件の一つに譲渡金額の上限があります。その上限の金額は。
(答え:法人の資本金等が一定以上の場合に、法人税の申告(中間申告、確定申告)はe-Taxになります。その資本金等と同じです。)

問45 ④ A 配偶者居住権と配偶者短期居住権について。

肢1、× 配偶者居住権は、配偶者の居場所と生活する資金を按配よく確保するために2020年4月1日から始まった制度です。その仕組みの特徴はいくつかありますが、設問にあるとおり居住建物を相続のときに被相続人と配偶者以外のものと共有をしていた場合は配偶者居住権を取得することは出来ません。(民法1028条)テキスト:(b)×P400(c)P24(d)×P20

肢2、× 配偶者居住権を取得した配偶者が死亡した場合は、配偶者居住権が法律の規定に沿って消滅したことになります。
 そのため、建物の所有者に何らかの利益が発生したとされず課税の対象になりません。設問の「当該配偶者の相続財産として遺産分割の対象となる」は「対象にならない」となります。
 ただ、期限を向かえる前になんらかの事由で配偶者居住権が消滅することになった場合には、建物の所有者および敷地の所有者に残期間分の使用・収益権が戻されたことになります。そのケースでは、贈与税の対象になります。(相続税法基本通達9-13-2)テキスト:(b)P440(c)P24(d)×P20
◆「その他の利益の享受関係」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01/06.htm#a-9_13_2

肢3、× 配偶者短期居住権は、相続開始時に被相続人が居住していた建物に無償で居住をしていた場合に有する権利です。法律上の配偶者であれば配偶者居住権も配偶者短期居住権にも婚姻期間の制限はありません。(民法1037条)(下記◆参照)
 配偶者短期居住権の主たる特徴は、・登記は必要ない。・相続が発生してから6ヶ月または遺産分割などにより権利の帰属が決定した日のどちらか遅い日まで無償で居住が出来る。となります。テキスト:(b)P440(c)P24(d)P20

肢4、〇 肢3とともに、肢3を除いた期間において所有者はいつでも権利消滅を申し入れることが出来きます。その申し入れの日から6ヶ月が経過するまで無償で居住できます。(民法1037条第1項第2号)テキスト:(b)P440(c)P24(d)P20
◆「配偶者居住権とは何ですか」:(法務局ホームページより)
https://houmukyoku.moj.go.jp/maebashi/page000001_00235.pdf

【周辺情報等】成年後見制度は、判断の能力に陰りが見えてきた方をその濃淡に合わせて支援する仕組みです。

 仕組みは大きく分けて、「法定後見制度」「任意後見制度」となります。テキスト:(b)P447(c)P31(d)P42

☆法定後見制度(判断能力の陰り具合により、濃いほうから成年後見人・保佐人・補助人に分かれます)
《概略》家庭裁判所が個々の事案にあわせて成年後見人等を選任します。
*家庭裁判所への申立てが必要です。申立てができる関係者は『本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長など』です。なお、検察官、市町村長は任意後見制度では申立人になりません。
*裁判所の判断において「後見監督人、保佐監督人、補助監督人」を選任します。
*補助後見人の申立てには、被補助人の承諾が必要です。
*本人の同意:(ア)本人以外からの補助人の申立て時。(イ)保佐人・補助人への代理権の付与申立て時。
※申立てと同時に代理権の付与も行うときは、保佐人も本人の同意が必要になります。
《留意点》生活用品の購入について取消しはできません。
《問題点》一度決めたら後見人を代えることが出来ないなど使い勝手には指摘があるらしく、見直しの検討がされているようです。

☆後見登記制度
《概略》後見登記されていることを証明する、また、後見登記されていないことを証明するために登記官がシステムに登記をして、申請により交付を行い開示ができる制度です。
 自分が後見人であることを証明するために、法務局で「登記事項証明書」を発行してもらいます。
 また、まだ後見人が選任されていないことを証明するためには「登記されていないことの証明書」を発行してもらいます。
《はじめての登記者》(法定後見人)家庭裁判所、(任意後見人)公証人
《申請場所(オンラインも可能です)》
窓口の申請は、東京法務局民事行政部後見登録課、各法務局、地方法務局戸籍課で行います。また、郵送は、東京法務局民事行政部後見登録課のみです。
データの登録は、東京のデータセンターで一括管理をしていて、相談の窓口等は各法務局や地方法務局戸籍課が担当します。
(注)任意後見制度は少しずつ異なっていますので、下記◆を参照ください。
◆「成年後見制度 成年後見登記制度」:(法務省ホームページより)
https://www.moj.go.jp/MINJI/pdf/pamphlet.pdf

【法改正等】相続登記の義務化が2024年4月1日より開始されました。概略は以下の通りです。

《相続登記の義務化概略》
*登記義務者
(イ)所有権の登記名義人について相続により所有権を取得(特定財産承継遺言による取得を含む。)した者。
(ロ)遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者。
(ハ)法定相続分での相続登記後になされた遺産分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者。
になります。
*不動産を取得した相続人に対して、その取得を知ったときより3年以内に登録登記を申請することを義務付けました。(登記法第76条の2)
*正当な理由がないのに登記を怠ったときには10万円以下の科料に処されることになります。(登記法第164条第1項)
*法律の施行前に相続が発生していた場合も登記の申請義務は求められています。期限は施行日と要件を充足した日のうちどちらか遅い日から3年以内になります。

《相続人申告登記》(下記◆Ⅱ参照)
*相続人が申請義務を簡易に履行できるための登記が新設されました。(登記法第76条の3)
(イ)所有権の登記名義人について相続が開始した旨
(ロ)自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出る、ことにより申請義務を履行したとされます。
 申し出を受けた登記官は所要の審査をした上で、申出をした相続人の氏名・住所等を職権で登記に付記(非課税)します。
*3年以内に遺産分割が決まらない場合は、
(イ)相続人申告登記(前記)
(ロ)法定相続分で登記
(ハ)第三者が代位申請を
したケースも義務履行があったとされます。
 その後に遺産分割が完了し場合は、遺産分割が決まってから3年以内に登記をします。

◆Ⅰ「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」P4:(法務省ホームページより)
https://www.moj.go.jp/content/001401146.pdf
◆Ⅱ「相続人申告登記について」:(法務省ホームページより)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html

【問エ (a)に入る語句は】地域規模の大きな宅地の評価でこの評価から除かれるものは幾つかありますが、それは、工業専用区域、指定容積率が400%以上(東京都の特別区は300%)の地域、一定の大規模工業用地、(a)になります。
(答え:都市計画法で用途地域を定めないとされている区域と同じです)

問46 ③ A  納税義務者の区分と課税財産の範囲について
テキスト:(b)P450(c)P36(d)P51※(※P53のひとことに「財産を取得した人が、財産を取得した時に日本に住所を有していたら、他の判定は必要ありません…」と書かれていましたが、それは改正前(おそらく平成28年ごろ)のようです。現在は、日本に住所を有していても在留資格を有する一定の短期滞在外国人が居住制限納税義務者に該当するケースもあるようです。)

居住→事が起こった時に住所がある。非居住→事が起こったとき国内に住所がない。無制限→国内・国外とも課税の対象。制限→国内のみ課税の対象、の組合せです。

 あげる側ともらう側のどちらかが、国内に住所有と10年以内に国内に住所ありであるときは、原則として「無制限納税義務者」になります。
ただ、それぞれに例外も設定されていて、その例外と10年以内に国内に住所無し同士のときに「制限納税義務者」になります。
 また、若干国籍の有り無しも関係もしてきます。
そして、別枠に「特定納税義務者」が設定されています。「特定納税義務者」は、被相続人より相続時精算課税で贈与を受けていて、相続または遺贈の財産がない相続人が課税の対象者です。

①あげる側→住所有なので居住者、もらう側→相続発生時に住所無し(非居住者)で10年以内に住所ありで例外となる人ではないので、「非居住無制限納税義務者」になります。
②あげる側→10以内住所無し、もらう側→10年以内に住所無し(非居住者)、10年以内国内に住所無し同士のため「制限」になりますので、「非居住制限納税義務者」になります。
∴①非居住者無制限、②非居住者制限 になります。
肢1、× 肢2、× 肢3、〇 肢4、× 
◆「相続税の申告の仕方」P7:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2024/pdf/E4.pdf

【周辺情報等】取引き相場のない株式を評価するためには、一定の要件のもとに、評価対象会社の規模を決める必要があり、その規模に沿って取引き相場のない株式の評価を算出します。テキスト:(b)P483~(c)P111(d)P152
ざっくりの順番は以下の通りになります。
(イ)同族株主かそれ以外かを決めます。
(ロ)大会社か中会社か小会社かを判定します。
(ハ)判定結果にそって「類似業種比準方式」「純資産方式」「類似業種比準方式と純資産方式の併用」「配当方式」のうちから評価方式を決定します。ケースによってはどちらか低い金額を選ぶことも出来ます。
▪同族株主の保有割合が50%以下の場合、デフォルトで設定されている純資産価格は80%で計算できます。

 ただ、一定の活動状況にある会社は、一般の会社の状態とは異なるということで株式の評価方法に制限がかけられています。
それを、「特定の評価会社」と言います。テキスト:(b)P484(c)P118(d)P159

 つまり、特定の評価会社とは、取引き相場のない株式(非上場株式)の評価においてその評価方法が限定されている会社になります。

☆特定の評価会社は6種類からなり、同族株主以外の株主は「配当還元方式」で評価しますが、以下にある、(ⅴ)は同族株主もそれ以外も純資産価額方式で評価します。(ⅵ)は、清算中となりますので資産の分配規模に合わせて評価をすることになります。
 また、同族株主は純資産価額方式が原則となりますが、(ⅰ)と(ⅱ)は他の方法と比較して低い価額を選ぶことが出来ます。

(ⅰ)類似業種比準方式で評価する場合の3つの比準要素である「配当金額」、「利益金額」および「純資産価額(簿価)」のうち直前期末の比準要素のいずれか2つがゼロであり、かつ、直前々期末の比準要素のいずれか2つ以上がゼロである会社(比準要素数1の会社)の株式です。(他)の方式と比較して低い価額を選べます。
(他)類似業種比準方式×0.25+純資産価額方式×(1-0.25)

(ⅱ)株式等の保有割合(総資産価額中に占める株式、出資および新株予約権付社債の価額の合計額の割合)が一定の割合以上の会社(株式等保有特定会社)の株式で、どの規模の会社も50%以上の保有割合が該当します。(他)の方式と比較して低い価額を選べます。
(他)S1+S2方式
《S1+S2方式とは》株式の部分は純資産価額方式で評価をして(S2)、それ以外は類似業種比準方式で評価を行い(S1)合算する方法です。(下記◆Ⅱ参照)

(ⅲ)土地等の保有割合(総資産価額中に占める土地などの価額の合計額の割合)が一定の割合以上の会社(土地保有特定会社)の株式になります。保有割合:(大会社)70%以上(中会社)90%以上。

(ⅳ)課税時期(相続または遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において開業後の経過年数が3年未満の会社や、類似業種比準方式で評価する場合の3つの比準要素である「配当金額」、「利益金額」および「純資産価額(簿価)」の直前期末の比準要素がいずれもゼロである会社や開業後3年未満の会社等の株式になります。

(ⅴ)開業前または休業中の会社の株式です。

(ⅵ)清算中の会社の株式です。
◆Ⅰ「特定の評価会社の株式」(財産評価基本通達 189):(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/08/05.htm
◆Ⅱ「S1+S2」(財産評価基本通達189-3):(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/08/05.htm

【法改正等】令和3年の民法の改正で「外国に居住する所有権の登記名義人の国内連絡先の登記」について以下の通り改正され、令和6年4月1日より施行されました。

*所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先を登記事項とされました。(登記法第73条の2第1項第2号)
*連絡先は、自然人でも法人でも可能です。
*この制度が定着するまでの間は、「連絡先がない」旨の登記も可能です。
*所有権の登記名義人の氏名への旧氏・ローマ字氏名併記も可能になりました。
◆「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」P17:(法務省ホームページより)
https://www.moj.go.jp/content/001401146.pdf

【問オ (a)に入る数値は】小規模宅地の評価減の特例にある特定事業用宅地では、相続発生時3年以内に開始された事業は対象から除かれます。ただ、一定の条件を満たすことにより3年以内に開始した事業でも特例を受けられることができます。その条件は、宅地等の上で事業の用に供されていた減価償却資産のうち被相続人が有していた資産の相続時の合計額が、当該宅地等の相続時おける価格の(a)%以上である場合です。
(答え:高年齢雇用継続給付金の給付率の上限と同じです。)

問47 ① G 相続税の税額控除について

肢1、× 相続税の税額控除の一つである未成年者控除は相続放棄をしても受けることが出来ます。(相続税法第39条の3)テキスト:(b)P459(c)×P49(d)P77

肢2、〇 「配偶者に対する相続税額の軽減」はいわゆる戸籍上の夫婦であることが必要です。同居のみや周囲に認知されているなどの内縁関係では適用できません。テキスト:(b)P458(c)P48(d)△P77

肢3、〇 暦年課税で相続税に加算をして控除しきれない金額があっても還付はされません。一方、相続時精算課税は還付されます。テキスト:(b)P458(c)×P48(d)×P76
◆「贈与税の申告等」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/09.htm

肢4、〇 「相次相続控除」になります。10年以内に被相続人が相続税を支払っている場合、一定の要件のもと被相続人から相続をした相続人が一定の金額を控除できる制度です。年当たり10%ほどを逓減した後の金額となるようです。テキスト:(b)P459(c)P49(d)P78
◆「相次相続控除」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4168.htm

【周辺情報等】一定の距離を持った親族が相続した場合に、相続税額に2割加算される制度があります。2割加算とならない相続人は、配偶者・子・両親です。
 また、養子も子とされるため2割加算の対象外になります。ただ、孫養子(代襲相続除く)は2割加算されることになります。テキスト:(b)P457(c)P47(d)P75

《関係性が変化した相続時清算課税について》養子縁組の解消など相続時までに変化があった場合は、縁組中と縁組後を考慮した2割加算の計算方法になります。(下記Ⅱ参照)
加算対象外金額=相続税額×2割加算対象外の贈与額/2割加算対象外の贈与額+2割加算対象の贈与額

《税額控除と2割加算の順番》税額控除前に2割加算の計算をします。(下記◆Ⅰ参照)
相続税額の2割加算が行われる場合の加算金額 = 各人の税額控除前の相続税額×0.2
◆Ⅰ「相続税額の2割加算」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm
◆Ⅱ「相続時精算課税の適用を受けていた養子が、その後、養子縁組を解消した場合の相続税の2割加算の計算」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157_qa.htm#q1

【法改正等】相続人不存在の相続財産の清算手続の見直しについて(令和5年4月1日施行)

*これまでは、相続人のあることが明らかでない場合における相続財産の清算手続において、
①相続財産管理人の選任の公告
②相続債権者等に対する請求の申出をすべき旨の公告
③相続人捜索の公告、を順に行なわなくてはなりませんでした。
こちらの制度では、それぞれの公告手続を同時にすることができないため、その結果、権利関係の確定に最低でも10か月程度かかりました。

*今回の改正で、「選任の公告」と「相続人捜索の公告」を統合して一つの公告で同時に行うとともに、これと並行して、「相続債権者等に対する請求の申出をすべき旨の公告」を行うことが出来るようになりました。(新民法952II、957I)
それにより、権利関係の確定に最低必要な期間を合計6か月と短縮することができました。

 あわせて、その職務の内容に照らして、相続人のあることが明らかでない場合における「相続財産の管理人」の名称を「相続財産の清算人」に改正しました。
◆「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」P44:(法務省ホームページより)
https://www.moj.go.jp/content/001401146.pdf

【問カ (a)にはいる数値は】「土地の無償返還の届出書」を提出した使用貸借の土地の評価は、借地権はゼロ評価となり貸宅地は「自用地としての価額×(a)%」で評価します。
(答え:小規模企業共済の加入者が任意解約をした場合の解約手当金は要件を満たすことにより掛金合計額の一定の割合が返金されます。その割合には掛金年数において幅がありますが、その下限と同じです。)

問48 ① E 医療法人の区分は根拠となる法律などで分けられていますが、医療法人のほとんどが社団医療法人になります。
 社団医療法人にも「持分有の医療法人」と「持分無しの医療法人」そして「経過措置中の医療法人」が存在します。

 持分とは、株式会社の株のようなもので、医療法人が所有する財産の出資分および取り分となります。
 持分は、口数が変わることがないため、法人の価値が増加すると1口あたりの持分も比例して増額します。その結果、長い間業績が順調だった医療法人の持分は多額になる傾向があります。

 持分所有者が、病院を退職し持分の精算を求めてきたときに、多額の現金または資産を取り崩すことになり病院経営に影響を及ぼすことになりえます。結果として地域医療を支える医療法人の減少を招きかねないため、方針としては持分ありの医療法人を減らしていく方向になっています。

 持分は財産なので簡単には手放しません。そこで、2007年の法改正により持分ありの医療法人は新規に設立が出来なくなりました。また、持分有の医療法人を持分無しの医療法人に代えるための施策(持分の放棄による贈与税の免除など)を打ち出して持分無しの医療法人への変更を推奨している状況です。
◆「医療法人の基礎知識」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/houkokusho_shusshi_09.pdf

肢1、× 持分ありの医療法人の会社規模の判定は「小売、サービス業」の基準になり、類似業種比準価額を計算する場合の評価会社の業種目は「その他の産業」になります。テキスト:(b)×P446(c)×P114(d)×P156
◆「医療法人の出資を類似業種比準方式で評価する場合の業種目の判定等」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/13/02.htm

肢2、〇 医療法人に配当は認められていません(医療法第54条)ので、設問の通り、出資の評価に対して配当還元方式は利用できません。テキスト:(b)×P441(c)×P114(d)×P154

肢3、〇 持分の定めのある社団医療法人において、類似業種比準価額の計算上、比準要素は「1口当たりの利益金額」と「1口当たりの簿価純資産価額」となり、比準割合を算出する分母は「2」になります。テキスト:(b)×P486(c)×P114(d)×P156

肢4、〇 持分の定めのない社団医療法人は、持分権がないため、設問にあるとおり、「出資について相続税の課税関係は生じません」テキスト:(b)×P486(c)×P114(d)×P156

◆「医療法人の基礎知識」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/houkokusho_shusshi_09.pdf

【周辺情報等】種類株式と属人的株式(会社法第109条第2項)について。テキスト:(b)P506(c)×P163(d)×P191

☆種類株式と属人的株式の違いは、種類株式が株式に備わる条件とされ属人的株式は株を所有するものへの条件とされています。
種類株式は所有者が変わってもその属性は維持しますが、属人的株式は所有者が変わると普通株式に戻ります。
 また、属人的株式は公開会社※以外の会社のみで扱いが可能と制限されていて、登記されない、などの特徴もあります。
 種類株式は、定款によって種類を決めることが出来ます。その種類は9種類あります。(会社法108条第1項1号から9号)
※公開会社:「会社の発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社」をいいます。(会社法第2条第5号)

*種類株式:剰余金の配当、残余財産の配分、議決権を行使することが出来る事項、譲渡による当該種類株式の取得、株主から会社への取得請求権、会社による取得条項、株主総会特別決議による当該種類の株式全部の強制取得、株主総会決議事項等に関する拒否権、種類株主総会での取締役等の選解任、です。下記◆ⅠP90をご参照ください。
◆Ⅰ「事業承継ガイドライン R4年版」P90:(中小企業庁ホームページより)
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/jigyousyoukei_guideline/002/002_02.pdf
◆Ⅱ「相続などにより取得した種類株式の評価について」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/hyoka/070226/another.htm

【法改正等】所在不明株主における会社法の特例について。(令和3年8月施行)

☆株主名簿に記載されているものの株式会社から連絡ができない株主を「所在不明株主」と言います。
会社法では、所在不明の株主に対して、通知等が5年以上継続して連絡がとれず、5年継続して剰余金の配当を受領しない場合、その保有株式の競売または売却の手続きが可能とされています。
 ただ、「5年間」という期間が長すぎて事業承継を行ううえで障害となっていました。

そこで、令和3年に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下、経営承継円滑化法)の改正により、事業承継の課題であった所在不明株主に関する会社法の特例が新設されました。
改正により、「5年」が「1年」に短縮されました。

《概略》都道府県知事の認定を受けた後に、一定の決まりに沿った公告等を行いその後に裁判所の許可を得て、株式の買取を行います。

[ステップ1:認定]経営承継円滑化法における会社法特例を利用するためには、上場会社等以外の中小企業者である株式会社が以下の 2 要件を満たし、都道府県知事の認定を受ける必要があります。
①経営困難要件:・代表者の年齢が60歳以上である。・健康状態の悪化。・外部環境の急激な変化で業績が悪化しているなど、その他の要件、など。
②円滑承継困難要件:所在不明株主の保有株式の議決権割合が一定のレベルをオーバーしている。

[ステップ2:各公告]
*特例公告:まず、会社法公告に先行して特例措置によることを明示した異議申述手続を行います。
*会社法公告:株式会社が、利害関係人が一定期間(3 か月以上)内に異議を述べることができる旨等を官報等により公告し、所在不明株主等に個別催告します。

[ステップ3:裁判所の売却許可]
*会社法特例の対象となる非上場株式の売却(自社による買取りを含みます。)については、「裁判所の許可」が必要なため、裁判所における手続を経ることとなります。
⇒売却
◆「所在不明株主における会社法の特例」:(中小企業庁ホームページより)
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu/kaisha-hou_pamphlet.pdf

【問キ (a)にはいる語句は】非公開会社の株式には属人的株式の発行が認められていますが、発行するためには、株主総会で特殊決議が必要になります。特殊決議は、総株主の半数以上かつ総株主の議決権の(a)以上の賛成で成立します。
(答え;短期労働労働者は1ヶ月の勤務日数および1週間の労働時間が通常の労働者と比べて一定の割合以上の場合に健康保険および厚生年金保険に加入することになりますが、その割合と同じです)

問49 ③ A 「個人の事業用資産の納税猶予・免除の特例」は、青色申告(正規の簿記の原則によるもの)をした個人事業者が要件を満たすことにより事業用資産(土地400㎡以内、建物800㎡以内等)を承継者に渡した場合もその納税を猶予・免除される制度です。

肢1、×肢2、×肢3、〇肢4、×
「個人の事業資産の納税猶予・免除の特例」は、個人事業主への制度ですので、住居が対象となる「特定居住用宅地等」、一定のグループ内で50%の株を所有する個人が一定の関係性を持つ法人に貸し付けることにより対象となる「特定同族会社事業用宅地等」は重複しません。
 個人事業のうちでも、この特例は「不動産貸付業等は除く」とされていますので、「貸付事業用宅地等」も本特例とは別のステージとなります。
本特例と重なるのは「特定事業用宅地等」になりますので、この二つは併用が不可です。テキスト:(b)P501(c)P154(d)P181
◆「個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除の特例のあらまし」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0024006-044_04.pdf

【周辺情報等】相続時や贈与時に土地を評価する元となる評価方法には、「路線化方式」と「倍率方式」があります。
倍率方式は、路線価が定められていない地域の土地の評価方法です。テキスト:(b)P472(c)P96(d)P136

《評価方法》その宅地の固定資産税評価額に国税局長が定めた倍率を掛け合わせて計算します。
土地の評価=固定資産税評価額×倍率
《留意点》
*借地権割合が、路線価が設定されている側と倍率評価側両方に接している場合は、正面路線価の借地権割合となります。(下記◆Ⅳ 3借地権割合欄の(注)参照)
*地積は課税時期による実際の面積によることになりますので、地積が登記簿の面積と違っていた場合は固定資産税評価額を引きなおします。
固定資産税評価額×実際の地積/登記簿上の地積×倍率

☆農地の評価:農地は、宅地への転用が制限されたり都市計画などの土地事情も異なるため、評価は4つに区分されます。(下記◆Ⅱ参照)
(ⅰ)純農地:固定資産税評価額×倍率(倍率は国税局長が決める)
(ⅱ)中間農地:固定資産税評価額×倍率(倍率は国税局長が決める)
(ⅲ)市街地周辺農地:市街地農地とした場合の80%で評価する。
(ⅳ)市街地農地:宅地比準方式または倍率方式で評価します。
*宅地比準方式:その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価格からその農地を宅地に造成するために通常かかる造成費を控除した価格に地積を乗じた価格で評価します。

☆雑種地の評価:雑種地の価格は、その雑種地と状況が類似する付近の土地について評価した1㎡当たりの価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価します。(下記◆Ⅲ参照)
◆Ⅰ「倍率方式による土地の評価」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4606.htm
◆Ⅱ「農地の評価」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4623.htm
◆Ⅲ「市街化調整区域内の雑種地の評価」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4628.htm
◆Ⅳ「評価倍率表(一般の土地等用)の説明」:(国税庁ホームページより)
https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_rtof.htm

【法改正等】「相続税の更正、決定等の期間制限の特則の創設」について

《概略》相続税を更正請求できる期間は申告期限から5年になります。
 相続人の一部が更正の請求期限前6ヶ月以内に更正の請求をした場合に、更正の請求に係る更正又はこの更正に伴って行われることとなる加算税の賦課決定は、この更正の請求があった日から6ヶ月を経過する日まで、とすることができます(通法70③)
 ただ、更正の請求を提出した以外の共同相続人は連動していませんので、原則どおりに5年経過のところで更正の期限は切れていました。

《改正内容》一部の共同相続人が請求期限前6ヶ月以内に更正等の請求を行った場合に、請求に係る更正に伴いその請求をした者以外の共同相続人等に係る相続税の課税価格又は相続税額に異動を生ずるとき更正等の請求日より6ヶ月まで期限が延長できるようになりました。(相続税法第36条)

《留意点》更正等の期限前6ヶ月以内に申請することが必要です。
また、相続税の徴収を目的とする国の権利は、これらの更正決定等又は提出があった日から5年間行使しないことにより、時効により消滅することとされました。(相法36による読替後の通法72)

納税額の修正は個人単位で行い、修正により他の納税者の納税額も変わってきます。これまでは、5年の期限が過ぎてしまうと更正の請求権は消滅していましたが、今回の改正により更正の期限日から6ヶ月経過まで、更正の請求が出来る、とされました。
◆「相続税法の改正 四 相続税についての更正、決定等の期間制限の特則の創設」P450:(財務省ホームページより)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/explanation/PDF/p0442-0452.pdf

【問ク (a)に入る語句は】2018年4月1日以降から法人税の青色欠損金等の繰越控除ができる期間は(a)年です。
(答え:確定拠出年金の老齢給付を60歳から受取るために必要となる通算加入者等期間と同じです。)

問50 ④ A 非上場株式についての納税猶予及び免除(法人版事業承継税制)には、「一般措置」と「特例措置」があります。「特例措置」の大きな特徴の一つに、「特例承継計画の提出」(令和8年3月31日まで)があります。計画書は都道府県知事に提出をして確認を受けます。

肢1、× 相続時で求められる要件は、所有株式、役員要件、先代経営者要件などです。相続時に要件が求められていない条件のうち、代表者就任は相続時の翌日から「5ヶ月以内」になります。(下記◆Ⅱ P6 2-(1))
そして、「特例承継計画の承認」は相続開始の翌日から8ヶ月以内です。(下記◆Ⅱ P6 欄外※印)テキスト:(b)P497(c)P144(d)P176

肢2、× 保有株式の条件は、相続開始時に後継者のグループで50%以上とされています。
 あわせて、グループ内で後継者の保有株式数が最も多いこととなっています。
 特例措置では、すでに3分の2以上を保有していたとしても特例は受けられます。テキスト:(b)P497(c)P144(d)P176

肢3、× 特例経営承継期間とは、相続の承継が始まった日から5年間(期間中に後継者が死亡した場合はそのときまで)です。(下記◆Ⅱ P8欄外)
特例経営承継期間の経過後は、保有株式数を持ち続けることが要件となり、代表権の有無は求められていません。(下記◆Ⅱ P8)テキスト:(b)△P496(c)P144(d)△P177
 設問にある「代表権を有しなかったときから納税が猶予された相続税額のうち一定の金額を納付しなければならない」は誤りです。

肢4、〇 「継続届出書」は、特例経営承継期間は毎年、経過後は3年に1度、所轄税務署に提出します。特例経営承継期間中は、他に都道府県知事に提出する「年次報告書」の添付も必要になります。
 「年次報告書」は、都道府県知事に提出をして確認を受ける書類になり、基準日から3ヶ月以内に提出をして都道府県知事に確認をもらいます。
「継続届出書」は前記の書類等を添付して、基準日の5ヶ月以内に提出することになります。
 なお、特例経営承継期間経過後は、「年次報告書の添付はなくなりますので、基準日以後3ヶ月以内に「継続届出書」を提出します。テキスト:(b)P496(c)P154(d)×P175
◆Ⅰ「法人版事業承継税制を受けられている方に(継続届出書の提出について)」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0024006-044_03.pdf
◆Ⅱ「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除のあらまし」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0024006-044_01.pdf

【周辺情報等】貸付事業用宅地について。テキスト:(b)P478(c)P105(d)P

 相続時に土地を評価する際に、評価額を一定割合減額できる「小規模宅地等の特例」があります。
 居住用住宅の宅地となる「特定居住用宅地」、被保険者が事業を行っている宅地「特定事業用宅地」、一定の関係性のもと、法人へ貸し付けている宅地「特定同族会社事業用宅地等」、貸付事業の「貸付事業用宅地」の4種類です。
 それぞれ、適用するためには一定の要件がありますが、その中で「貸付事業用宅地」についての概略は以下の通りです。

《貸付事業用宅地》
*用地要件:貸付事業とは「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」および事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます
*所有要件:相続開始の直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および準事業※に限ります。以下「貸付事業」といいます。)の用に供されていた宅地等が対象になります。
※準事業:事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うものをいいます。
*相続開始時3年以内に新たに開始した貸付事業は、この特例から除かれます。ただし、3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っていた場合は、3年以内に開始した貸付事業もこの特例の対象になります。

《減額》200㎡まで50%減額です。

《他の小規模宅地との併用》特定事業宅地面積×200/400+特定居住用宅地×200/330+貸付事業用宅地≧200㎡
◆「小規模宅地の特例」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

【法改正等】解散した法人の担保権(先取り特権等)について清算人の所在が判明しないため抹消申請が出来ない状態のときに、一定の要件を満たすことにより単独で登記の抹消が申請できるようになりました。(登記法70条の2)こちらの改正は、令和5年4月1日より施行されています。

*法人の清算人を探しても所在が判明出来なかった。(現地調査までは不要)
*弁済されている。
*被担保債権の弁済期より30年が経過した、かつ、法人の解散より30年が経過している。
⇒供託等をしなくとも、土地所有者が単独での抹消申請可、となります。
◆「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」P19:(法務省ホームページより)
https://www.moj.go.jp/content/001401146.pdf

【問ケ (a)に入る語句は】高収益部門を別会社として設立し、所有する土地の建物を貸すことによりその土地は相続税の課税価格の計算上(a)と評価されます。
(答え;青空駐車場として使用していた土地に賃貸物件を建築し貸し付けを始めた土地の相続税の課税価格の計算上の評価と同じです)

文中にある問題の答えです。こちらは、過去に出題された応用問題の穴埋めを絡めています。

問ア 2,000(万円)(2021年9月 問61)
問イ 5(年)(2023年1月 問58)
問ウ 1(億円)(2023年5月 問59)
問エ 市街化調整区域(2015年10月 問60)
問オ 15(%)(2020年1月 問51)
※2025年4月1日より高年齢雇用継続給付金の改正があり、15%は10%に引き下げられます。
◆「高年齢雇用継続給付の見直し」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000744250.pdf
問カ 80(%)(2022年5月 問53)
問キ 4分の3(2022年1月 問53)
問ク 10(年)(2018年9月 問52)
問ケ 貸家建付地(2019年9月 問63)

以上となります。

2024年5月分はこれで終了となります。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。