大人の自由研究:台風と宝くじ、「第1476回 MEGA BIG」を買うべきか?

後日談を書きました(結果確定前の9/1未明時点)

要約(追記しました)

第1476回のMEGA BIGが4試合だけ中止のまま抽選対象になれば普段は還元率50%くらいのスポーツくじが還元率100%を超える可能性が高いです。
下のリンクで売上金額が11,567,703,600円未満なら1-6等あわせて還元率100%超、8,969,419,500円未満なら1等だけで還元率100%超の見込みです。
ただし実質1等当選が前提なので普段より256倍くらい当選確率は高いけど、とはいえ1/65,536と低確率なので19,660,800円くらい買うと当たりそう&当たれば売上金額によりますが倍くらいにはなりそうな状況です。
ただしブレ幅めちゃくちゃ大きくて、たくさん買えば多少マシだけど皆が買うと期待値どんどん下がります。

12試合のランダムな予想が全部あたれば1等当選という仕組みのMEGA BIGは中止が4試合までなら中止試合の予想は正解だったことになるシステムなので当選確率が上がります。
記事を書いた時点では台風10号の影響で丁度4試合中止予定なので確率が一番UPしてます。
全員が平等に当選確率が上がるだけでは意味なさそうですが、確率的には前回までのキャリーオーバー(約58.3億円)が全て1等当選として吐き出される見込みなので期待される還元率が100%を超える歪な状態になっています。
ちなみに5試合以上中止なれば全額払戻なので、その場合も還元率は一応100%です。

以下本文


ついに夏休み最終日を迎えました。
そんな2024/8/31ですが台風10号による大雨や強風の影響が日本各地で心配される状況です。皆さまの無事を心より祈っています。

このような状況ではありますが、X(旧Twitter)で興味深い投稿を見つけたので、8/31に夏休みの自由研究を何とかするノリで深掘りしてみました。
※タイトルは宝くじにしましたが、正確にはスポーツ振興くじ。

今回の記事は台風10号の影響で下記の試合の中止が決定されている(8/30 17時40分時点)ため、当選確率が普段と異なる特殊な状況になっていることで成立しています。

・2024明治安田J1リーグ 8月31日(土) 「名古屋グランパス vs アルビレックス新潟」
・2024明治安田J1リーグ 8月31日(土) 「セレッソ大阪 vs ガンバ大阪」
・2024明治安田J1リーグ 8月31日(土) 「ジュビロ磐田 vs 横浜F・マリノス」
・2024明治安田J1リーグ 8月31日(土) 「京都サンガF.C. vs 鹿島アントラーズ」
・2024明治安田J2リーグ 8月31日(土) 「徳島ヴォルティス vs 清水エスパルス」

記事作成時点ではMEGA BIG対象の12試合のうち4試合が中止となっており、8試合の結果が的中すれば全的中・1等当選として扱われます。
ただし、更に対象試合が中止となり対象が8試合未満となると、くじ不成立となり購入代金が返還される見込みです。最新の状況も御確認ください。

なお、この記事は投資判断や宝くじ購入のアドバイス等ではありません。
当然、結果を保証するものではありません。あくまでエンタメとしてお楽しみ下さい。
また確率統計に関しては素人です。フィードバック大歓迎です(マサカリlearningで圧倒的成長したい)。
夏休みの自由研究を最終日に徹夜で仕上げた小学生のクオリティです。

そもそも「MEGA BIG」って何?

MEGA BIGはスポーツ振興くじの一種です。
1口300円で1等当選金は最大12億円と公営競技を除き2024年8月時点で国内最高額です。
くじを購入すると、指定されたサッカー12試合の結果をコンピュータがランダムに選択し投票します。自分で予測することはできません。
※正確には指定されたサッカーの各試合の90分間での両チーム合計得点数を1点以下=「1」、2点=「2」、3点=「3」、4点以上=「4」と予測します。どれをコンピュータが予測するかの確率についてはランダムとの記載しか見つけられませんでしたので、本記事ではコンピュータの予測は25%ずつ等しい確率でランダムに選択すると仮定します。

本記事作成時点では第1476回の1等配当金額は前回までのキャリーオーバーを合算した6,634,900,680円(約66億円、2024年08月31日(土) 03時28分時点)でした。
最大当選金は12億円なので、1等当選が5口以下であれば12億円/口、6口以上であれば1等配当金額(キャリーオーバー+今回の売り上げ金額35%)を等しく分けた金額となります。
※公式サイトの説明では分配が○人との記載になっていますが、本記事では(現実的かはさておき大量に買って1人が2口以上の当選をした場合)当選口数ごとに分配されると仮定します。

当選確率は?

検索すれば色んなサイトで書かれていますが、今回の特殊な状況でも計算する必要があるので、自分で考えてみましょう。

投票券は対象となる各試合の90分間での両チーム合計得点数が「1点以下・2点・3点・4点以上」のいずれかを予測します。
予測内容によって実際に的中しそうかの確率は異なりそう(極端な例だと全ての試合で1点以下と予測した投票券と全ての試合で4点以上と予測した投票券の当選しやすさは多分ちがう)ですが、それは気にする必要はなさそうです。

何故かと言うと、実際には購入時にコンピュータがランダムに選択するため、コンピュータが25%ずつでランダムに選択されるという仮定のもとでは、実際の的中結果(購入時点では未確定、強いて言うなら神のみぞ知る)と一致した投票内容になる確率は試合毎に25%となります。

そのため、普段の12試合が対象の場合は各試合25%(つまり1/4)、全試合の的中する確率は1/16,777,216(約1678万分の1、1/4の12乗)になります。
※コンピュータの選択はランダムかつ試合間で独立と仮定します。

公式サイトで探した限りでは正確な確率についての記載は見つかりませんでしたが、例えば楽天銀行の記載の約1,680万分の1という記載と計算結果は合致しています。
https://www.rakuten-bank.co.jp/toto/big/megabig.html

しかしながら、今回の試合に限っては8試合が対象なので、全試合の的中する確率は1/65,536(1/4の8乗)と普段の256倍も全的中しやすい状況です。

注意すべき点は、当然あなただけではなく、他に購入する人も同様に的中しやすい状況です。
購入した誰もが的中しやすいなら、有利不利はない気がしますが、実際どうなのでしょうか。これについて詳しく考えていきましょう。

キャリーオーバーが鍵!?

結論から言うと、今回(第1476回)に限った話ではMEGA BIG購入者同士では有利不利はありません。
ですが、今回のMEGA BIGは前回(第1475回)のMEGA BIGに比べると全的中が256倍も起こりやすいです。
当たりやすさ(全的中しやすさ)とリターン(期待値)は関係があるのでしょうか?

1等当選金は前回までのキャリーオーバーを含めた1等配当金額を1等当選者で分配します。
もしキャリーオーバーがなければ、その回の売り上げ35%が1等配当金額となるので、回毎で的中率が違っても、結局は購入者間で貯めた賞金プールを購入者間で平等な確率で分配するので期待値は直感的には変わらなそうです。
しかし実際はキャリーオーバーも含めての賞金プールです。前回より全的中しやすい今回ではキャリーオーバー分は前回より獲得しやすいので、今回の参加者間では有利不利はありませんが、前回の参加者よりは今回の参加者が有利です。
※直感的な理解としては、そもそもキャリーオーバーが貯まっているということは前回までで賞金プールを前回まででは参加者に分配しきれていないということなので、全的中が256倍も出やすい今回では6口以上の全的中が出てキャリーオーバーが全て吐き出されそうと考えれば、何となく今回は有利そうというのが伝わるかと思います。

なお直近の結果とキャリーオーバーの推移を参考に載せておきます。

グラフでも分かるとおり、キャリーオーバーは基本的には1等当選がないと積み上がります。
過去に何度か1等当選が続いてキャリーオーバーがゼロになっていますが、今回に関しては、キャリーオーバーが58億円と高水準に積み上がっている状況です。

今回に類似したケースとしては第1252回が分かりやすいです。
第1252回は3試合が中止となり計11口が1等当選でキャリーオーバー約21.8億円を全て吐き出しました(21.8億+売上約8.1億の35%の約2.8億円をあわせた約24.5億円の賞金プールを11口で分配して約2.2億円)。
くじ自体の売り上げ約8.1億で1等の払い戻しだけで24.5億円なので、直感的にも期待値がプラスであったことが分かりやすいです。
全体としては8.1億円くじ購入して24.5億円以上が払い戻されていることとなり、参加者全員は有利不利がないので、平均としての期待されるリターンはプラスでした。

第1252回(1等当選金:222,791,010円×11口)

第1251回(キャリーオーバー:2,180,564,880円)

ということは今回についても期待値プラスの予感なので、特に考えずに買うのが賢いのでしょうか?
もう少し別の角度から深掘りしてみましょう。

※なお、2等以下の払戻はキャリーオーバーは使用されない(その回の売上から割合で分配されるだけな)のでキャリーオーバーに依存した旨味はありません。

売上金額(今回・第1476回の全体の購入口数)に注意!!

実際に何口の1等当選が出るかは確率も勿論大事ですが、実際の売り上げ(投票口数)が多ければ多くなる傾向があります(同じ的中確率であっても、単純に10倍くじが売れると10倍の口数の1等当選が出ても不思議ではない)。

第1252回の売り上げは約8.1億円で歴代10位でした。
全体の平均だとMEGA BIGは約5.2億円くらいの売り上げで、過去最高でも約11.8億円で、12億円を上回ったことはありません。

では、今回・第1476回はどうかというと、記事を書いている2024年08月31日(土) 06時48分時点で売上が2,389,765,200円(約23.9億円)、1等配当金総額が6,666,540,540円(約66.7億円)と賞金プールより売上が少ない状態はキープしてるものの過去最高の売上を達成しています。

売上が増えれば増えるほど1等当選口数が増えてしまうので、1口あたりの賞金プールの分配が薄まってしまいます。
結果的に期待される旨味が減ってしまうのですが、イメージできるでしょうか。下の表を見て下さい。
先程の購入者全体の視点で考えてみると、X億円くじ購入で1等の払戻はキャリーオーバー58.3億円+X億円×35%なので少しずつ旨味が薄まっていきます。

売上のうち1等配当金には35%しか追加されないので売上が大きくなると差が縮んでいく

では、これを見る限り売上が90億とかに達しない限りは1等配当金だけでもプラスなので買うべきなのでしょうか?

購入者全体としてはプラスかもしれませんが、思い出していただきたいのは、全試合の的中する確率は今回が高いとはいえ1/65,536です。
4択問題をランダムで8連続で当てないといけません。

また、65,536口を購入するとなると、1口300円で1966万800円が必要です。

上に記載した時点で7,965,884口が購入されていて、1/65,536の確率で当選すると考えるとザックリ122口くらい当選しそうな状況です。上に記載した時点では1等配当金額は66.6億円なので122口で割ると約5500万円くらい払戻されそうなので期待値がプラスな印象ですね。

やっぱり買った方が良さそうでしょうか?

確率と統計の視点で少し考えてみましょう。

サイコロを6回ふっても6が出ないことがある

考えてみて下さい。
コインを2回なげると表は1回かならず出ますか?
サイコロを6回ふると6は必ず出ますか?

試行回数を増やすと、コインを2回なげれば1回だけ表となることが多いですし、サイコロを6回ふって6が1回だけ出ることが多いです。
でも必ずではありません。

CASIOのサイトで計算してみましょう。

おおよそ1/6の確率(0.166666…)で成功する(例えばサイコロで6が出る)事柄を6回やって1回だけ成功する確率は概ね40%くらい、概ね33%くらいは1回も成功しないことが分かります(5/6の確率が6回連続と等しい)。
結構ハズレますね。

では、同じことを1/65,536で試してみましょう。
CASIOのサイトだと試行回数が多くて計算できないので、グラフを別の方法で作りました。
※Google Colaboratory のPython環境で実行しました。

サイコロ6回の例
1/65,536の成功確率を65,536回チャレンジしたときの成功回数

1回以上の成功で期待値プラスだったとしても、36.7%くらいの確率で0回成功(1回も成功しない)となってしまいます。
今回のMEGA BIGに例えると、約1966万円つっこんで0円・全損の可能性が36.7%くらいあります(2等以下など考慮しない場合)。
想像するだけでも恐ろしいですね…。

実際には2等以下で多少回収できる可能性があるのと、そもそも購入口数を更に増やせば下振れする確率は小さくなる(ただし、自分自身の影響で全体の購入口数も多くなるので期待されるリターンは薄まってしまう)と思われます。

少しシュミレーションしてみました。

※この辺から眠すぎて朦朧としてるので間違っていたら申し訳ありません。大意としては下振れ結構こわいことと購入口数を増やせばブレ幅は抑えられて最終的には期待値プラスにできるかもだけど他の人も同じ戦略とると難しいかもっていうストーリーが伝われば幸いです。
信頼区間ギザギザするのは気持ち悪いですが、当選回数が離散的なので信頼区間にギリギリ入ったところで一旦期待リターンが上がってジリジリ下がっていくのを繰り返していると理解しています(普通にコード間違ってるだけの可能性もある)。

統計的には嘘な説明になるが、同じような戦略をパラレルワールドを含めて100回トライできた場合に最高の上振れと最低の上振れの両端を除いた真ん中98%の部分を信頼区間として塗っている。
振れ幅の真ん中が期待値の実践で、これだけ見るとプラスっぽいが下振れして損が出る可能性は拭えないことが視覚的に伝わっていれば幸いです。

金額ベースだと伝わりづらいかと還元率(1.0でトントン)だと以下。

特に下振れに着目した場合、1億円(10000万円)ちかく注ぎ混んでも順位で99/100位くらいの下振れとなった場合は、1等当選だけ考慮すれば半分くらいしか戻ってこない。
しかも自分以外は追加で買わないという一番自分にとって有利な条件であった場合でだ。厳しい世界である。

ちなみに上述の有利な条件であれば、4億円くらいツッコめば順位が399/400位くらいのアンラッキーでも(徹夜あけの非専門家が行った)シミュレーション上では負けないようだ。

元々の賞金プールが60億円を超える規模なこともあり、意外に4億円とか追加しても期待値が劇的には悪くならないようだ。


ここまで書くのに3時間くらい時間が経過したが、売上は23.9億円から25.9億円くらいで、増えてはいるが劇的ではなさそうだ。

最後に、この記事が万が一バズりにバズり(Xで他の方々がコンパクトにまとまめてくれているのを見る人が明らかに多そうだが)、同じ戦略をとる人が10人いた場合の高額シミュレーションで締めくくります。


同じ規模感の人が自分以外にも9人いる場合
同じ規模感の人が自分以外にも9人いる場合

同じ戦略をとる人がいればいるほどキャリーオーバーのメリットが薄れるので多額をベットするひとが沢山いれば当然劇的に期待されるリターンは悪化します。

サッカーくじは宝くじ同様に所得税は課されないものの、実行還元率は49.6%程度なことが知られています。
▽参考:宝くじ・公営競技・サッカーくじの実効還元率(総務省、PDF注意)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000084191.pdf

そのうち約70%である35%が1等当選に充てられているが、失われる(?)65%がキャリーオーバー分を上回れば当然期待値もマイナス(本来は期待値49.6%なのが100%を超えている現状がそもそも異常ではあるが)に転じてしまうことが伝わっていれば幸いです。

まとめ

台風10号のの影響に伴う特殊な状況のため、スポーツくじの期待値がプラスになるという不思議な状態になっているものの、あくまで期待値なので結果のバラツキは結構あるので注意が必要です。
多額を投じればバラツキは抑えれる傾向にあるものの旨味も減ってしまいます。
この辺のトレードオフとかについては似たシチュエーションが起これば考察してみたいです。これ以上そんなに売上金額のびない前提で4億とか用意できるならフルベットに妥当性がありそうな印象です。
また2等以下は(面倒)影響が大きくないことにして考慮していません。売上の15%の3億以上はあるので結果に5%くらいは影響すると思われます。今後の課題です。

おまけ

くじ販売が終了してから公開しても面白くはないというのを言い訳に尻切れトンボ感が否めないですが夏休み最終日に始めた自由研究っぽさが醸し出せたのではないかと個人的には満足しています。

筆者自身は実は10年以上定期自動購入も活用してBIG 1口と最近はMEGA BIG 1口を毎回購入しています。期待値は多くの開催でマイナスですが大昔ですがBIGで1個はずし当選したことがあります(詳細わすれましたが何らかの理由で今回のように当選しやすかったけれど払戻も少なかった記憶です。それを次回に全部つっこんで全部はずれました笑)。
期待値を考えると愚かな行動ではありますが、上振れしたときの影響が計り知れない割にリスクは比較的ちいさいかなと趣味的に継続中です。

確率・統計とかについての優しいツッコミお待ちしております。寝ます。
夏休みの自由研究は計画的に。
皆さまに台風被害ないことを心からお祈りいたします。


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