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コンバージョン率を上げたい?なら下げてる要因をまず考えよう
皆さんこんにちは。
ギャプライズ鎌田(@kamatec)と申します。
先日以下のようなツイートをした所ちょっとだけ盛り上がりました。
CV率の話しをするとき、この図を使うことがある
— 鎌田@コンバージョンの魔術師 (@kamatec) June 2, 2020
CVする人の中にも2種類いて、サイト内の施策で動かせるのは②だということ。
CV率をあげるときには「動く人」を増やすよりも「動きたくても動けなかった人」を動けるようにするほうが早いよ
って話しをしたりします pic.twitter.com/XaoebSFA39
そこで今日はこの「コンバージョン率(以下CV率)」というものについて深く掘り下げてみようと思います。
ではまず最初に一つ質問です。
皆さんのWebサイトにおけるCV率は何%でしょうか?
おそらくですがメディアなど閲覧自体が目的のサイトを除き、何かしらCVポイントがあるサイトであれば1%~2%、高くても10%とかではないでしょうか。
つまりどんなに良いサイトでも90%以上は何もリアクションせずに帰っていくわけです。
でもこれって冷静に考えると少し変ではないでしょうか?
フラッと立ち寄るようなサイトならいざ知らず、多くのユーザーは検索から訪問、つまり目的を持って訪問してくるわけです。
にも関わらず90%以上は何もアクションしないんです。
スーパーであれば、100人のお客様が来て90人は何も買わずに帰るというのはちょっと考えづらいですよね。
ただ例えばこの100人の中に従業員や仕入れ業者もカウントしていたらどうでしょう?
この人たちは絶対に買い物しないわけですが、CV率の分母には入ってしまいますし、それだけでCV率は悪化するわけです。
例えばこれと同じようなことをやってしまっているのがWebサイトにおけるアクセス数です。
このようにCV率に潜んでいるノイズをとり除き、本当に追うべき数字を理解し、正しくCV率をあげようというのが今日のテーマです。
1:データの中に潜む「CVしない人」を理解する
2:するつもりだったのに出来なかった人を動かす
3:悩んで動かなかった人を動かす
このようなステップで解説していきます。それではいってみましょう。
データの中に潜む「CVしない人」を理解する
CV率を上げる前にまず「絶対にCVしない人」を把握します。では絶対にCVしない人というのはどんな人なのか?
BtoBサイトでの例をあげてみましょう。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/35022939/picture_pc_05f8b6ec7ed50aac669d5719893ae84d.png)
こちらは私が所属する会社で取り扱っているSimilarWebのサービスサイトです。
CVのポイントは無料版の登録です。
このサイトにも「絶対にCVしない人」が潜んでいるのですが、その前にまずは「CVするユーザー」がどんな行動をしているのか見てみましょう。
以下は実際にCVした人がどこをクリックしているのかということを表したヒートマップです。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/35023317/picture_pc_1a60e14b6e78b5968a0b3db7b7ba0bf6.png)
ナビゲーションにはほとんど目もくれず、左側のフォームにクリックが集中しているのがわかります。
では次に「CVしなかった人」のヒートマップを見てみましょう。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/35023368/picture_pc_3da1db484d506a1cbae0b274cc476a1b.png)
ナビゲーションと合わせて右上のボタンにクリックが集まっているのがわかります。
実はこれ「アカウントをお持ちの方はこちら」というボタン、つまり「すでにSimilarWebを使っている人」なのです。
ちなみにこのサイトでは訪問者の15~20%程度が既存ユーザーとして紛れ込んでいます。
既存ユーザーが紛れ込む事自体は問題ではありません。
問題はこれらのユーザーをCV率の分母に含めることで、CV率が薄まってしまうことにあります。
ちょっと計算してみましょう。
このサイトの既存ユーザーを含むCV率が5%だったとします。ここから既存ユーザー20%を分母から除くと、CV率はいくつになるでしょうか。
答えは6.25%です。
つまり絶対にCVしないユーザーによって1.25%もCV率が薄められてしまっていることになるのです。
これではいくらCV率を改善しようとも既存ユーザーが増えるほどCV率は悪化してしまい改善指標として追いかけることは出来ません。
このような例はBtoBだけではなくBtoCでも発生します。
皆さん「食べログ」は見たことがありますか?おそらく一度はあるのではないでしょうか。
食べログは大きく分けると
お店を探すとき
目的のお店に行くとき
2つの使い方が想定されます。このうち事業者サイドにとってCVは「予約」でしょう。
本来CV率は「お店を探しているユーザーが何%予約するのか」を見たいはずです。
しかし実際のアクセスにはすでにお店は決まっていて、「地図を見たいだけ」というユーザーも相当数混ざっていると思います。
このようなユーザーを混ぜて見ていては、いつまでたっても本当のCV率なんて見えません。
おそらく食べログではこのようなユーザーを除外して見るために、UI上でも以下のような工夫をしているのではないでしょうか。
食べログ店舗トップの「地図」ボタンが素晴らしい
— 垣内勇威|AIアナリスト (@yuikakiuchi) February 12, 2020
当日行き場所を確認するユーザが瞬間的に押せて使いやすい
さらに素晴らしいのは、地図だけ見るユーザをデータから除外できること
店舗を選ぶユーザ行動だけに絞って分析できるようになる
データを綺麗にするために、UI上でも工夫できる好例だ pic.twitter.com/CBcVxZ5lQA
このようにCV率を見るのであれば、その前にCV率を薄めている要因を排除しなければ、指標として扱うことが出来ません。
上記に挙げた例以外にも、
・必要以上にばらまいているディスプレイ広告
・アクセスの分母にオウンドメディアが含まれている
このあたりでもCV率が低く見えているケースがあります。これでは下手をすると「頑張れば頑張るほどCV率が下がる」ような状態になりかねません。
CV率を見る場合には「CVしないユーザーをセグメントして取り除く」「新規ユーザーがメインの検索広告に限定する」などして見るようにしましょう。
ここまでがCV率を改善する前の下準備です。
CVするつもりだったのに出来なかった人を動かす
サイトには「絶対にCVしない人」もいれば「サイトに来る前からCVすることを決めてる人」も一定量います。
BtoBであれBtoCであれ、何かモノを買うときに純粋にWebサイトの情報だけで決断することは少ないのではないでしょうか。
先程例にあげたSimilarWebのサイトを見てみましょう。以下のデータをご覧ください。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/35089930/picture_pc_628790d041e6488dac59311e2831992a.png)
ボタン上の数字は「訪問してからサイト内のボタンを押すまでに掛かった秒数」を表しています。
これを見るとグローバルナビのボタンを押すまでにかかった平均が52.5秒。対してCVポイントである「無料版を試してみる」というボタンは48秒。
グローバルナビよりもCVボタンのほうがクリックするのが早いのです。つまり多くのユーザーは訪問してから一直線でCVしているということです。
このように、「訪問者が成し遂げたい目的」を適切に配置してあげれば、すぐにCVするということは少なくありません。
以下の調査でも「BtoBサイトCVの58%はトップページ→フォーム→CVという直行ルートにて獲得している」とありますが、BtoBサイトでは特にこの傾向が強いようです。
このようにすぐにCVするユーザーがいる一方、皆さんこのような経験もあるのではないでしょうか?
・買おうとおもったのに、在庫がなくて買えない
・買いたい商品があったが、クレジットカード登録が面倒くさくなってやめる
・資料が欲しいだけなのに、サイト上にお問合せしかなく営業TELがかかってきそうなのでやめる
「CV率をあげたい」と思っていながら、実は自分たちで「CV出来ない/したくない」要因を作ってしまっているケースは少なくありません。
CV率を上げたいのであれば、動くかどうかわからないユーザーを頑張って動かすよりも、このような「動きたくても動けなかった」ユーザーを動かすほうが先決です。
では例えば「買おうと思ったのに、在庫がなくて買えない」という状況でどうやってCVまで持っていけばいいのでしょうか?
ZOZOTOWNであれば、在庫切れには以下のようなCVポイントを別に設置しています。
先日「商品在庫切れのページには再入荷のお知らせをLINEで受け取る」ボタンを設置したらいいんじゃないかとツイートしたが、僕が思いつくようなレベルのことは大体やられてるわけです pic.twitter.com/eY9szS0pLL
— 鎌田@コンバージョンの魔術師 (@kamatec) September 20, 2020
ユーザーがCVするポイントとサイト上のCVポイントがズレている場合、ユーザーの期待値に合わせてCVポイントを作り変えることも必要です。
元々ユーザーが持っている目的を覆しWebサイトのコンテンツによって説得し、企業側の理想とするCVポイントに導くというのは甘い幻想だと思ってこのタイミングでは一旦置いておきましょう。
ユーザーニーズを理解した上で、そのニーズを速やかに実現出来る導線を設置する。
これが「動きたいのに動けなかった」人を動かすポイントです。
悩んで動かなかった人を動かす
1:データの中に潜む「CVしない人」を理解する
2:するつもりだったのに出来なかった人を動かす
この2つを実施するだけで、実は想定していたCV率に到達するなんていうこともありますが、ここからさらに上を目指す上では迷っている人も動かしていかなければなりません。
ここを動かすのはかなり難易度が高く、様々な要素を考える必要があります。
ターゲティング・集客方法・USPの整理、場合によってはサービスの価格やラインナップを変える必要すらあります。
僕の場合は昔ランディングページ制作のディレクターをやっていたので、このあたりの難しさは嫌というほど感じてきたのですが、ランディングページを作る工程というのは「迷っている人をいかに動かすか?」ということを学ぶには最高の教材だと思います。
制作プロセスに関しては、以下のnoteに超丁寧にまとまっているので、こちらを読んで頂くと如何に考えるべきポイントがあるかというのが分かっていただけるかと思います。
僕からは1点だけ、比較的即効性のある部分について触れておこうと思います。それが
「悩んでいるユーザーの背中を押せ」
つまり「動くかどうか迷っているユーザー」の中でも結局は「CVに近いユーザー」を考えろということです。
具体的にはどういうことか?
ホテルやチケット予約サイトでよく見る「○○人が見ています」という表記が代表例です。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/35165185/picture_pc_c1fefa947dcd2fbeecd48b628cc52ecf.png)
皆さんが連休中に泊まるホテルを探しているときに、この表記が出てきたらどう思うでしょうか。
「もしかしたら他の人に取られてしまうかもしれない」
こんな風に思うのではないでしょうか?これによって後回しにしようと思っていた決断が後押しされ、CVに直結するのです。
これ以外でも、単品通販における「返品保証」や、ECサイトにおける「カート放棄メール」などもCV直前の「悩んでいるユーザーの背中を押す」鉄板施策です。
悩んで購入の一歩手前まで来ているユーザーに「購入する言い訳」を用意することで背中を押すことが出来ます。
ただこれはあくまで背中を後押しする要素にしかならない点は注意してください。
どんなにWebサイトで頑張ろうとも、そのホテルに泊まりたいという欲求がなければいくら後押ししたところで徒労に終わってしまうのです。
まとめ
コンバージョン率とはトリックアートです。
見る角度・見る人によって姿形はカンタンに変わります。
是非皆さんも数字のトリックに騙されず、本当に追うべきユーザーと数字を追ってほしいと思います。
最後ぺこぱ風にまとめたいという欲が出てしまい、変なまとめになりましたが、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
それではまた次回。
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