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【用語の使い方】「文明史論」について

今日の箴言:「まず疑う、次に探求する、そして発見する」
ヘンリー・バックル(イギリスの歴史家、Henry Thomas Buckle、1821年11月24日 - 1862年5月29日)

文明とはなにか。辞書の定義は、
「文明(ぶんめい、仏: civilisation、ラテン語: civilizatio キーウィーリザティオー)とは、人間が作り出した高度な文化あるいは社会を包括的に指す。」

 教科書であると4大文明として、メソポタミア文明・エジプト文明・インダス文明・黄河文明を指す。その後、考古学の進歩により、各大陸にも様々な高度な文明があることが判明した。まだ分からない文明も多いのである。

メソポタミア文明
シリア文明
エジプト文明
インダス文明 (インド・パキスタン文明)
中央アジア文明
スキタイ文明[14]   
ギリシア文明
ミノス文明
ヘレニズム文明
ローマ文明
ヨーロッパ文明 (西欧文明)
東欧文明(東方正教会文明=ギリシア正教文明)    
イスラム文明
アフリカ文明
中国文明
黄河文明、長江文明、遼河文明
日本文明
中央アメリカ文明
メソアメリカ文明
アンデス文明

サミュエル・ハンチントン『文明の衝突』(集英社、1998年)

 欧州人とっては、やはり「ギリシア文化」を理想化するのだろうか。
「ギリシア人の祭祀は、その美しさ・壮麗さ・多彩さ・組み合わせによって、世界において無比のものであり、世界の精神の最高の所産の一つである。〈祝祭するギリシア人〉とはこの対象に対する主体のことであり、これを構成するものである。」ニーチェ『ギリシア人の祭祀-』

 わたしは、近代日本史研究専攻ゆえ、西洋文化と日本とを比較する、福沢諭吉『文明論之概略』丸山眞男の研究にも影響を受けている。とくに明治史の文明化の歪さに、戦争の悲劇の原因を求めようとしている。夏目漱石の一文が忘れられないのである。

「三四郎は東京のまん中に立って電車と、汽車と、白い着物を着た人と、黒い着物を着た人との活動を見て、こう感じた。けれども学生生活の裏面に横たわる思想界の活動には毫(ゴウ)も気がつかなかった。――明治の思想は西洋の歴史にあらわれた三百年の活動を四十年で繰り返している。」(夏目漱石『三四郎』)

 現在、なにが文明にあたるのだろうか。どのような名称が適当なのか。第二次世界大戦のとき、イギリスの数学者、アラン・チューリングによる発明で大きく貢献した電子計算機がある。ヒトラーが率いるドイツの暗号機「エニグマ」を打破した。
 記憶力や計算力では、もはや人力が敵わないコンピューター。そして、いま生まれつつある「量子コンピューター」。人工知能やシンギュラリティなど話題になっている。また、ロシアやアメリカNASAだけではなく各国や民間企業によって、宇宙開発が進んでいる。
 「宇宙世紀コンピューター文明史」と呼ぼう。
 ただし、コンピューター運用には厖大な電気エネルギーが必要とする。停電したらパソコンは使えなかった。震災で、電化製品は使えない。よりよいバッテリーと半永久エネルギー発生装置を発明する必要がある。0と1の古典コンピューターでは計算が遅い領域ですら、「量子コンピューター」は超スピードで演算できるといわれる。「ある」と「なし」の概念以外に、「あるかどうかわからない」という量子の世界も含まれるから。
 また、太陽風、つまり宇宙線・放射線など、どのように対処するかという点である。宇宙進出して他の惑星に移住する場合に、大気圏なし磁場がないという点が最大の問題となる。水の有無、生物の必須条件など探索中である現在。

 西周が提唱した『百学連環』という言葉を想起している。山本 貴光『「百学連環」を読む』(三省堂、2016年)に巡り会えた。
 また、1997年には、文明を成り立たせる要素及び人間の考え方が、文明の成立や構造にどのような影響を与えるか、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄―1万3000年にわたる人類史の謎』(草思社、2000年)など「文明史」研究が進展していることである。
 科学とは、因果関係を明らかにすること、反証できること、など条件がある。「超古代文明論」「古代宇宙人説」など興味はあるけれども、ロマンに走りすぎて「わからない部分」をすべて「宇宙人からの由来」と片付けてしまう。いまの科学でわからないことはわからないのである。だからこそ、研究する意義がある。
 逼塞中の身ですが、出来る案件と出来ない案件と分けて、身の回りで研究できる「文明史」研究において雑文をまとめたいと思う。

                   (令和元年5月30日加筆)

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