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飛行機に乗るときの話

 新幹線の駅に行くより、空港に行く方が近い。しかも飛行機のほうが安かったりするので、東京に行くにはもっぱら飛行機である。
そんなにもしょっちゅう乗らないが、あの「今から旅立つのだ」という雰囲気も好き。
 ドスンとドアが閉められて、のろのろとバックする。
滑走路までゆっくり進み、いよいよの地点で止まる。
飛行機の真似をするとき、両手を広げるものだ。
しかし「これから飛びますよ」ってときは、飛行機だって両翼を機体にまっすぐにつけ、気を付けをしているはずだ。これから演技をする体操選手と同じである。
エンジンの音が上がる。
「もうなの?・・・まだ?え?もう飛んだ?」と心で叫んでいると、車窓が水平から斜めになる。
やったねー!!
お隣さんに、
「ちゃんと飛びましたねっ!^^」って言いたい気持ちを抑える。
皆、心では同じ事を思っているにちがいないが、そこはポーカーフェイスである。ほかの乗客に合わせて、もちろん私もポーカーフェイスである。
大人なんでね。そこは当たり前で、いちいち浮かれませんって風を装う。

 高所恐怖症で、高いビルからすぐ下を見るのは足がすくむ。
吊り橋も怖い。
観覧車も怖い。
先日、実家で脚立に上って柚子を採った。脚立でさえ怖い。
なのに、飛行機は全然怖くない。

 機内の座席マップは必ず見る。真面目に非常口を確認するのもあるが、これって何人乗りだろう、プレミアムシート(ビジネス)には〇人乗れるのね~とか。世間のセレブ比率を感じたりする。
機内誌も目を通す。必ず見るのは、地図。そう、私は地図好き。
国内も海外も、どこを経由してどこまで行けるのかなど、じっくり見る。
満喫しすぎである。

 以前は窓際が好きだった。でも長距離路線で、トイレなどで座席を立つたびに、手刀を切って恐縮しながら、通路側の人に2回も席を立ってもらわないといけない。
通路側は、席を立ってあげなければならないが、気は楽だ。
しかも通路の広い空間を得られる。
それに気付いてから、一人の時は通路側を取るようにしている。

 母は、私以外の人と飛行機に乗ることもないので、乗るとなったら、私以上に飛行機を満喫する気満々である。
絶対景色を見たいので、窓際。
でも翼の上は絶対ダメなのである。
景色が見えないから?
それもあるのだが、羽は少しでも見たくないらしい。
風の抵抗などの関係で、離陸、着陸時に翼の一部がウィーンウィーンと動く。
それが轟音を立てて、雲の中でバタバタとはためく。
初めてそれを見たとき、
「ちょっとちょっとぉーーあれ大丈夫なのー?ちぎれそうよ」と小騒ぎした。

 それ以来、ちょっとでも翼の見える位置を拒否する。
パーツの一部がちぎれて飛んで行く第一発見者が自分だったら、冷静にCAさんやパイロットに報告できる自信がないらしい。
とにかく妄想がすごい。

次はいつ乗るかな~。









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