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踊るように指揮をする人の話

NHK Eテレで日曜の21時に放送されている番組、
『クラシック音楽館』を観れる時は、
なるべく観るようにしている。
いや、聴いているの方が正しいか。
地上波だが高音質だし、
中心はN響定期公演の模様だが、
時々、
高額のチケットを出さないと観れない、
(聴けない)ような珠玉の演奏会も、
放送される。
そんな時は、
受信料はこの時のために払っていると思えるし、
NHKをぶっ壊すとか言っているヤツの
気が知れない。

この間は、
生前の名指揮者の姿を
8Kハイビジョンで蘇らせる特集をやっていた。
4K放送で今後放送される番組の
言ってみればダイジェスト版なのだが、
興味深かった。

ドイツに残る35mmアナログフィルムを、
NHKが8Kで撮影し直し、
映像と音響でリマスターを加えたモノだ。

放送された指揮者は4人。
ヘルベルト・フォン・カラヤン
レナード・バーンスタイン
カール・ベーム
カルロス・クライバー
いずれも後世に名を残すマエストロ達だ。

その指揮ぶりは、まさに4者4様と言うモノで、
カラヤンはカメラ位置や照明までも自ら演出したと言われる通り、
イケメンで格好いいし、

バーンスタンは演奏をと言うより、
音楽を楽しんでいて、
放送されたのがベートーヴェンの第9だったせいもあるが、
クライマックでは、指揮をせずに、
自らも歌っていたし、

ベームは、ほとんど動いていない(笑)
あれでどうやって演奏家は、
きっかけを得て合わせていたのか、
苦労が忍ばれる。

圧巻はクライバーで、
両腕を指先から全て駆使して、
しかも左右が別の動きをしており、
その姿は指揮と言うより、
踊っているようであった。
そう、その姿はまるで、
オーケストラとダンスをしているのを
観ているようだった。

訊けば、彼は演奏に完璧を求め、
妥協を許さないため、
演奏会の回数が極端に少なかったらしい。
が、映像ではリハーサルの苦労の様子が
微塵も見られない。
ただ、音楽に身を任せ踊っているようにしか
見えないのだ。

指揮者は個性的な人が多いと言われるが、
最近はなぜか、
汗をほとばしらせるる人が多い気がする。
一生懸命さは伝わるが、
清潔感に欠ける、
と言うか、日本の演奏会場は暑いのだろうか。

もしかしたら今後、
良い演奏をライブで聴ける(観られる)機会は、
あまり来ないのかもしれないが、
技術や機材がそれを補って、
補間をしてくれる時代が来るのかもしれない。

そんな可能性を感じさせる放送だった。



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