護憲と沖縄、そして朝鮮
1 9条と沖縄
私は護憲派であり、憲法9条の熱狂的な支持者ですが、その成立過程にはなんの幻想も抱いていません。9条は、天皇制維持のための、マッカーサーと日本支配層との取引の産物だったと思っています。沖縄を要塞化すれば本土は守れるという、マッカーサーの軍人としての勘もあったのでしょう。結果として沖縄は再び捨て石にされたのです。
朝鮮戦争以降、米国は日本に再軍備を求めました。本土の各地では、反基地闘争が繰り広げられました。その際の民衆の武器が憲法9条であり(砂川闘争等)、この時、日本の民衆は、初めて憲法9条を自分のものとしたのです。しかし、反基地闘争の結果、本土の米軍基地の多くは沖縄に移りました。ここでも沖縄は本土の犠牲になったのです。
憲法9条は人類の究極の理想を示しています。しかし、その成立過程は疑問のあるものですし、日本人は常に沖縄を犠牲にして、その利益を享受してきたのです。我々護憲派は、なにより沖縄問題を優先しなければなりません。それは我々の理想主義の大きな矛盾だからです。
2 9条と朝鮮半島
沖縄と並んで考えるべきは朝鮮半島との関係です。日本帝国主義の世界侵略は、江華島事件を嚆矢に朝鮮半島侵略で始まりました。米国に敗戦した後、日本は朝鮮戦争の特需で復活したのです。日本は常に朝鮮半島の民衆を踏みつけ、朝鮮の民衆を喰いものにしてきました。
日本人が朝鮮半島侵略を真摯に反省したことは一度もありません。それどころか、戦後も朝鮮侵略戦争(日清日露戦争)を自衛戦争だったと美化し、侵略の下手人(伊藤博文)を英雄のように称え、さらには、侵略の被害者の子孫(在日コリアン)に対して今でも差別を続けているのです。
我々護憲派が、憲法9条という人類の究極の理想を完遂しようとするなら、朝鮮半島との関係に正面から取り組むべきです。
一つは朝鮮戦争を終わらせること。日本は朝鮮半島統一を支持し、統一朝鮮のパートナーになるべきです。そのために力を尽くすのが今後の日本の平和外交のあるべき姿です。
3 護憲派の優先課題
沖縄基地問題は、待ったなしの最優先課題です。これは醜い民族差別、人種差別であることを自覚し、(本来日米安保条約の破棄が望ましいが、当面は)本土移転による差別解消に努めるべきです。
在日コリアン差別も、今すぐ根絶すべきです。ヘイトスピーチは犯罪として規制し、ヘイトクライムにも重罰を課すべきです。村山河野談話の立場をさらに深め、従軍慰安婦問題は歴史教科書でキチンと教え、歴史修正主義には政府が反論すべきなのです。
初出2022年5月22日Facebook