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FP1級基礎2024年9月+α 6/6様(訂正)

FP1級学科試験 2024年9月 基礎編(相続分野)

この度はお立ち寄りいただきありがとうございます。

(訂正)
前回公開分で一部訂正させてください。
問47 改正等で合計所得金額について触れましたが、読み替えをひとつみつけました。
租税特別措置法第37条の10第6項1号と11第6項です。
大変失礼しました。

今回は、2024年9月に実施されました学科試験の基礎編(相続分野)の私見を書かせていただきました。

設問は相続分野の問42~問50までになります。

[Ⅰ]テキスト直撃率

書籍(A) 「’24~’25版 FP1級技能士学科合格テキスト」→37/50 74(%)書籍(B) 「’23~’24版 みんなが欲しかった!FPの教科書」→32/50 64(%) 
(書籍名の使用は出版社より了解をいただいています。ご対応いただきましたご担当者様には改めてお礼を申し上げます)

なお、手持ちのお金が不足してきため今回より上記の2冊にさせていただこうと考えましたが、(B)をまだ仕入れていません。そのため、ヒット率だけ‘23~’24のテキストを使ってみました。

[Ⅱ]テキストや過去問などで正解が導き出せそうな問題について

●正解を取れそう。

A:テキストにあるし見慣れたところ:下記以外33問  
B:正解以外テキストに回答有り(消去法可):問2、問9、問28、問32、問46、問48、合計7問
C:過去に出題されている:問49 合計1問
D:感覚で回答できる:問31、問40 合計2問

●難問になりそう。
E:テキストにあるけれど文面をなぞって終わる可能性がある:問26 合計1問
F:改正等(直近):問29 合計1問
G:見覚えないorあやふや:問18、問23、問30、問33、問38、 合計5問(問30資本的支出は過去に見かけた気がするのですが見つけられませんでしたのでGにしました)

正解が可能と思えるのは、A~Dの問のようでした。43/50 86%
計算問題を4問しくじったとして、39/50 78%でした。

題名にあります+αは以下の通りになります。
【周辺情報等】テキストではみかけるのに又は見かけないけれど、のところの情報。

【法改正等】ここ数年の間に法律が出来たり変わったりまた何か動きがあって、探し当てられた情報。

【問ア、問イ…】応用問題の穴埋めで過去に出題されているところを絡めた一問一答。

なお、こちらに関することは私見の域をでていませんので、気になるところがありましたらお調べ直していただきますようお願いいたします。

問題分は、お手数ですがお手元にご用意いただきますと大変助かります。

どうぞよろしくお願いいたします。

問42 ② A 贈与は、贈与者の意思伝達と受贈者の受託が必要です。文書をかわさず口約束でも契約は成立します。

肢1、× 定期贈与は、贈与者、受贈者双方が生存中であることが要件の一つになります。設問にあるように「受贈者が死亡した場合」は贈与契約は失効となります。(民法552条)テキスト:(A)P456(B)P

肢2、〇 設問のとおりになります。負担付贈与は、贈与者の配偶者の介護等を行うことを条件として介護を行う子供に財産を譲る、など利益を受けるものを贈与者以外の第三者とすることも出来ます。

なお、負担付贈与の課税関係は、利益を受けたとみなされた場合に課税される可能性があります。

「この場合の課税価格は、贈与された財産が土地や借地権などである場合および家屋や構築物などである場合には、その贈与の時における通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した価額によることになっています。

また、贈与された財産が上記の財産以外のものである場合は、その財産の相続税評価額から負担額を控除した価額となります。

なお、負担付贈与があった場合においてその負担額が第三者の利益に帰すときは、その第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになります。

贈与者は、負担額でその贈与財産を譲渡したことになりますので、譲渡益が生じる場合には、所得税の対象となります」(下記◆Ⅱ参照)テキスト:(A)P457(B)P

肢3、× 死因贈与とは、「贈与者が死亡したら贈与者の資産を贈与すると生前に受贈者と取り決めをしている制度になります。」

死亡により効力が発生しますので、その扱いは遺贈と同様な流れになりますが、遺贈はあげる側の一方的な意思表示であり、死因贈与は、あげる側ともらう側の同意による契約です。どちらも相続税の対象になります。
ただ、死因贈与は、贈与者の一方的な判断で解除することも原則としてできます。テキスト:(A)P457(B)P

肢4、× 書面によらない贈与は、履行の有無が解除の可否について判断材料になりますので、受贈者か贈与者かどうかの違いで解除について異なることはありません。履行がされる前ならどちらからでも解除が出来ます。

設問の「受贈者が解除をすることはできるが、贈与者が解除することはできない」の部分が誤りです。(民法第550条)テキスト:(A)P456(B)P

◆Ⅰ「No.4402 贈与税がかかる場合」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402_qa.htm

◆Ⅱ「No.4426 負担付贈与に対する課税」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4426.htm

◆Ⅲ「No.4105 相続税がかかる財産」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4105.htm

【周辺情報】任意後見人制度について。(下記◆Ⅰ参照)テキスト:(A)P491(B)P

任意後見制度とは、『ご本人に十分な判断能力があるうちに、判断能力が低下した場合には、あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。』(下記◆Ⅱより一部抜粋)

(後見制度の種類)

*成年後見制度の枠組みは、「法定後見制度(後見、保佐、補助)」と「任意後見制度」です。

法定後見制度は、本人の判断能力が不充分になってきたときに生活を支援するための制度で、任意後見制度は、本人がまだ元気なときにそのときに備えるための制度です。

(用語)

*任意後見監督人:家庭裁判所が選任をして、任意後見人が契約どおり適正に仕事をしているかを監督します。

*任意後見受任者:本人と後見契約をし、任意後見監督人が選任される前の状態です。なお、任意後見契約は公正証書で行います。契約の内容は、法律に反しない限り自由に決めることが出来ます。

*任意後見人:任意後見監督人が選任されることにより任意後見受任者から任意後見人になります。

(任意後見人開始事由)

*任意後見監督人が家庭裁判所から選任されたときより。

(登記)

*任意後見契約が締結されますと、公証人の嘱託により、契約内容が指定法務局(東京法務局)で登記されます。
任意後見人は、「後見登記事項証明書」の発行を受けて、その書類により身分の証明を行います。

(申立人)
*本人、配偶者、4親等内の親族、任意後見受任者。

本人以外の方より申立てを行う場合は、本人の同意が必要です。ただ、本人が意思表示できないときは本人の同意は不要です。

(書類)
*本人:印鑑証明書(マイナンバーカード・免許証等)や戸籍謄本等、住民票が必要です。

*任意後見人:印鑑証明書(マイナンバーカード・免許証)、住民票です。

なお、印鑑証明書等は発行後3ヶ月以内になります。

(任意後見制度終了要件)
*本人が死亡したとき。

*任意後見監督人が選任された後に後見開始等の審判がされた場合。一方、任意後見監督人が選任される前に後見開始等の審判がされた場合、任意後見制度は継続します。(下記◆Ⅱ参照)

(任意後見制度の中途終了)(下記◆Ⅰ Q20参照)
*任意後見監督人が選任される前は、ケースにより手続きの違いは出てきますが、どちらからでも契約をやめることが可能です。

*任意後見監督人が選任された後は、正当な理由があるときに限り、かつ、家庭裁判所の許可を受けて、解除することができます。

◆Ⅰ「任意後見契約」:(日本公証人連合会ホームページより)https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow04

◆Ⅱ「制度の概要・手続きの流れ(任意後見)」:(裁判所ホームページより)https://www.courts.go.jp/chiba/saiban/tetuzuki/l4/Vcms4_00000452.html

【改正等】成年後見制度の見直しが検討されています。(下記◆Ⅰ参照)

☆令和4年に第二期成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定され令和8年まで成年後見制度の見直しの検討がされています。(下記◆Ⅱ参照)

令和6年2月に「法制審議会民法(成年後見等)部会が設置」され4月から調査審議が行われています。

それにより成年後見制度において、何点か課題として指摘されて、その部分について検討の方向性が示されています。

《課題》
(イ)利用動機の課題が解決してもやめることが出来ない。

(ロ)成年後見制度にある取消権や代理権が必要以上に本人の自己決定権を制限するケースがある。

(ハ)成年後見人の交代ができない。

(ニ)任意後見監督人の選任が適切な時期にできない。

《検討》
(イ)一定の期間制や必要性がなくなれば終了する仕組みを検討。

(ロ)本人の同意を要件とする仕組みや範囲限定付与ができる仕組みの検討

(ハ)本人の状況により後見人を交代できる仕組みを検討。

(ニ)任意後見受任者に任意後見監督者の選任申請を義務付ける仕組みなどを検討。

他にも、*法定後見制度の類型の見直し、*成年後見人の報酬のあり方、などが検討課題として出されているようです。

◆Ⅰ「成年後見制度の見直しについて」:(法務省ホームページより)https://www.moj.go.jp/content/001413272.pdf

◆Ⅱ「成年後見制度の見直しに向けた検討」:(法務省ホームページより)https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_01common/241120/common02_document02.pdf

【問ア (a)に入る数値は】贈与税は原則として申告期限までに金銭での一括支払が必要ですが、納税額が(a)万円を超える場合で一定の要件を満たせば延納が認められます。

◆参考「相続税・贈与税延納の手引き」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/pdf/2101tebiki01.pdf

(答え:法人税の中間申告で仮決算により申告できない要件の一つに予定申告税額が一定の金額以下となったときがあります。その予定申告税額と同じです。)

問43 ④ A 相続時精算課税について

肢1、× 110万円の控除は、受贈者一人につきの金額です。110万円を贈与した金額で按分します。
設問の「基礎控除としてそれぞれ110万円が控除される」の部分が誤りです。(下記◆Ⅰ参照)テキスト:(A)P467(B)P

肢2、× 相続時精算課税と暦年課税がそれぞれ行われた場合、それぞれに認められている110万円の控除は、個々で110万円の控除が可能になります。したがって、年間最大220万円の控除が可能です。

設問の「特定贈与者(相続時精算課税の選択に係る贈与者です)以外の者から受けた贈与財産に係る贈与税の課税価格から暦年課税に係る基礎控除額は控除されない」の部分が誤りになります。テキスト:(A)×P466(B)P

肢3、× 相続時精算課税の贈与額が110万円以下であった場合は、贈与税の申告は不要です。(下記◆ⅡQ4参照)テキスト:(A)P467(B)P

肢4、〇 養親から相続時精算課税を適用して贈与を受け、その後に養子縁組解消されたとしても相続時精算課税は継続できます。(下記◆ⅡQ2参照)テキスト:(A)P466(B)P

◆Ⅰ「No.4410 複数の人から贈与を受けたとき」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4410.htm

◆Ⅱ「相続時精算課税の選択」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm

◆参考「相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

【周辺情報】同時死亡、代襲相続、再転相続、数次相続(ここまでは民法上の取決め)、相次相続(税法上の取決め)について。テキスト:(A)相次相続:P502(B)P

(同時死亡)民法32条の2「数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する」

事故や災害などで親族等が亡くなったときに、死亡時刻が確定できないなどの理由では、同時死亡の推定がされます。

なお、確たる反証があれば「同時死亡の推定」を覆すことは可能です。

また、同時死亡の推定から異なる判断がなされ、新たに相続人となったものは「相続回復請求権」(民法884条)を有します。

こちらの権利は、5年以内に行使しないと消滅します。相続のあったことを知らない場合は、相続の開始から20年で消滅します。

同時死亡の推定なのか異時死亡なのかにより、法定相続人や基礎控除人数に影響を及ぼすことになります。

(代襲相続)民法887条第2項
相続人が被相続人より先に死亡(欠格、廃除も該当します)している場合に、その相続分が次の世代に移る制度です。

直系卑属の場合は、何世代も代襲相続が行われますが、被相続人の兄弟姉妹は、姪甥への一世代のみです。

(再転相続)民法916条
第1相続人が、相続が開始したことを知ってからの3ヶ月以内となる「熟慮期間中」にどうするかを決めずに死亡して次の相続人が相続すること。

再転相続の相続人が相続や放棄を選ぶことが出来ます。

ただ、直近の被相続人からの相続を放棄して第1被相続人の相続を受取ることは出来ません。
下記の数次相続でもその決まりは同じです。

(数次相続)民法896条または民法900条が根拠らしいです。
第1相続人が、相続を決めて遺産分割するまえに死亡してしまうことにより発生する相続のことです。

相続の手続きは、被相続人ごとに相続人全員が参加して遺産分割を行う必要があります。

1回目の相続の長男が2回目の被相続人となった場合に、どちらの遺産分割協議にも長男の配偶者や子など2次被相続人である長男の法定相続人が参加することになります。

相続放棄も可能ですが、2回目の相続を放棄して1回目の相続を受けることはできません。

(相次相続)相続税法第20条
一世代前の相続人が相続後10年以内に死亡してその一世代前の相続人の相続が発生すること。

相次相続は、前記の各相続とは異なり相続の交通整理はすでに済んでいますので、税法上の控除について取り決めがされています。

要件の柱は、一世代前の相続人が相続を受けて、相続税を納税していることです。相続放棄をしたものが遺贈された場合等は対象になりません。(下記◆Ⅱ Q2参照)

一次相続により納税した税金の一部を考慮して相続税を計算することができます。(下記◆Ⅰ参照)

相次相続控除は、課税された相続税が1年に10%逓減した後の金額が控除されます。

◆Ⅰ「No.4168 相次相続控除」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4168.htm

◆Ⅱ「No.4158 相次相続控除」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4168_qa.htm#q2

【改正等】相続に係る登録免許税の免税措置が2年間延長され、令和7年3月31日期限のところ令和9年3月31日までとなりました。(下記◆Ⅱ P21(11)参照)

《対象となる登録免許税》(下記◆Ⅰ参照)
(1)相続により土地を取得した個人が登記を受ける前に死亡した場合の登録免許税の免税措置。

相続人(個人)が土地の所有権の移転登記をおこなう前に死亡し、第2次相続(個人)を受けたものが第一次相続分の移転登記を行う場合に、所有権移転登記の登録免許税が免税となります。

(2)少額の土地を相続により取得した場合の登録免許税の免税措置。

個人が相続により土地の所有権の保存登記または不動産の所有権の移転登記を受ける場合に、課税標準となる不動産の価額が100万円以下のときは登録免許税が免税となる措置です。

不動産の価額は、固定資産税課税台帳に価額がある場合はその価額です。記載されていない場合は、登記官が認定した価額になります。

◆Ⅰ「相続の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について」令和4年:(税務署ホームページより)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018003-081-01.pdf

◆Ⅱ「令和7年度税制改正の大綱P21」:(財務省ホームページより)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/20241227taikou.pdf

【問イ (a)に入る用語は】遺産分割前の払い戻し制度は、同一の金融機関からできる払い戻し可能な金額を定めています。

その計算式は、払い戻し可能額=相続開始時の預貯金額×(a)×払い戻しを求める共同相続人の法定相続分です。

(答え:再就職手当ての支給要件の一つである基本手当の支給残日数は所定給付日数に対して一定割合以上である必要があります。その割合と同じです。)

問44 ② A 特別受益とは。

肢1、× 相続人以外のものが受取った贈与は特別受益には当たりません。設問で「相続人ではない被相続人の孫」となっていますので、「特別受益に該当する」の部分が誤りです。テキスト:(A)P477(B)P

肢2、〇 婚姻期間が20年以上の夫婦において居住用財産とその敷地を遺贈した場合、持ち戻しの免除を意思表示したものとされます。(民法第903条第4項)テキスト:(A)P477(B)P

肢3、× 遺留分侵害により持ち戻しが行われる場合は、持ち戻しとされる資産は、相続人は10年以内の特別受益で相続人以外は1年以内の生前贈与が対象になります。(民法第1044条)テキスト:(A)P457(B)P

肢4、× 特別受益は共同相続人が被相続人から遺贈又は「生計の資本となる贈与」「婚姻もしくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けたもの」(民法第903条第1項)と決められています。生命保険金は保険金受取人の固有の資産とされますので、原則として特別受益とはされません。テキスト:(A)×P477(B)P

【周辺情報】特別受益、受益の持ち戻し不要、遺留分について。テキスト:(A)P477(B)P

*特別受益(民法903条):贈与された特別受益とされる資産は相続資産に原則として加算されます。加算される特別受益に期限はありませんので、無限に遡ります。

*持ち戻し:特別受益ではと申告されることにより加算されることになります。

持ち戻しの免除(民法903条第3項):被相続人が遺言等で持ち戻しの免除を記すことにより相続財産への加算を免れます。

*持ち戻し免除と推定される:婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が、配偶者に居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与したときは、持ち戻しが免除されたと推定されます。(民法第903条第4項)

遺留分侵害額請求権:遺留分を割り込んだ状況となったときに、遺留分侵害額請求権を申し出ることが出来ます。その場合に相続財産に加算される対象が、相続人は10年以内の特別受益で、相続人以外は1年以内にもらった財産等です。(民法1044条)

持ち戻し、持ち戻しの免除、遺留分侵害のざっくりとした流れです。

①相続が発生した場合に、「相続時の資産+遺贈+死因贈与+過去の特別受益分」で相続価額の算定が行われることになります。(民法903条)

②持ち戻し免除があれば加算分から差し引かれます。(民法903条第3項)

③結果、相続財産が目減りすることになりますので、他の相続人は遺留分が侵害されたのではと異を唱えることができます。

そのときに、相続人は10年以内の特別受益を、相続人以外は1年以内にもらった分を相続財産に加算する、となります。

このときは、税金の計算を行うための価額の算定ですので、特別受益とみなされた贈与は、非課税(居住用不動産を贈与としたときの配偶者控除、住宅資金の一括贈与など)とされる部分や控除分等も含めることになります。

【改正等】令和5年4月1日以降から、「特別受益」「寄与分」について10年の期限が設けられました。

今回の改正により、原則として相続開始(被相続人の死亡)から10年が経過すると法定相続分での遺産分割が行われるようになりました。(民法904条の3)

ただ、以下の要件を満たす場合は、具体的な遺産分割も可能です。

(ⅰ)10年経過前に家庭裁判所に遺産分割請求をした場合。

(ⅱ)10年期間満了前6ヶ月以内に、遺産分割請求をすることが出来ないやむを得ない理由が相続人にあった場合に、当該事由消滅時から6ヶ月経過前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産分割請求をした場合。

10年の区切りが関係してくるのは、「特別受益」「寄与分」になります。

以下の制度は、別の期限が定められています。

「特別寄与分」(民法第1050第1項)は、もともと相続の開始または相続人を知ったときより6ヶ月以内、相続開始時から1年以内の期限があります。(民法第1050条第2項)

また、「遺留分侵害額請求権」は、相続と遺留分侵害を知ってから1年以内、相続開始から10年経過後は消滅します。(民法1048条)

◆Ⅰ「具体的相続分による遺産分割の時的限界」:(法務省ホームページより)https://www.moj.go.jp/content/001372212.pdf

【問ウ (a)に入る数値は】遺言は(a)歳以上の未成年も法定代理人の同意なくすることが出来ます。

(答え:法人税の確定申告書を法定申告期限までに提出せず期限後申告等の決定があった場合に納付額のうち50万円超から300万円の部分に課せられる無申告加算税の税率と同じ数値です。)単位違い

◆「確定申告を忘れたとき」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm

問45 ② A 遺言について。民法第967条

肢1、× 公正証書遺言は、公証役場に遺言書の原本が保管される制度です。設問の「正本」は、原本の写しになります。写しである正本を破棄しても遺言の撤回になりません。(下記◆Ⅰ参照)テキスト:(A)P486(B)P

肢2、〇 設問の通りです。遺言執行者は、遺言により設問の通り指定することが出来ます。ただ、未成年者および破産者は遺言執行者になることは出来ません。(民法第1006条、第1009条)テキスト:(A)P487(B)P

肢3、× 遺言の指定は承継しませんので、受遺者が死亡しても受遺者の子供に引継ぎされません。受遺者の子供に受遺者と同様な内容で承継をするためには、その旨を遺言に書き足すことになります。(予備的な遺言)(下記◆Ⅱ参照)テキスト:(A)P486(B)P

肢4、× 遺贈義務者(遺贈の履行義務を負うもの)が、受遺者に対して相当の期間を定めて承認または放棄の催促をしてもその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したとみなされます。(民法第987条)テキスト:(A)×P486(B)P

◆Ⅰ「撤回遺言公正証書」:(春日部公証役場ホームページより)https://kasukabe-notary.jp/plan-for-the-end-of-life/recommendation-of-will/revocation-will/

◆Ⅱ「予備的な遺言」:(日本公証人連合会ホームページより)https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow02/2-q16

【周辺情報】限定承認について。(民法922条)テキスト:(A)P479(B)P

相続人は相続が発生した場合に、被相続人の財産について受取るかどうかの判断をすることになります。その方法は、以下の3通りです。

(単純承認:民法920条)被相続人のプラスの財産も負債もすべての財産を引き継ぐ相続方法です。

*何の手続きも行わなければ単純承認となります。

*相続の開始があったことを知ってから何もせずに3ヶ月が経過すると単純承認になります。

*被相続人の財産を処分したと判断されると、単純承認したとみなされます。その場合は、下記の二つの手法は使えなくなります。

いわゆる資産の隠蔽やちょろまかし以外でも、被相続人のお金から被相続人が処理していなかったなんらかの未収代金を支払ったりしたなどでも財産の処分とみなされる可能性があります。

以下の2つの方法は、相続の開始があったことを知ってから3ヶ月以内に被相続人の亡くなった最後の住所地の家庭裁判所に申述する必要があります。

(相続放棄:民法938条)被相続人の財産の一切を引き継がないとする方法です。
相続放棄は、始めから相続人ではないことになります。そのため、子供等に代襲相続は発生しません。

*相続の開始があったことを知ってから3ヶ月以内に被相続人の住所地の家庭裁判所に申述をする必要があります。

*相続人個別に判断が可能です。

*相続人が調査してもなお判断する資料が得られないなど時間を要する場合は、家庭裁判所に相続の承認又は放棄の伸長の申立てをして延長も可能です。

(限定承認:民法922条)相続で得たプラスの財産を限度に被相続人の負債分を引き継ぐ相続方法です。相続財産が債務超過になるかどうか不明なとき等に選ばれる方法になります。

プラス分を超えた負債については責任を負う必要はなくなり、プラスが多い部分は相続人に帰属します。

*資産は相続時の時価で評価されます。場合によって、被相続人の所得とみなされ所得税の対象となる可能性もあります。所得とみなされた場合は、被相続人の死亡から4ヶ月以内に準確定申告が必要になります。

*相続放棄をした人以外の相続人全員で申述する必要があります。失格や廃除の代襲者も含まれます。

*申述が受理されたら、期間内(限定承認者の場合は5日以内、相続財産清算人の場合は選任後10日以内)に、限定承認をしたこと及び債権の請求をすべき旨の公告(官報掲載)の手続をします。(下記◆ Q2参照)

*限定承認の可否に時間を要する場合は、家庭裁判所に申請をすることにより申述期間の延長も可能です。

◆Ⅰ「相続の限定承認の申述」:(裁判所ホームページより)https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_14/index.html

【改正等】暦年贈与について。テキスト:(A)P460(B)P

令和6年1月1日より、相続時精算課税と暦年課税の中身が大きく変わりました。そのうち、暦年贈与の変更部分の概略について書き出してみました。

《概略》
(控除額)受贈者一人につき年110万円。

(贈与税)
(ⅰ)特例贈与財産:贈与年の1月1日(※)で18歳以上の者が直系尊属から贈与された財産。

※誕生日が1月1日とは別の概念で、対象となる誕生日は、例えば2025年1月1日時点とした場合は、2024年1月3日~2025年1月2日誕生日のかたになります。

誕生日は、年齢+1日とカウントされ、誕生日の前日の午後12時(その日が終わる瞬間)に年齢は+1となります。初めての誕生日は、1歳+1日目です。

根拠となるのは下記の法律です。

☆年齢計算に関する法律より
①年齢は出生の日より之を起算す
②民法第143条の規定は年齢の計算に之を準用す

☆『民法143条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。

第2項  週、月又は月の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。』

年齢の起算日は出生の日と「年齢計算に関する法律①」で定められ、民法143条により、期間の数え方は、期間を定めたとき期間の起算日の応答する日の前日に満了する、と規定されていますので、年齢は誕生日の前日に終了して、誕生日は、(これまでの年齢+1歳)+1日と数えることになるようです。

住民税の年齢要件で言われている「扶養される人の前年の12月31日の現況によって」と「年齢の基準日1月1日」は同じことです。
どちらも、12月31日の終了間際に年齢は+1になり、1月1日は新年齢+1日となるようです。

(ⅱ)一般贈与財産:特例贈与財産以外の財産。

《申告》贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日まで。
《計算が違っていた場合》*修正:更正の通知が来る前だったら修正ができます。*更正:納税額が過大だった場合に、6年以内は更正の請求が出来ます。

《改正》2024年1月1日以降に受けた贈与から対象です。

(改正前)相続開始年以前3年以内の贈与金額を相続税の課税価格に加算する。

(改正後)相続開始年以前7年以内の贈与金額を相続税の課税価格に加算する。ただし、3年以内以外の贈与金額は、100万円を控除した残額を加算します。

贈与日で加算対象期間に以下の通りのルールが設けられました。

(贈与時期による持ち戻し期間と相続資産への加算金額)
(ⅰ)2024(令和6年)年1月1日~2026(令和8年)年12月31日まで⇒相続開始年以前3年以内の金額を加算します。

(ⅱ)2027(令和9年)年1月1日~2030(令和12年)年12月31日まで⇒相続開始以前3年以内全額と3年以内以外の贈与額から100万円控除した金額を加算します。

(ⅲ)2031(令和13年)年1月1日~⇒相続開始前7年以内の贈与額が対象となり、3年以内の全額と3年以内以外の贈与額から100万円控除した金額を加算します。

なお、年110万円控除分も含めた金額で計算することになります。

また、2027(令和9年)年1月1日贈与分は、3年以内以外の贈与になりません。(下記◆Ⅱ 計算方法・計算式(注)参照)

◆Ⅰ「令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし 令和6年1月1日施行」;(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

◆Ⅱ「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm 

【問エ】任意後見制度で任意後見監督人を選任するところはどこでしょう。

(答え:遺留分放棄を行う場合に遺留分権利者が許可を受ける必要がある機関と同じです。)

問46 ① B 相続税の課税財産

肢1、× 準確定申告により還付を受けた場合は、相続税の対象になります。還付による金額は、生前に発生していた資産とみなされます。(下記◆Ⅰ参照)テキスト:(A)×P330、×P507(B)P

肢2、〇 死亡後に支給期のくる給与は被相続人の相続財産になりますので相続税の対象になります。なお、死亡時までに支給期がきている給与は給与所得の対象になります。(下記◆Ⅱ参照)テキスト:(A)×P495(B)P

肢3、〇 契約が完了していたら所有権移転等が完了していないとしても、実体では被相続人の財産となっていますので、相続財産の対象になります。そのため相続税の課税財産です。テキスト:(A)×P495(B)P

肢4、〇 設問のとおりになります。特別寄与によって受取った金銭は、被相続人からの遺贈とみなされ相続財産となります。また、特別寄与者は、2割加算の対象です。

特別寄与料の請求には期限があり「相続開始および相続人を知った日から6ヶ月または相続開始のときから1年」(民法1050条2項ただし書)です。テキスト:(A)P495(B)P

◆Ⅰ「被相続人の準確定申告に係る還付金等」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/02/01.htm

◆Ⅱ「死亡後に支給期が到来する給与」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hotei/7/05.htm

【周辺情報】法定相続情報証明制度について。テキスト:(A)P477(B)P

相続人が相続関係を一覧にした図(法定相続情報一覧図)と必要書類(被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍等)を登記所に提出し、登記官の認証を受けた法定相続情報一覧図のコピーを受取り、戸籍等の代わりに提出し、手続きが出来る制度です。

この制度により、手続きの窓口に行くのに戸籍等の束を持ち歩く手間がなくなります。

こちらの書類は、不動産の登記以外でも、例えば、被相続人の銀行預金の払い戻しなどにも利用できます。
また、不動産の登記がない相続財産でも利用可能です。

(申出先登記所)
*被相続人の本籍地。
*被相続人最後の住所地。
*申出人の住所地。
*被相続人名義の不動産の住所地。

法定相続情報証明書は、5年間は再交付が可能で、再交付に手数料はかかりません。
ただし、再発行の申請ができるのは当初の申出人です。申出人以外の相続人が再発行をする場合は、申出人の委任が必要です。

(注意)
*被相続人及び相続人が日本国籍を有しないなど、戸除籍謄抄本など添付できない場合は利用できません。

*被相続人死亡後に胎児であったものが生まれたなど、被相続人の死亡時点に遡って相続人の範囲が変わる場合は、申出人は再度申請することが出来ます。

◆Ⅰ「法定相続情報証明制度について」:(法務省ホームページより)https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001394034.pdf

【改正等】令和6年4月1日より、法定相続情報番号制度が始まりました。

法定相続情報番号制度とは、法定情報相続一覧図の右肩部分に記載される番号です。こちらの番号を登記申請書の添付情報欄に記入することにより法定相続情報一覧図の添付を省略できるようになりました。(下記◆Ⅰ参照)

(注意)利用できるのは、不動産登記の申請等手続きのみです。法務局以外で行う申請手続きや法務局の不動産登記以外の手続きは添付が必要です。

◆Ⅰ「法定相続情報番号の提供による相続登記等における法定相続情報一覧図の写しの添付省略について」:(法務局ホームページより)https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_00025.html 

【問オ (a)に入る数値は】被相続人の業務上の死亡により受取った弔慰金は一定の金額まで非課税となります。その範囲は、賞与を除く普通給与の(a)年分です。

(答え:特別養護老人ホームの施設を利用できる要介護被保険者の要介護状態区分は一定以上です。その要介護状態区分の数値と同じです。)単位違い。

問47 ③ A 「相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます」(下記◆Ⅰ参照)

肢1、× 相続を放棄した子供が生命保険金を受取っても一親等の血族に変わりないため2割加算の対象になりません。
ただ、代襲相続である孫が相続放棄をした場合は、2割加算の対象になります。テキスト:(A)×P500(B)P

肢2、× 被相続人の孫が養子となっているケースでは、代襲相続でない限り2割加算の対象です。設問の「その孫は相続税額の2割加算の対象とならない」の部分が誤りです。テキスト:(A)P500(B)P

肢3、〇 設問の通りです。被相続人の兄弟姉妹でも一度きりの代襲相続は認められています。兄弟姉妹が相続をした際にも2割加算の対象になりますので、兄弟姉妹の代襲相続人である甥も2割加算をそのまま引き継ぎます。テキスト:(A)P500(B)P

肢4、× 未成年者控除を受けるものが2割加算の対象者の場合、相続税額に2割を加算した後に、未成年者控除を行います。
設問の「未成年控除額を控除した後の相続税額」が誤りで「未成年控除額を控除する前の相続税額」が正答です。テキスト:(A)×P502(B)P

◆Ⅰ「No.4157 相続税額の2割加算」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm

【周辺情報】寄与分と特別の寄与分について。テキスト:(A)P(B)P

寄与(民法904条の2)
『共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする』

第900条から第902条は、相続の分け方について定めている条文です。第900条は法定相続分、第901条は、代襲相続について、第902条は遺言による相続分です。

寄与分は、被相続人の生前に、無償で事業の手伝いや療養介護等をおこない特別な寄与が認められ、その分多くの財産が受取られる制度です。下記の特別寄与分と明らかに違うのは、相続人というところと、「財産上の給付」も認められるというところです。

特別寄与分(民法1050条):
『相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人に対して療養看護その他の労務の提供を行った場合には,相続人に対して金銭の請求をすることができる』制度です。

前記の寄与分は相続人にのみ認められていた制度のため、被相続人の子供の配偶者など相続人以外の場合は、生前に療養介護に尽くしたとしても、相続財産の分配を受けられるようにアピールする場がありませんでした。

特別の寄与が出来たことにより、相続人ではない親族が相続人に対して金銭の請求が出来るようになりました。

特別の寄与は、被相続人の親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)で相続人でないことが条件です。3親等内の姻族には、ひ孫の配偶者も含まれてきます。
特別寄与分により受取った財産は、相続扱いですので、該当する相続人は2割加算の対象になります。(下記◆参照)

◆「相続に関するルールが大きく変わりますP8」:(法務省ホームページより)
https://www.moj.go.jp/content/001318284.pdf

【改正等】直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税非課税措置(下記◆Ⅱ参照)が2年間延長されました。(下記◆Ⅰ P20参照)

(期間)令和9年3月31日まで

(受贈者)結婚・子育て資金の契約を行う時点で18歳以上50歳未満の方。

(贈与者)受贈者の直系尊属である父母や祖父母。

(非課税金額)1,000万円まで。(結婚に関する場合は300万円まで。(措置法第70条の2の3第12項第2号))

(受贈者所得制限)贈与を受ける前年の合計所得金額が1,000万円以下。

*結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度は、租税特別措置法第70条の2の3で規定されていて、合計所得金額に関しては第1項で「所得税法第2条第1項第30号の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、この限りではない」と定められています。その、所得税法第2条…は以下の通りです。

所得税法第2条第1項第30号イの(2)「第70条(純損失の繰越控除)及び第71条(雑損失の繰越控除)の規定を適用しないで計算した場合における第22条(課税標準)に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額(以下この条において「合計所得金額」という。)」となっています。

下記◆Ⅲでリンクされている「合計所得金額」と微妙に違うような気がします。

(贈与者が死亡)金融機関等の営業所への届出が必要です。
*管理残額を受贈者が相続等により取得したものとみなされます。

(終了)
*受贈者が50歳に達した。
*口座の残高が0になり、かつ口座にかかわる契約の終了の合意があった。
*受贈者が死亡。※贈与税は課税されません。

⇒残額がある場合は、受贈者への贈与とみなされます。(受贈者が死亡以外)また、子以外は2割加算の対象です。

令和5年4月1日以降に取得した管理残額は一般税率が適用されます。

◆Ⅰ「令和7年税制改正の大綱」:(財務省ホームページより)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/20241227taikou.pdf

◆Ⅱ「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201304/pdf/0023004-114.pdf

◆Ⅲ「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4511.htm

【問カ】特別養子縁組ができる特別養子の年齢は原則として(a)歳未満です。

(答え:青色事業専従者控除が適用できるのは適用する年の12月31日時点で一定の年齢以上とされています。その年齢と同じです)

問48 ② B 取引き相場のない株式の評価について。

肢1、〇 設問のとおりになります。70名以上の従業員がいる場合、大会社になります。(下記◆Ⅰ参照)テキスト:(A)P528(B)P

肢2、× 従業員数は直前期末以前1年間においてその期間継続して評価会社に勤務していた従業員の人数になりますが、設問にあるとおり「1週間当たりの労働時間が30時間未満である従業員は反映されません」となります。

ただ、その後があり「直前期末以前1年間において評価会社に勤務していた従業員(継続勤務従業員を除く。)のその1年間における労働時間の合計時間数を従業員1人当たり年間平均労働時間数で除して求めた数を加算した数とする。この場合における従業員1人当たり年間平均労働時間数は、1,800時間とする」となります。この部分が抜けていますので不適切となります。(下記◆Ⅰ参照)テキスト:(A)×P528(B)P

肢3、〇 設問の通りになります。類似業種比準価額の計算式の一部を文章で表現しています。テキスト:(A)P525(B)P

肢4、〇 設問の通りになります。配当還元方式における配当に関するルールです。直前期と直前々期の配当の平均を10%で割り戻した金額に直前期末における1株当たりの資本金等の額の50円に対する倍数を掛けます。

ただ、上記の配当の金額が2円50銭未満のもの及び無配の場合は、2円50銭とします。(財産評価基本通達188-2)(下記◆Ⅱ 188‐2参照)テキスト:(A)P534(B)P

◆Ⅰ「178(取引相場のない株式の評価上の区分)」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/08/02.htm#a-178

◆Ⅱ「同族株主以外の株主等が取得した株式の評価」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/08/04.htm

◆Ⅲ「従業員の範囲」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/06/02.htm

【周辺情報】特定の評価会社とは。テキスト:(A)P528(B)P

取引相場のない株式の評価を行う際に、一定の要件に該当する場合は、「特定の評価会社」として評価方法が定められています。(下記◆Ⅰ参照)

(イ)比準要素数1の会社の株式
比準要素の「配当金額」「利益金額」「純資産価額(簿価)」の直前期末の金額のいずれか2つが0であり、かつ、直前々期末の2つ以上0である場合です。

※比準要素の「配当金額」「利益金額」は直前期末以前3年間の実績を反映して判定します。

(ロ)株式等保有特定会社の株式
課税時期において株式等の価額が各資産を評価した価額の合計の50%以上である評価会社です。

(ハ)土地保有特定会社の株式
課税時期において各資産に占める土地等の価額の割合が以下の通りの場合に純資産額で評価します。

(ⅰ)大会社に区分される会社は70%以上。

(ⅱ)中会社に区分される会社は90%以上。

(ニ)開業後3年未満の会社等の株式、比準要素のすべてが0の会社の株式。開業後3年未満または比準要素のすべてが0である会社の株式は、純資産価額で評価します。

※比準要素の「配当金額」「利益金額」は直前期末以前2年間の実績を反映して判定します。

(ホ)開業前又は休業中の会社の株式

(ヘ)清算中の会社の株式

上記の(イ)から(ホ)までは、純資産価額で評価します。(へ)は清算分配見込額により評価することになっています。

(イ)では、L=0.25として併用方式も選択することができます。

同族株主以外の株主は(イ)から(ニ)までは配当還元方式を選ぶことができます。なお、純資産価額方式と比較して選ぶことも出来ます。

◆Ⅰ「No4538 取引相場のない株式の評価」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4638.htm

◆Ⅱ「特定の評価会社の株式」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/08/05.htm

◆Ⅲ「類似業種比準価額」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/08/03.htm

【改正等】令和5年度の税制改正により暦年課税と相続時精算課税の仕組みが大きく様変わりし、令和6年1月1日より施行されました。(下記◆Ⅰ参照)

その中で、相続時精算課税により土地や建物を受取った場合に、災害に対する特例が定められました。

「相続時精算課税により、土地や建物を贈与され、贈与者が死亡し相続税の申告をするまでの間に、災害によって被害を受けた場合に、相続時における土地または建物の価額は贈与時の価額から被災により受けた損害分を控除した価額にする」ことが出来ます。(下記◆ P3参照)

*手続き:その災害発生日から3年を経過する日までに、必要事項を記載した申請書に「り災証明書」などの一定の書類を添付して贈与税の納税地の所轄税務署長に提出し、承認を受けます。(下記◆Ⅰ P3問1参照)

*相続税または贈与税の災害減免措置と併用は出来ません。(下記◆Ⅱ参照)

◆Ⅰ「令和5年度 贈与税および相続税の税制改正のあらまし」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

◆Ⅱ「相続税または贈与税の災害減免措置について」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/h30/pdf/0018008-097_02.pdf

 【問キ (a)に入る数値は】相続税の税額控除の一つである障害者控除は、満85歳に達する年数に一定の金額を掛けて算出しますが、特別障害者の場合の金額は(a)万円です。

(答え:健康保険の任意継続保険者になるために資格取得の申出をする期限と同じ数値です。)単位違い

問49 ③ C 使用貸借についてです。

肢1、〇 設問の通りとなります。使用貸借の場合、借りるほう(子)の評価は自用地となりますので、評価0です。(下記◆Ⅰ参照)テキスト:(A)P459(B)P

肢2、〇 設問の通りとなります。公租公課に相当する金額以下の授受があっても、使用貸借となります。(下記◆Ⅰ参照)テキスト:(A)P459(B)P

肢3、× 結論は設問にある「子から親」ではなく「親から子へ借地権の贈与があったものとされる」が正答になります。(下記◆Ⅱ参照)テキスト:(A)×P459(B)P

2段鏡餅で考えて見ます。一段目が底地、2段目が借地権、みかんが建物とします。建物は、だいだいでも葉付でもそうでなくても問題なしです。

変化をみるために持ち主で色分けをしてみます。底地は白、借地権(2段目)は赤です。色が変わると変えてもらった側に対価の支払義務が発生します。

子供が一段目を地主から購入しましたので対価を払って白から青に変えます。それに伴い親は無償で土地を借りることになったので、そのままだと使用貸借となり、土地は自用地扱いになります。
自用地となると、借地権は消えますので、2段目は赤から青に変わります。

色が変わると変えてもらった側に対価を支払う義務が発生しますが、子供から親に対価のやり取りがない場合、赤から青に無償で変えたことになり、親から子供に借地権消滅の贈与があったとみなされることになります。

そこで、使用貸借ではなく借地権はそのままですよと伝える書類が「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」です。
この書類を提出して、2段目は赤のままです青にはなっていません、子供は借地権をもらっていません、と伝えることになります。

肢4、〇 設問の通りです。この問題は、借地権の無償でのまた貸しの書類についてです。

借地権は、建物の所有者に対する所有権のため、子供の家を建築すると借地権は子供に移ります。その借地権の異動は、使用貸借で間違いありませんと確認するための書類が「借地権の使用貸借に関する確認書」です。

「借地権の使用貸借に関する確認書」を提出しないと、使用貸借とみなされない場合には、借地権が贈与されたと判断される可能性もあります。そのリスクを回避するための書類です。

そして、借地権について何かをするには、持ち主の許しが必要です。

そのため、「借地権の使用貸借に関する確認書」を提出するにしても、持ち主が知らないとまずいので、持ち主にも話は通っていますよ、とも伝えるため、書類は、「借地権者、子、地主」の連署が必要になります。(下記◆Ⅰ (2)参照)テキスト:(A)×P459(B)P

◆Ⅰ「No.4555 親の借地に子供が家を建てたとき」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4555.htm

◆Ⅱ「No.4560 親が借地している土地の底地部分を子供が買い取ったとき」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4560.htm 

【周辺情報】個人版事業承継税制について。(下記◆Ⅰ参照)テキスト:(A)P544(B)P

個人の事業主が「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出し承認を受けた後継者に事業用資産を譲ることにより、後継者に課税される贈与税や相続税が猶予または免除される制度です。

☆個人版の事業承継税制での各種期限について
幾つかの期限がありますので期限に関するところのみまとめてみました。

(適用期間)2028(令和10年)年12月31日までに贈与・相続されること。(下記◆Ⅰ P1参照)

《提出先が都道府県知事に関わる期限》
(事業計画提出期間)2026年3月31日まで。(下記◆Ⅰ P1参照)

(都道府県知事の認定)贈与・相続後に都道府県知事の認可を受けます。
事前に事業計画の提出が行われていないとしても認可と同時に提出することも可能ですが、その期限は以下の通りになります。
*贈与:贈与年の翌年1月15日まで。
*相続:相続があった日から8ヶ月以内。

《提出先が納税地の所轄税務署長に関わる期限》

(青色申告届)
*贈与:事業を開始した日から2ヶ月以内に所得税の納税地の所管税務署長に提出する。

*相続:相続開始日によって変わります。
(ⅰ)1月1日~8月31日⇒死亡の日から4ヶ月以内。

(ⅱ)9月1日~10月31日⇒12月31日まで。

(ⅲ)11月1日~12月31日⇒翌年2月15日まで。

※但し、後継者が承継する以前から業務を行っている場合は、申告する年の3月15日までに行います。

(廃業・開業届け)
*贈与:事業を廃止した日から1ヶ月以内に前事業主の廃業届けの提出をします。
*贈与・相続:開業の日から1ヶ月以内に後継者の開業届けを提出します。

《概略》
上記の適用期間までに贈与または相続を受けた場合に、要件を満たすことにより一定の資産についての納税が猶予または免除される制度です。

《資産の要件》
(特定事業用資産)税制の対象可能資産です。
(1)土地等:面積400㎡以内

(2)建物等:床面積800㎡以内

(3)(2)以外の減価償却資産:①固定資産税の課税対象となっている。②自動車税・軽自動車税の営業用の標準税率が適用されるもの。③その他一定のもの。

実際に受取った資産について、贈与税の納税猶予を受けて「特例受贈事業用資産」、相続税の納税猶予を受けて「特例事業用資産」、と言います。

対象とされる資産は、前年分の事業所得に係る青色申告書の貸借対照表に計上されていたものです。

《承継される事業の要件》
(イ)資産管理事業に該当しないこと。

①資産保有型事業:有価証券や現金・預金等が特定資産の事業用資産の事業に係る総資産総額の70%以上となる事業です。

②資産運用型事業:特定資産からの運用収益が、特定事業用資産に係る事業の総収入金額の75%以上となる事業です。

(ロ)性風俗慣例特殊営業に該当しないこと。

《先代事業者の要件》
(イ)贈与または相続の年、その年の前年、前々年が正規の簿記の原則に従った青色申告書で提出していること。いわゆる、65万円控除(e-Tax申請がされない場合55万円)がされている事業年のことです。(下記◆Ⅱ P16参照)

(ロ)贈与の場合は、所轄の税務署に「廃業届出書」を提出します。

《後継者の要件》(下記◆Ⅰ P6参照)
(イ)税務署に「開業届出書」ならびに「青色申告承認申請書」を提出します。

(ロ)贈与時18歳以上であること。

(ハ)贈与された日まで3年以上にわたってその事業や同種の事業に従事していること。(下記【改正等】参照)

《その他留意点》(下記◆Ⅰ P3参照)
(イ)贈与者が先代事業者以外の場合

①  先代事業者の贈与又は相続開始の直前において、先代事業者と生計を一にする親族であることです。

②  先代事業者からの贈与又は相続後に特定事業用資産の贈与をしていることです。※
※先代事業者からの贈与又は相続開始の日から1年を経過する日までの贈与に限ります。

(ロ)担保提供
納税が猶予される贈与税額及び利子税の額に見合う担保を税務署に提供する必要があります。

◆Ⅰ「個人の事業用資産の贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版個人承継税制)のあらまし」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0024006-044_04.pdf

 

◆Ⅱ「個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除に関する質疑応答事例について(情報)」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/pdf/0019012-113.pdf 

【改正等】令和7年税制改正要望(下記◆Ⅰ P12参照)

個人版事業承継税制の受贈者は、贈与時以前3年以上の事業勤務が要件の一つでしたが、今回の改正で贈与時直前に事業に従事すること、に緩和された要望が出されています。(下記◆Ⅰ P12 左下※印参照)

個人事業承継計画は、贈与後でも円滑化法の認定申請時までに提出することが可能です。

また、法人版事業承継税制でも、役員になって3年を経過することの要件が贈与直前に役員であること、と緩和された要望が出されています。

なお、相続の場合は、
《個人版》(下記◆Ⅱ P6参照)
*相続の直前に特定事業用資産に係る事業に従事していること。ただし、被相続人が60歳未満の場合は除きます。

《法人版》(下記◆Ⅲ P6参照)
*相続開始の直前に役員であること。被相続人が70歳未満で死亡した場合、及び後継者が都道府県知事の承認を受けた特例承継計画に記載されている者である場合を除きます。

*相続開始翌日から5ヶ月経過までに会社の代表権を有すること。

◆Ⅰ「法人版・個人版事業承継税制における役員就任要件等の見直し」:(経済産業省ホームページより)https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2025/pdf/03.pdf

◆Ⅱ「個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0024006-044_04.pdf

◆Ⅲ「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0024006-044_01.pdf

【問ク (a)に入る数値は】物納手続きにおいて一定の書類を税務署長に提出しなくてはいけないが、提出が出来ない場合に延長が可能です。延長の期間は1回につき(a)ヶ月を限度として、最長で1年になります。

(答え:法人が設立年度から青色申告を申請する場合は、設立第1期の事業年度終了の日の前日か設立の日以後一定の期間の前日のどちらか早い日までに「青色申告の承認申請書」を提出します。その一定の期間と同じです)

問50 ② A 「遺留分に関する民法の特例」について

肢1、× 中小企業が特例を利用するためには、「3年以上継続して事業を行っている非上場会社」である必要があります。
設問の「5年以上継続して」の部分が誤りです。また、前半部分の「資本金の額または常時使用する従業員の数について業種に応じた基準を満たす」はその通りになります。(下記◆Ⅱ参照)

なお、この法律の中小企業者となる一定の基準は、この法律の第2条に定められています。第2条は第5項までありますが、第4項までは「中小企業基本法第2条第1項各号」と同じで、円滑化法では一つ追加されているようです。テキスト:(A)P488(B)P

肢2、〇 設問の通りです。推定相続人全員(遺留分を有するもの)による特例の合意した日から1ヶ月以内に経済産業大臣の確認が必要になり、それから1ヶ月以内に家庭裁判所(現経営者の住所地)の許可を受けることになります。テキスト:(A)P488(B)P

肢3、× 「付随合意」とされています。追加合意は除外合意または固定合意に付随して設定できる合意になり、非上場株式以外の資産(事業用資産や現金など)を遺留分より除外することが出来ます。付随合意にかかわる資産に制限はありません。(法第5条)
設問の「特例中小会社の事業に係る不動産および減価償却資産に限られる」の部分が違っています。(下記◆ⅢP13参照)

また、個人事業主も同じように事業用資産以外の資産を除外することも可能です。(法第5条)

そして、当該法律では、事業後継者や各相続人間の衡平をはかるとして、推定相続人に対しても旧経営者および旧個人事業主から贈与された資産について遺留分算定の資産に含めない取り決めが出来ると定めています。(法第6条)テキスト:(A)P489(B)P

肢4、× 固定合意をする遺留分を算定するための財産の価額の算出は、固定合意時点において知見を持った有識者等(弁護士、公認会計士、税理士等)が算出します。設問にある「贈与時点における相続税評価額」の部分が誤りにです。(法第4条第1項2号)テキスト:(A)P489(B)P

※法:「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」

◆Ⅰ「事業承継と民法<遺留分>」:(中小企業庁ホームページより)https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu/minpou_pamphlet.pdf

◆Ⅱ「中小企業・小規模企業者の定義」:(中小企業庁ホームページより)https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

◆Ⅲ「中小企業経営承継円滑化法 申請マニュアル」:(中小企業庁ホームページより)https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu/minpou_manual.pdf

 

【周辺情報】貸家建付借地権について。テキスト:(A)P(B)P

土地の評価には、貸家建付地、貸宅地、借地権、貸家建付借地権、転貸借地権、転借権、貸家建付転借権などがあります。

自用地と貸家建付地、貸宅地以外は自用地から貸宅地(オーナー持分)分を差し引いたところの評価です。

《貸家建付借地権》
*借地権者が借りている土地に建物を建てて第三者に賃貸した場合の評価方法です。

*評価方法:自用地×借地権割合×(1-借家権割合×借家割合)
土地の持ち主から借りている側目線の権利です。前半が借主としての権利で()内が建物の貸主としての権利の評価です。

*貸家(借地権者の建物)の借主:自用地価額×借地権割合×借家権割合×借家割合

《転貸借地権》
*借地権のまた貸しです。

*自用地価額×借地権割合×(1-借地権割合)

《転借権》
*借地権のまた貸しの借主です。

*評価方法:自用地価額×借地権割合×借地権割合

*貸家(借地権のまた貸しの借主の建物)の借主評価:自用地価額×借地権割合×借地権割合×借家割合×賃貸割合

《貸家建付転借権》
*また貸しの借主が家屋を建てて貸し付けます。

*評価方法:自用地価額×借地権割合×借地権割合×(1-借家権割合×賃貸割合)

◆Ⅰ「財産評価」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/06.htm#a-28

◆Ⅱ「No.4614 貸家建付地の評価」:(国税庁ホームページより)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4614.htm

【改正等】確定拠出年金の改正箇所について。(下記◆Ⅰ P14参照)

 分野が異なりますが、令和7年の税制改正大綱で「確定拠出年金」の拠出金額について幾つかの変更が要望されています。
ただ、いつから開始されるのかは分かりかねました。

(イ)企業型確定拠出年金制度において、企業型年金加入者掛金は事業主掛金を超えることが出来ないとする要件が廃止されています。

(ロ)企業型確定拠出年金額の上限額が変更されています。
(ⅰ)確定給付年金に加入していない⇒月額6.2万円(現行5.5万円)
(ⅱ)確定給付年金に加入している⇒月額6.2万円から確定給付企業年金ごとの掛金を控除した額。

(ハ)確定拠出年金に加入できない60歳以上70歳未満のものであっても一定の要件を満たす場合に加入が可能としています。その場合の掛金は、月額6.2万円が上限です。

(ニ)確定拠出年金の掛金限度額が変わります。
(ⅰ)第1号被保険者⇒確定拠出年金掛金上限額が、6.8万円から月額7.5万円に引き上げらています。
(ⅱ)企業年金加入者⇒月額6.2万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額及び企業型確定拠出年金の掛金額を控除した額(現行:月額2.0万円)。
(ⅲ)企業年金に未加入の者(第一号被保険者及び第三号被保険者を除く。)月額6.2万円(現行:月額2.3万円)。

(ホ)国民年金基金の掛金上限が、6.8万円から月額7.5万円に引き上げられています。

等です。

税制上の変更はないとのことです。

☆まとめて見ますと。(下記◆Ⅱ参照)

(第1号被保険者)月額75,000円(年額:900,000円)←現行:月額68,000円

(第3号被保険者)変更なし←現行:月額23,000円(年額:276,000円)

(第2号被保険者)
*企業年金未加入者:月額62,000円(年額:744,000円)←現行:月額23,000円

*企業年金加入者:月額62,000円‐確定給付企業年金ごとの掛金相当額及び企業型確定拠出年金の掛金額←現行:55,000円‐企業年金掛金(20,000円が上限)

(参考)令和8年より生命保険料控除の控除額も一部改正されるようです。(下記◆Ⅰ P9参照)

◆Ⅰ「令和7年度税制改正の大綱」:(法務省ホームページより)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/20241227taikou.pdf

◆Ⅱ「令和7年与党税制大綱改正(私的年金関係抜粋」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/001365075.pdf

【問ケ (a)の入る数値は】取引相場のない株式を評価する判定基準は幾つかありますが、判定基準のひとつである直前期以前1年間の取引金額では、小売・サービス業に分類されている会社は、取引金額(a)万円未満で小会社と判定される場合もあります。

(答え:居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例が適用される譲渡金額の上限と同じです。)

文中にある問題の答えです。こちらは、過去に出題された応用問題の穴埋めを絡めています。

問ア 10(万円)(2024年5月 問59)
問イ 3分の1(2020年1月 問51)
問ウ 15(%)(2023年5月 問59)単位違い
問エ 家庭裁判所(2024年5月 問65)
問オ 3(2024年9月 問52)単位違い
問カ 15(歳)(2024年9月 問57)
問キ 20(日)(2022年9月 問53)単位違い
問ク 3(ヶ月)(2020年1月 問57)
問ケ 6,000(万円)(2018年1月 問60)

以上となります。

これで、2024年9月の基礎編は終了となります。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。