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【KAMEの蹴球三昧】#38 2023明治安田生命J1リーグ 第30節 ヴィッセル神戸対鹿島アントラーズ プレビュー
両者ともに負けられない一戦
悲願のJ1初優勝に向けてリーグ首位を走るヴィッセル神戸。国立競技場をホームゲームとして、4位の鹿島アントラーズを迎える注目の第30節。
神戸は残り5戦、鹿島、浦和、名古屋と上位勢との対戦が控えている。横浜Fマリノスとの首位攻防戦を制した後、カップ戦、インターナショナルマッチウィークが入ったことにより3週間のコンディション調整となった。勢いを持続する意味ではこの長いブレイクは不要なのかもしれないが、神戸のチームスタイルを最後まで貫くためには必要な期間だったといえそうだ。
一方の鹿島は首位神戸との勝ち点差は11と、数字上逆転優勝の可能性は残しているものの現実的には非常に難しい。ACLプレーオフ進出に向けた3位争いは、鹿島に加えて浦和、広島、名古屋、C大阪、福岡の6チームが5ポイントの中にひしめき合う大混戦だ。鹿島にとって神戸、浦和との直接対決は、優勝への微かな希望とACLプレーオフ進出に向けても絶対に負けられない連戦になる。
ヴィッセル神戸
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これまで失点数は浦和に次ぐ2位の25失点。それを最後方から支えてきた守護神、前川黛也が招集されていた日本代表活動中に手指を負傷。今季全試合スタメン出場の彼がこの大一番に間に合わなければ、セカンドキーパー坪井湧也の活躍に期待がかかる。
ディフェンスラインでは左サイドバックの初瀬亮が累積警告により今節は出場停止。代わって普段左センターバックを務める本多勇樹の左サイドバック起用を予想する。もちろん酒井高徳を左に回し、飯野七聖を右サイドバックに起用することもあり得る。だだ、鹿島の攻撃の起点となる鈴木優磨は左に流れてチャンスメイクを行うことが多いことを考えると、対人に強くタフな酒井を右サイドバックで起用することが効果的だろう。本多が左で起用されることに伴い、2ヶ月ぶりにマテウス・トゥーレルのスタメン復帰と予想する。
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(画像:ヴィッセル神戸公式Xより)
中盤3枚のアンカーは絶対的な軸となる山口蛍との補完性を考慮した人選が必要となる。齋藤未月の負傷離脱以降は大崎玲央が務めてきたが、C大阪、横浜FMとの2戦は扇原貴宏が入り連勝。この2試合で大崎がメンバー外となった理由は不明だが、勝っているチームを無理に変える必要性はないため、扇原が継続してスタメン起用されるだろう。
大崎は積極的な前への守備が魅力だが、無理な突っ込みで回避されたり不用意なパスでボールを失うことも多い。一方で扇原は攻守のバランサーとして振る舞う。左足のキックが魅力で、技術で相手を引きつけたり、剥がして展開することができる。
神戸のチームスタイルにおいて、ボックストゥボックスタイプの山口の機動力は重要だ。山口を活かすためにもC大阪時代にもコンビを組んだ扇原が適任だろう。
前線3枚は言わずもがな中央には絶対的エース大迫勇也が構える。神戸の守備時ハイプレスの生命線ともいえるウインガーは横浜FM戦に続いて左に武藤嘉紀、右は飯野七聖か。左ウイングにはドリブラーの汰木康也、ジェアン・パトリッキという選択肢もあるが、大迫に当ててから後ろから湧き出る水の如く選手が追い越すのが、首位を走る今季の神戸の攻撃の形だ。オン・ザ・ボールに特長がある選手は交代から、アクセントをつけるための起用になってくるだろう。
鹿島アントラーズ
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鹿島も神戸同様に守備時のハイプレスからショートカウンターを持ち味としたチームだ。
ゴールキーパーは今季リーグ戦全試合で守護神を任され、後ろからのビルドアップにも参加できる早川友基。
センターバックは屈強な植田直通と関川郁万を並べる。対峙する鹿島OBのストライカーを徹底的に封殺することが2人の最重要タスクだ。サイドバックには攻撃参加に定評のある広瀬陸斗、安西幸輝。サイドハーフが内側に絞ってプレーする傾向が強い鹿島において、サイドバックの上がりは攻撃時のポイントになる。広瀬、安西ともに味方に合わせて内外のレーンを使い分けた動きもできるだけに、厚みのある攻めで神戸守備陣を混乱させる必要がある。
ボランチ2枚には機動力の高さと左足のキック精度が自慢の司令塔ディエゴ・ピトゥカ、J1リーグ屈指のボールハンターでドリブルやパスでも非凡な才能を見せる佐野海舟の鉄板コンビ。8月のJ1リーグ月間MVPに輝いた樋口雄太は右サイドと中央をローリングしながら、一撃必殺の右足のキックをもつアシストマシーン。仲間隼斗は攻撃時に中央から左サイドへ流れてくる鈴木優磨とポジションを変えながら、ボールの受け手にも出し手にもなれる。守備への切り替えの速さと、しつこく追えるスタミナもまた仲間の特長だ。
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(画像:鹿島アントラーズ公式Xより)
最前線の鈴木は鹿島の攻撃の生命線だ。トップから中盤や左サイドに動いて起点を作るだけでなく、ストライカーとしての得点が求められる。鹿島の総得点39は、横浜FM(52)、神戸(51)、札幌(50)に次いで多い。しかし鈴木が13ゴールと気を吐くなかで垣田裕暉、知念慶がそれぞれ4ゴール、5ゴールと物足りない数字だ。鈴木は求められる役割の多さからか試合終盤の疲労が色濃く、得点の決定機を逸する場面もしばしば見られる。岩政監督は鈴木の相棒として垣田をファーストチョイスしているものの、ゴール前での動き出しのバリエーションや、背後へのランニングといったアクションは知念に分がある。コンディションの問題がクリアされているのであれば、得点を求めて知念の先発も十分にあるだろう。
試合のポイント
❶中盤3枚の神戸と2枚の鹿島
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(画像:鹿島アントラーズ公式Xより)
フォーメーション上噛み合わないところが中盤だ。神戸のアンカーに対しては、ツートップが消しながらセンターバックにプレスをかけることになるだろう。ただしアンカーが最終ラインに落ちてビルドアップのサポートに入った時には、最終ラインで3(4)対2の構造ができる。加えて神戸のインサイドハーフがボールを受けに下りた時に、ピトゥカ、佐野のボランチがどこまでついていくのか。当然ボランチの空けたスペースには大迫が落ち、センターバックがそこについていけば背後は狙われる。今季の神戸は中盤を省略し、大迫を起点として効率よく点を積み重ねてきた。鹿島ディフェンスはとにかく大迫に前を向かせないようにしなければならない。
❷サイドでの攻防
ハイプレス主体の守備が持ち味の両チームの対決だからこそ、サイドでの優位をどちらが長く作ることができるか。特に神戸の右サイド、鹿島の左サイドはキーポイントになるだろう。鹿島が厚みのある攻撃を仕掛けるには安西の上がりは不可欠であり、武藤との駆け引きで押し下げられると苦しくなる。
逆に神戸はチャンスメイクでサイドに流れる鈴木に対してセンターバックがどこまでついていき、どこでマークを受け渡すかハッキリさせておきたい。鈴木とポジションチェンジして、中央に入ってくる仲間に対しても同様だ。
❸大迫勇也と鈴木優磨のエースストライカー対決
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(画像:ヴィッセル神戸公式Xより)
両チームとも守備が固いため、試合は撃ち合いというよりも1点の攻防になる可能性が高い。
2009年から2013年まで鹿島アントラーズに在籍した大迫勇也は、今シーズン20ゴール4アシストとチーム総得点の46%に関与。鹿島在籍最後の年となった2013年シーズンの19ゴールを更新し、クラブ悲願のJ1リーグ初制覇へヴィッセル神戸のエースとしてチームを牽引している。
大迫がドイツへ渡った後、2015年に鹿島ユースから昇格した鈴木優磨はかつて大迫がつけた背番号9を背負い、2018年にはACL優勝と大会MVPにも選出された。ベルギーから戻ってきた昨年、レジェンド小笠原満男が着けてきた背番号40を受け継ぎ、闘志を前面に押し出しながらチームを牽引している。
チームを勝利に導くのは果たして。
試合情報
2023明治安田生命J1リーグ第30節
ヴィッセル神戸(1位) 対 鹿島アントラーズ(4位)
@国立競技場
14:03キックオフ予定
*NHK、DAZNで放送・配信予定
〈NHK〉
解説:未発表、実況:未発表
〈DAZN〉
解説:水沼貴史、実況:桑原学
リポーター:日々野真理
ヘッダー画像:
ヴィッセル神戸公式サイトより引用し切取