リフレッシュポイントを利用した勝利を目指す、ヴァイスシュヴァルツスタンダード構築に関する研究
執筆者:カメシュン@かーどげーまー(@ws_kame19shun)
アイデア:バリミラ(@tbmatsu2)氏
要約:対戦相手に「リフレッシュポイント解決処理」リフレッシュを行った場合に発生するペナルティ(以下リフダメ)を、連続で行わせることで、相手のレベルを4にする。そのために「“再来、桜舞う季節”戸山香澄"」の効果処理を行う。効果処理を実践するためのデッキなどの準備、ならびに効果処理を行う方法を実践した。
キーワード:ソウル 山札破壊 リフレッシュポイント
1.はじめに
2022年5月現在のスタンダード環境において、多くのメタカード(相手の行動を制限するカード)が流行することがわかっていた。すべてのメタカードへの対策を行うことは不可能に近いため、特に対策が必要な、乙坂有宇(自動効果バーンメタ) ヒースクリフ(アンコールメタ)への対策を考えていた。
当初、対策用のデッキを作り大会に参加する予定だった。しかし、スタンダード大会のおよそ1月前、バリミラ氏と大会用のデッキの調整を行い、その際に氏より、現在のデッキへのアイデアをもらい、デッキの構築を行うことになった。
2.準備
キーカード「“再来、桜舞う季節”戸山香澄"」
デッキを構築する際に、フィニッシャー(最終的な決着手段、いわゆる詰め)に「“再来、桜舞う季節”戸山香澄"」を使用することは確定していた。
上記の効果を最大限に発揮するためには、香澄のソウルを上昇させる必要がある。しかし、香澄の初期ソウルは2。対応するCXはソウル+2。これによりアタック時にソウルが4から始まる。このままでは、CXコンボでも相手のデッキを4枚しか削ることができない。
そこでソウルを上昇する「ゴッドブロー」を使うことにした。
キーカード「ゴッドブロー」
このイベントカードの効果によりソウルを+50することができるようになる。しかし、このカードの欠点として《女神》のカードしか選択できないというところにある。
そのため特徴を与えるカードを用意した。
キーカード「そっち思考のひより」
このカードはスタンダードデッキの各地で散見されるほど使用率が高いカードである。1コストを支払うだけで自分の好きなキャラに好きな特徴を付与することが出来る。香澄に特徴《女神》を付与し、「ゴッドブロー」の対象を香澄に出来るようになった。
この3種類のカードをキーカードにして、デッキの構築を行うことにした。
3.デッキ構築
デッキの完成形が以下の画像
「デッキ名:女神ソウル300」
レベル0 (8種21枚)
1.「陽炎型駆逐艦4番艦 親潮」(2枚)
アタック時にソウル×1000パンプが出来、さらにダメージがキャンセルされた時に、自分のストックのカードを1枚手札に戻すことができるカード。キャンセルされた際にトリガーしたカードを手札に戻せるという手札の減らないテキストがある。また、このカードの採用理由は、ラインハルトなど、パワーが高く、相手を思い出に送れるカードに対抗するためである。
香澄のCXコンボは、発動条件にアタックの終わりを指定している。アタックフェイズにパワー負けするとCXコンボを使う前に思い出に送られる可能性があるからである。そこでソウル×1000パンプを持つこのカードを使い、「ゴッドブロー」使用後の香澄のパワーを強化することでバトル時に負けないようにした。
(ゴッドブロー未使用時、パワー14000,1枚使用時、パワー64000,2枚使用時、パワー114000,3枚使用時、パワー164000,4枚使用時、パワー214000)
2.「"TRY!"牛込りみ」(2枚)
いわゆる手札の減らないフカ次郎である。控え室に置かれた時に効果を発揮し、1コストとクロック1点で、山札の上から4枚までを見て、レベル1以上のカードを手札に加える。というテキストだ。
このテキストにより、回収しにくいイベントカードや、特徴が合いにくく回収しにくい「そっち思考のひより」や「森人の矜持 妖精弓手」を回収することができる。
また、レベル3に上がるために、わずかにクロックが足りないときに効果を使うことで自分からレベル3に上がることができる。
3.「"商店街の呼び声”戸山香澄」(1枚)
足りないイベントの回収のため、採用した。しかし、イベントカードが2種類しかないため、このデッキではフリー枠の1枚と現状なってしまっている。
「“再来、桜舞う季節”戸山香澄"」の登場時効果のサーチ先となる。
4.「鋭い射撃 イシュタル」(4枚)
特徴に《女神》を持つこのカード。ダメージがキャンセルされるとストックに行く。
最終的にはストックが4枚あれば詰めができる。しかし、序盤では、コストを多く使うので、このカードがストックに行くのがとても都合がよい。また、香澄対応ソウル+2の効果で、キャンセルされやすく、ストックを増やしやすくなった。
そして、盤面が明けやすく、相手のリバース効果の対象になりにくいという点も評価できる。
ストックに飛ばすために、「ゴッドブロー」を使う選択肢もある。
5.「紫電一閃 唯湖」(3枚)
スタンダードでなくてはならない存在である、いわゆる「ドキドキ・テーマパーク永吉昴」互換のカードである。手札を1枚控え室に置き、デッキトップを確認することができる。また最低でもレベル0のキャラ(特徴無視)を控え室から回収出来るテキストを持つ。《音楽》と《Anniversary》の両方の特徴を持つ昴互換はこのカードしかない。
また、「“再来、桜舞う季節”戸山香澄"」の登場時効果のサーチ先となる。
6.「海老名隊オペレーター 武富桜子」(3枚)
3ルック集中の1種である。集中がヒットしたときに、山札の上から3枚まで見て、手札に1枚加えられるテキストを持つ。また、クライマックスフェイズの始めに、トップチェックを行うことができる。同じ集中の能力を持つカードは少ない。その中で候補に、「“20の質問”かぐや」や「過去の記憶 一姫」、「主人として 真ヶ土翔太」があった。これらのカードは登場時にトップを見て操作できるテキストを持っている。そのうち、一姫は色の条件から採用を見送った。ほかの2種類より、毎ターントップチェックできる「桜子」を今回は使用した。どのカードを使用するか、判断に迷うところがある。(このカードも毎ターン使えるとはいえ、ゲーム終了までの平均ターンが7ターン。つまり、7回しか使えず、CXフェイズの始めなので、その後選択肢がアタック順を決める程度でしかない。)
7.「ホラー大好き小梅」(3枚)
CXを使うデッキにおいて、最も有効活用しやすいカード。確実にCXを使い場合「初音ミク“ラズベリーイズム”」という選択肢がある。
すなわち、「任意で山札を4枚まで削れる(小梅)」「クロックにカードを置ける(ラズベリー)」という選択肢になる。スタンダード構築の場合自傷ダメージを受けることで、レベルアップを狙い有利に進めやすい。という点があるので、どのデッキを想定するのかで選ぶのがよい。また色との相談も必要になる。
8.「”雨とともに”」(2枚)
登場時の効果で追加コストを支払うことで、相手のキャラを1枚手札に戻すことができる(バウンス)。対戦相手の後列に、こちらのデッキの動きをメタるカードが置かれた場合、それらの排除をすることができる。また同様の効果をもつカードに「“友へ贈る花束”湊友希那」があるが、こちらは、レベル2にならないと使えず、また自身の効果が起動効果のため、採用を見送った。起動メタに引っかかるのが難点である。
追加の効果として、控え室の《Anniversary》を回収できるため、香澄が全て控え室に置かれていても回収が可能である点から採用に至った。
レベル1 (4種11枚)
1.「そっち思考のひより」(2枚) 必須カード
スタンダード環境において、特徴が求められるデッキで必須ともいえるカード。唯一の起動効果を持っており、1コストを支払うだけで自分の好きなキャラに好きな特徴を付与することが出来る。
この効果で、「“再来、桜舞う季節”戸山香澄"」に特徴《女神》を付与することでゴッドブローを香澄に使うことが出来るようになる。
最終盤面で1枚あればよいので、今回は2枚採用に抑えた。
2.「ゴッドブロー」(4枚) 必須カード
特徴《女神》が指定されているが、1枚で自分のキャラにソウルを+50出来るというこのカードにしか出来ない効果を持っている。
香澄にひよりの効果で、特徴《女神》を付与、このカードを4〜6回使用することでソウルを200~300ほど、付与できる。これにより、相手にリフレッシュを強要し続けることができるようになった。リフレッシュポイントの処理で相手のクロックに10点近く、ポイントを与えることができる。
欠点としては、「サイドアタックが出来ない」「正面のキャラはリバースしない」「キャンセルした場合、3ドロー2ディスカード」も香澄に付与されることである。サイドアタックできないため、相手のカウンターに注意を払うこと。リバースしないため、ラインハルトを倒せない場合があること。ドロー効果を忘れないこと。これらの3点に気を付けて運用する必要がある。
3.「"沁みついた冒険者暮らし"アクア」(4枚)
本対応の特徴《女神》。アタック時に、他の《冒険者》《女神》がいる場合、山札の上から4枚までを見て、レベル1以上のカードを手札に加える。というテキストを持つ。このテキストにより、回収しにくいイベントカードや特徴が合いにくく回収しにくい「そっち思考のひより」や「森人の矜持 妖精弓手」を回収することができる。
回収要因としてとても強く、手札を整えやすいので中盤から終盤にかけて利用することができる。懸念として、レベル1で場に残ってしまうため、相手の的にされたり、「ラケージユンボロ(イベントメタ)」のあたり先にされてしまう可能性がある。
4.「森人の矜持 妖精弓手」(1枚)
特徴《冒険者》を持ち、上記のアクアのCXコンボの際の参照先になれる。最大の特徴は、「すべてのプレイヤーが1ターンに同じ名前のイベントカードを1度しか使えなくなる。」というテキストである。このカードの効果によって相手は1度ずつしかイベントカードの使用ができないが、こちらは圧殺などして盤面から、いなくなってしまえば、無制限に使えるという点にある。また、すべてのイベントを使い終わった後に登場させるだけで相手の動きだけを封じ込めることができる。
欠点は、このデッキだと色発生が難しいところ、相手が一度だけイベントを使えるということにある。
レベル2 (1種2枚)
1.「"1日だけの新婦"山吹沙綾」(2枚)
起動効果により、「相手にバトル中にイベントと助太刀を手札からプレイできなくさせる」効果を持つ。「情報連結解除(クライマックスメタ)」の使用を防ぐのが主な目的である。
そのほかにも、パワーで負けた際に思い出に送るカードがある場合などに、カウンターによる負けを防ぐ効果がある。相手のカードを確認しながら配置するかどうか決めるとよい。
レベル3 (2種8枚)
1.「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」(4枚)
最終盤面で、このカードを使用することによって、ゴッドブローを複数回使用することが可能になる。
同テキストに「レッツ・チア! 初音ミク」が存在するが、今回のデッキでは、色の条件からこちらのカードを採用した。
2.「“再来、桜舞う季節”戸山香澄"」(4枚)
このデッキの詰め。自身のソウルが増えれば増えるほど相手の山札を削ることが可能な、現状唯一のテキストを持つ。このカードにひよりの効果で《女神》を付与し、「ゴッドブロー」を何度も使い、ソウルを200以上にすることが、このデッキのメインギミックである。
また、登場時に《anniversary》を山札から回収できるため、手札が減らない利点がある。
課題点として「香澄のCXコンボがアタック終わりであること」「ゴッドブローの効果によってサイドアタックが出来なくなる」ことがあげられる。ダイレクトアタックができる箇所を狙ったり、確実にフロントアタックで相手をリバースできるところでアタックしたりするように行動したい(カウンターに注意)。
処理手順は下記参照
※注意点として下記参照
公式大会では、電卓の使用が認められていないため、効果を解決する際に行う計算では、暗算をするか、サイコロで数を表示して行うしかない。そのため計算に自信がない場合は、10面ダイスを二つ持っていくことをお勧めする。
※実際の大会ではポケモンのライフカウンターを使用されている方がいた。
4.動かした際の挙動
このデッキのメインギミックを使うためには、レベル3になるまでに手札に香澄、対応CX、ゴッドブロー4枚、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会1枚を集める。
そのため、ターンを経るごとに、使用できる手札が少なくなっていくが、相手より先に、準備を整えてレベル3に上がれるかどうかが重要なので、ダメージレースは無視する。手札に余裕を持たせるために、ひよりは、盤面においても良い。(処理される可能性が残るが。)
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会でゴッドブローを回収しゴッドブローを6回打てると尚良い。
最終的に必要なストックは4。(香澄の登場で2、ひよりの効果で1、イベント回収で1。)
最終ターン開始時に、手札に、香澄、対応CX、ゴッドブロー4枚、虹、があり、盤面にひよりがいるとする。
1,ドローで手札を+1(8枚)
2,クロック2ドローでさらに+1 この時点で上記の7枚に加えて手札が2枚増える。(9枚)
3,香澄を登場させる。その際効果で《anniversary》を回収するので手札は±0(9枚)
4,ひよりの効果を香澄を対象に起動、《女神》を付与。
5,ゴッドブローを4回香澄に使用する。(香澄のソウルが202、手札が残り5枚)
6,虹で、ゴッドブローを2枚回収する。(手札が残り4枚:CX、ゴッドブロー2、そのほか1)
7,ゴッドブローを2回香澄に使用する。(香澄のソウルが302、手札が残り2枚)
8,対応クライマックスを使用する。(香澄のソウルが304)
9,香澄でアタックをし、アタックの終わりに効果を発動。相手の山札を下から304枚(ダイレクトアタックした場合305枚、ソウル+2がトリガーで捲れた場合、306枚or307枚)削る。
10,相手のリフレッシュポイントの処理でレベル4にできれば勝利。
5.公式大会参加してみての考察
手札に必要なカードを集めるのは難しくない。意外と集めにくかったのが、「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」だった。「ゴッドブロー」を優先して集めたためだと思われる。
コンボを打てば、相手の山札の枚数次第だが、だいたいリフレッシュポイントを10点近く与えられる。ソウル304あり、相手の山札が30枚ならば、リフレッシュが10回行われる。
練習などで良く起こった場面として、ソウル204で、相手の山札が25-30枚という状況が多くあった。だいたいリフレッシュポイントで6・7点入る計算になる。相手がレベル2前半なら、ソウルが300点要求。レベル3なら200点。くらいの認識でいるとよい。
相手の最後の山札次第になるが、効果ダメージ(ダメージ自体はほぼ確実にキャンセルされる。)で、さらに追加のリフレッシュを行わせることができる可能性が残る。
課題として以下の点があげられる。
・レベル3にならないと詰められない。
大会では欠点になった。レベル2以下から詰めてくるデッキが相手だと何もできずに負ける。
・自力でレベル3に上がりにくい。
自傷ダメージのあるカードを多く積んだほうが良いかもしれない。
・イベントメタと起動メタ、クライマックスメタに弱い。
デッキ選択の時点で、メタが回るのであきらめるしかない。一部カードへの対応はできるが、完ぺきな対応をするための枠がない。
・手札のカードが固定される。
手札が固定されてしまい、自由に動ける枠が少なくなる。ただ完全な欠点ではないので、これをどうとらえるかが肝心になる。
想定有利不利対面
ループ系スタンダード
不利。
こちらがレベル3まで動けないのに対して、レベル1~2で動けるため。またデッキの枠がないため、メタを貼りにくい。
イルル連パン系
不利。
相手の連パンが止まることをお祈り。
メタデッキ系
微不利。
起動メタ、イベントメタが使われなければ、コンボができる。
使われた場合でも、ソウル+2でごり押しをする。
プリシララインハルト系
微有利。
アタックしてストックを多く溜めに行く必要もなく、ラインハルトも香澄と親潮で踏み越えられるため。
レベル3フィニッシャー系
微有利。
プレイングに注意。先にレベル3に上がったほうの勝ち。
スーパーネオス系
有利。
相手が圧縮デッキであればあるほど有利。
山札15枚の相手に、ソウル304を叩き込むと、リフレッシュポイントだけで20点近く飛ぶ。レベル1前半の相手をゲームエンドに追い込める。
他の方も、研究されているタイプのデッキであり、今後、様々な強化を施されて、より面白い形にしていきたいと思う。
もし、こういう形にしたらよいのでは?というアイデアがあれば、募集しているので、ぜひ、多くの人の手で、ヴァイスシュヴァルツのスタンダード環境を盛り上げていることを願っている。
ご精読ありがとうございます。<(_ _)>
おまけ
スタンダード大会の結果。
1勝2敗
1回戦
レベル0メタデッキ。
イベントメタの活躍により、イベントが打てなくなった。
ソウル+2を連打してゴリ押し勝ち。
2回戦
デアラ改造
必要なカードが全て手札に揃った。
レベル3を通り過ぎたため使えなかった。
3回戦
相手は識バーン。
お互いにレベル2の段階で、こちらは手札に必要なカードを集め終わっていた。
相手が2-2のタイミングでこちらのストックが1枚足りなかったので1回アタックして、2-3。次の詰めのためには2-4あると確実に詰めれるため、もう一度アタックし2-4まで持っていく。
↑これが敗因。
相手はクロックとリフレッシュを利用し2-6へ
そして、ラズベリータイムの効果でレベル3に上がり識バーンの対応を打たれて敗北。
相手のデッキを見極め、どこでアタックを止めるかが課題になる。
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