見出し画像

獨逸の有名楽団の野外フェスでの米国プログラム

実は下書きのまま放置していて、ずいぶんと経ってしまったが、先日NHKでベルリンフィルのヴァルトビューネ・コンサートを観た。
毎年ドイツで6月に行われている野外コンサートなのだが、昨年は中止、今年は人数を制限して、しかも、医療関係者を招いての開催となったらしい。
もともと野外で行われるプログラムなので、結構くだけた雰囲気があり、いつものベルリンフィルの演奏とは違った雰囲気がある。正直、ベルリンフィルは音も演奏内容も硬い印象がある楽団だ(あくまで個人の感想)。
ヴァルトビューネとはドイツ語で「森の劇場」を意味するらしく、鳥のさえずりが聞こえたり、聴いて方も普段着で寝転んでいたりと、ちょっと野外フェスな感じがするので、普段クラッシックを聴かない人にも、入門として良いかもしれない。
初夏のヨーロッパなので、夕方から演奏が始まっても、まだ陽が高い。それが段々と暮れて行き、演奏が終わる頃にはすっかり暗くなっている。そんな自然な時間経過も感じられて楽しい。

2021年の今年は、ウェイン・マーシャルという英国出身の音楽家を指揮者に迎えて、アメリカにちなんだ演奏が行われた。
レナード・バーンスタイン 
ジョン・ウィリアムズ
ジョージ・ガーシュウィン 
などが演奏されたのだが、正直ベルリンフィルがジョン・ウィリアムズの映画音楽を演奏するとは思わなかったので意外な感じだった。(調べたらヴァルトビューネでは過去にも演奏がある)
ウェイン・マーシャルという人はジャズ系のピアノを弾くらしく、指揮者というより演奏家としてピアノの前にいて、時々、オケに向かって合図を出すような指揮をしていた。

私はジョン・ウィリアムズの音楽も、彼自身の指揮も好きなので、彼以外が指揮をした演奏に違和感を覚える方なのだが、今回のプログラムの編曲は楽しかった。
パーカッション奏者のマルティン・グルービンガーとウェイン・マーシャルが中心となってジャズセッションバンドが組まれているいて、それを補佐するようにベルリンフィルが演奏していたからだ。スペシャル・エディションといてジョン・ウィリアムズの数々の映画音楽のメロディが登場して、演奏している方も楽しげだった。
演奏家にもジョン・ウィリアムズのファンは結構いて、普段は人前で演奏できない曲を弾くのは、単純に嬉しいのではないだろうか。

私が一番驚かされたのは、ガーシュウィンの『ラプソディー・イン・ブルー』だった。元々、クラッシックでは有名な曲でありながらも、Jazzの遊び心の要素に溢れた作りになっている。今回はウェイン・マーシャルがピアノでオーケストラと掛け合いをして行くのだが、それがジョン・ウィリアムズの作曲した有名なフレーズ『ダースヴェイダーのマーチ』なのだ。オーケストラがラプソディー・イン・ブルーを奏で、マーシャルがピアノでImperial Themaの変奏を弾く。その結果、ガーシュウィンとJ・ウイリアムズの共演が可能になったわけだ。

この変奏だけででも聴く価値はあった。実際はYouTubeでも聴けるようだが、NHKが放送権を持っているらしく、CDやDVDなどを購入する以外に、公式にはNHKオンデマンドでしか聴くことが出来ない。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(ベルリンフィル)はドイツのオーケストラだが、『Berliner Philharmoniker Digital Concert Hall』という、恐ろしく高音質で高画質な演奏視聴ができるアプリを持っていて、日本語版も充実している。もちろん有料会員制だが、お試しなら3ヶ月は無料で使える。つまりは8Kハイレゾの音質で今回の演奏が楽しめるはずなのだが、日本国内においては契約の都合によりこのプログラムは視聴不可とある。ちょっと残念。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?