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僕のインターネットはいなくなった
この記事の前半は思い出話です。
後半は今の気持ちです。
出会い
最初に出会ったのは1997年あたりだったと思う。世界中の情報にアクセスできることにびっくりした。当時は現在のような検索エンジンらしいものがなくて、Yahoo! のディレクトリ型検索エンジンが主流だったと思う。人間がカテゴリに合わせたコンテンツを登録し、ユーザーはその登録されたコンテンツを自分で探す。
以下のような感じ。
エンターテイメント > 漫画 > HUNTER×HUNTER > サイト一覧
世界
いろいろ見てると、同年代の人達が集まるところや好きなものを創作してる人達、プログラミング好きな人達がたくさんいた。楽しかった。
みんなが自分達でホームページ(サイト)を作っていた。
自分でも作れることがわかったので作った。
見様見真似で Perl をいじって掲示板を設置した。
自分の発信に反応があるのは純粋に楽しかった。
Yahoo! の検索エンジンに登録されたときはみんなに報告して喜んだ。
コミュニケーション
サイトに遊びに来てくれた人とコミュニケーションをとって、絵の感想をもらったり世間話をしたりした。オフ会もした。
インターネットの歩き方もいろんな人に教えてもらった。
もし苦手な人がいてもその人のサイトに行かなければいい。
文鳥をかわいがってくれてたおねーさんには苦手な人がいたみたいだけど、自分から関わろうとしていなかったしケンカすることもなかった。
文鳥には苦手な人はいなかったのでみんなとなかよくしてた。
クラスメイトとは接続料が定額の時間帯を利用してテキストチャットをした。いわゆるテレホーダイの時間。
生命とは何かとかデカルトの思想がどうのとか、よくわかんない話をした。
翌朝には学校で普通に「おはよ〜」って言ってた。
インターネットには楽しいしかなかった。
SNSの台頭
そうしているうちに SNS が出てきた。
どうでもいいことが書かれていた。
「どこで遊んだ」とか「何食べた」とか。
「お風呂行ってくる」に対して「いてらー」「録画」とか。
勝手に人の入浴を録画するのは犯罪。
みんなの何気ない日常ややりとりを眺めるのは楽しかった。
知らない人や勉強会で会った人とゆるくふわっと繋がる。
インターネットは牧歌的で穏やかで平和だった。
もちろん悪いことをする人はいたけど、目立ったケンカとかは見えなかった。Vim と Emacs、きのこたけのこでケンカはしてた。
こういう世界がずっと続くと思ってた。
普及と変化
そこからさらにインターネットが普及していろんな人に使われるようになった。病気が流行ったり戦争が始まったり世の中が不穏になってきた。
何だかケンカや悪口が目につくようになってきた気がする。
陰謀論や詐欺も悪化してきたように見える。
あれ?未成年の頃の文鳥はこれで世界のみんなが繋がってなかよくなって平和になると思ってた。大人になってからもお友達が増えるふしぎなツールだと思ってた。でも実際は真逆だった。文鳥の頭がお花畑だった。
いろんな人が集まればケンカは増えるのだった。
今は自分の都合のよい情報だけが目に入ってくる。
思考の偏りが激しくなる。
自分達は真実を知っている、知らないやつは愚かだ。
そんな考えの人が可視化されてきたのはつらい。
いま
じゃあ世の中のこの流れは変えられるのか。
たぶんもう無理なんだろう。
文鳥が愛していた牧歌的で穏やかで平和で楽しいインターネットは戻ってこない。悲しいけど。
じゃあこのままインターネットと距離を置いて生きるか?
それも難しい。
そうすると自分の意識や行動を変えるしかない。
昨日 magnoliak さんと「コミュニティのよさ」「人との繋がりのすばらしさ」とかについておしゃべりした。
magnoliak さんは「いま」をポジティブに捉えていた。
文鳥は悲観的になっていたけど、お話しているうちに「インターネットは変わっても人との繋がりは変わらないんだな」「いまを楽しむって大切なんだな」って思えた。
嫌なことを避けるために楽しいがなくなるのはただの損失。
これから
自分の好きだったインターネットを自分でまた作ればいいのかもしれない。
嫌なことをしてきた人との関わりを絶って、陰謀論とか嫌な争いはなるべく目に入らないようにして、でもそういう現実もあるんだって受け入れて、犯罪やトラブルに巻き込まれないよう啓蒙活動して、楽しく過ごせる人達となかよくしていく。
そう考えたらインターネットの楽しさは今も昔も変わらない気がしてきた。
今年はインターネットともコミュニティとも少し距離を置いちゃってたけど、次の年はいろんな活動をしていきたい。
本当はやりたいこともいっぱいある。
これからも文鳥と一緒に遊んでいただけたら本当に嬉しい。な!