スラップ訴訟について
レイシストをレイシスト、セクシストをセクシスト、トランスヘイターをトランスヘイターと論評すると、名誉毀損訴状が飛んでくるケースが増えた。所謂スラップ訴訟だ。
意見論評は原則的に名誉毀損にならないとの法理を確立しないと、差別に反対できなくなってしまう。
もともと名誉毀損法は、貴族の名誉を守るという、差別的な思想に基づいた制度であることに注意したい。名誉毀損法と反差別は本来相性が悪いのだ。
アメリカでは、ヘイトスピーチの規制がない一方、公的存在に対する名誉毀損は「現実の悪意」が立証されないかぎり成立しない。スラップ訴訟の規制もあり、言論の自由を守る方向で一貫している。
他方、日本はヘイトスピーチ規制はないが、名誉毀損訴訟はやり放題だ。これだと反差別側が一方的に不利になる。
表現自由戦士は、ポルノとヘイトスピーチ規制には反対する一方、名誉毀損法の濫用には反対しない。名誉毀損法の濫用=スラップ訴訟こそ言論の自由を侵害するものであるにも関わらず、だ。
我々反差別側は、ヘイトスピーチ規制には賛成するが、名誉毀損法の濫用=スラップ訴訟に反対しなければならない。
初出2022年11月4日Twitter