投資家必読!在庫影響について分かりやすく説明 石油元売り会社の決算が分かりやすくなる
こんにちは、カメさんです。
石油元売り会社の決算発表のニュースでよく
”在庫評価損失影響により赤字に転落”
などといったワードを耳にすると思いますが、
皆様これがどのように計算されて何を意味しているか、ご存知でしょうか?
きちんと石油元売り会社の実力を見極め、投資判断を間違えることのないように、在庫影響について書いていきたいと思います。
(参考:コスモHDHP)
在庫影響とは?
「在庫影響」とは、原油価格が変動した際、棚卸資産の評価方法によって、決算上の売上原価が影響を受けることで、以下の2つに区分されます。
●総平均法による在庫影響
●簿価切り下げによる在庫影響
総平均法による在庫影響
期初の在庫単価と期中の仕入単価の平均で、売上原価を算出する方法です。市場価格が上昇している局面ですと、期中の上昇した仕入れ単価が期中比安値の期初の在庫単価と平均されるため、売上原価が下がります(コスト減→在庫評価益)。下落局面だと逆になり、売上原価が上がります(コスト増→在庫評価損)。
価格下落時(期首100円/L→期中70円/L)の具体例を以下に示します。
期首在庫 1,000Ⅼ×100円
期中仕入れ 500L×70円
この場合、総平均法で期末在庫の単価(=売上原価)を計算すると、
(1,000L×100円+500L×70円)÷1,500L=90円
となります。
つまり70円で仕入れたものを80円で販売したとしても、会計上は売上原価が90円となるので、10円の赤字となります。
ただこれはあくまで会計上の話で、実際には70円で仕入れたものを80円で販売しているわけなので、キャッシュフローは10円のプラスとなります。
ここは結構重要です。
石油元売り会社は原油価格が暴落したとしても、その代わり安い原油を仕入れ、ガソリンをつくり、マージンを乗っけて販売するので、キャッシュフローはプラスになります。
簿価切り下げによる在庫影響
こっちはいたってシンプルです。棚卸資産の期末時点の時価が簿価を下回っている場合、簿価を時価まで切り下げる必要があり、損失が発生する(コスト増加=在庫評価損)というものです。
先ほどのケースで価格が期末にかけてさらに下がった場合(期首100円/L→期中70円/L→期末50円/L)を考えてみましょう。
期首在庫 1,000Ⅼ×100円
期中仕入れ 500L×70円
販売 1,200L×80円
期末 300L×90円(←総平均法で計算した期末在庫の単価)
つまり期末の棚卸資産の簿価は、
300L×90円=27,000円となります。
しかし、期末に市場価格が50円/Lまで下がっているので、
期末の棚卸資産の時価は
300L×50円=15,000円となり、
差額の12,000円を減損する必要があります。
ただあくまで会計上の処理であり、キャッシュアウトはありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?簡単にまとめると、
在庫影響には総平均法による在庫影響と簿価切り下げによる在庫影響がある
ともに会計上の処理であり、キャッシュフローには関係ない
ということです。
ですので、石油元売り会社の実力をしっかり見極めて投資判断をするには、
在庫影響除きの損益やキャッシュフローを参考にすることをお勧めします!
それでは。