![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/67866071/rectangle_large_type_2_5d17e13e116297f412a84306b22cef90.png?width=1200)
今更述懐するWorld×Code探偵シナリオ私撰ベスト5
2021年の4月から始まったシャニマスのエイプリルフールイベント。このイベント内ではアイドルたちの探偵姿を見ることができます。
noteはシャニマスの怪文書を好きに投げ込んでもいい場所と聞いたので、彼女たちの探偵姿に興奮したミステリファンが勝手に選んだベスト5のシナリオについて好き放題に語ります。
第5位 三峰結華
犯人が被害者を崖から突き落とした事件の起きた現場に来た三峰結華と助手くん。結華は被害者が犯人と親しかったからこそこの危険な崖際という場所に姿を現し、親しい間柄だと思っていた犯人に殺されてしまった、と推理する。
この図式はそのままシナリオ内の結華と助手くんにも当てはまるものであり、この直後に助手くんも事件と同じ手口で結華に突き落とされる未来を示唆するようにシナリオは幕を閉じる(私にはそう見えた)
星新一のブラックユーモア溢れるショートショートや阿刀田高の『奇妙な味』を彷彿とさせる。
このイヤミス的な風味は桑山千雪ルートでも感じられるが、今回はより行間を読ませる三峰ルートを選ばせてもらった。
第4位 黛冬優子
2人目にして、シナリオの内容に一切関係がない理由で選定したことを先に謝罪しておく。
このWorld×Codeというイベントが始まった同時期にシャニマスは3周年を迎え、俳優で歌舞伎役者でもある香川照之氏がCMに起用され、冬優子のことを担当する様子が見られ面白がられていたことは記憶に新しい。
ここで黛冬優子が探偵を演じる場面を想像して欲しい。もちろん助手は香川照之だ。
全ての謎を解決し、今ここに真犯人を告発する黛冬優子。「そう、真犯人はあんたよ!」
「決まった!! 9代目!!」
「9代目はあんたでしょうが!!」
「黛家!!」
「うっさい!!!」
どうだろう、見えるだろうか?
第3位 七草はづき
ミステリには最後の一文に仕掛けや驚きを施すジャンルがある。『最後の一撃』などと呼ばれ、ラスト一行で今まで見えていた世界や価値観が大きくひっくり返ったり、謎が氷解する様はカタルシスに溢れていて読み応え抜群だ。米澤穂信の「儚い羊たちの祝宴」などが有名。
このシナリオではあらゆる危機に対して、七草はづきが「やったことがあったので」と難なく事態に対処する。
一介の事務員にすぎない彼女が何故こんなスキルを身に着けているのか? 彼女の過去に何があったのか?
仮にやむを得ず他人を殺してしまったとしても彼女はきっと顔色ひとつ変えずにこう言うだろう。
「やったことがあったので」
第2位 風野灯織
アイマスでいきなり見立て殺人ってセリフが飛び出すことある!?
シナリオ内でも言及されているが見立て殺人とは、童謡や数え歌などの内容に見立てて殺人を行うものだ。アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」や横溝正史の「犬神家の一族」などが有名である。
アイドルに見立て殺人って言わせただけで興奮してきた変態の俺は続く展開にさらに興奮することになる。
後期クイーン問題じゃん……!!
詳細は割愛するが後期クイーン問題とは、『作中で最終的に探偵が示した解決が、本当に真の解決であるか作中では証明できないこと』である。探偵が事件解決に用いた手掛かりが偽のものであるかもしれないことは証明できず、この後に本物の手掛かりが出てくるかもしれない。探偵の知らない情報が存在する(かもしれない)ことを探偵は察知できない。そういったメタレベルの問題のことを指す。
シナリオ内では灯織は手掛かりが出揃わなければ事件は解決できないし殺人は止められない、と言っており何とも頼りない。
しかし金田一耕助シリーズではよく見る展開だし、それもまた仕方ないことなのかもしれない。
何故なら……、
第1位 市川雛菜
シナリオ第一声からこれである。冒頭から
ホワイダニット(何故やったのか)
をやる気まんまんなのが伝わりガンガンに気合いを感じられる(私だけだろうか?)
この後シナリオでは助手くんが爆弾魔みたいな悪人の気持ちなんて、わからないと返すが、それに対して雛菜は「なら、今の自分の気持ちはわかるのか?」と問いかける。
このことから雛菜は『探偵』をすることの意味をしっかり理解していることがわかる。
探偵は事件解決のために、被害者や事件関係者、そして犯人たちの心に調査と称して過去や秘密といったデリケートな部分に土足で踏み入り、思い出したくないことを掘り返したり、勝手な詮索で他人を傷つけることも厭わない。
事件解決という正義の大義名分こそあれど決して推奨される行いではないだろう。そして探偵はそのことに自覚的になるべきである。私はそういう探偵が登場するミステリが大好きだ。
ヒトとヒトが真に理解し合うためには対話が不可欠であり、とかく相互理解の難しさとそれに立ち向かう姿勢を見せてくれるシャニマスのイベントに通じるものがある。
そういったことに理解が乏しい助手くんを、キッパリとそして可愛く咎めることができる雛菜はきっとステキな探偵なのだろう。
終わりに
アイドルが探偵やってるの最高なのでこういうイベントもっとやって下さい。放クラの『ミッション・コンプリート』もミステリ風味があり良かったですね。