秋華賞 傾向と対策
2024年 チェルヴィニア
人気構成:やや2強
1人気2.3倍 チェルヴィニア
2人気3.9倍 ステレンボッシュ
3人気6.9倍 クイーンズウォーク
4人気13.5倍 ミアネーロ
5人気14.6倍 ボンドガール
オークス上位に2頭が休養明けで2強人気を構成。休養明けで特殊人気を構成できているように、春からの大きな勢力変更もない。3人気もオークス4着馬になっていた。
勝ったのはオークスから連勝のチェルヴィニア。勢力変更がない状態であれば最先着カードがいきてくる。ステレンボッシュはオークスより人気が楽になったものの3着になってしまった。阪神JF→桜花賞→オークス全て連対しているのでやや早熟感が出てしまったのかもしれない。対してチェルヴィニアは桜花賞休養明け大敗、オークス勝利と後から良くなってきた馬だったこともポイントになりそうだ。
2着に食い込んだのは、オークスに出走していない紫苑S経由のボンドガール。1人気3着後で軽く凡走した後だった。オークス出走馬中心のレースでも紫苑Sが絡んでくるのでローテーション的にはこちらがいいのかもしれない。ローズS組は最先着が4着に来たラヴァンダ。ローズS8人気7着からの巻き返しだった。ローズS上位組(1・2・4着馬)が全滅しているのでローズS経由はあまりよくないのかもしれない。
2023年 リバティアイランド
人気構成:超集中型
1人気1.1倍 リバティアイランド
2人気12.9倍 ハーパー
3人気13.0倍 マスクトディーヴァ
4人気18.6倍 コナコースト
5人気26.5倍 ドゥーラ
阪神JF、桜花賞、オークスと全て制覇しているリバティアイランドが休養明けで参戦し超集中人気。トライアル結果も何ら影響なく超集中人気になっていたことから新興勢力の台頭もないような状態だった。結果も1着。
2着にはオークスなどクラシック未出走でローズS勝馬のマスクトディーヴァが入っている。ローズSではオークス10人気4着・5人気8着馬が出走していて上位人気になっていた。アナポジションではあったが、それらを倒しての出走だった。今回は3人気でメンバーアップと二重苦だったが、連続好走した。
マスクトディーヴァはデビューが1月と遅め。2戦目で忘れな草賞が5人気7着。その後6月に平場を買って、休養明けでローズS参戦と遅れ気味にクラシック戦線に入ってきた馬だった。なおこのローズSで初重賞1人気で2着に入ったブレイディヴェーグはエリザベス女王杯で1人気で勝っている(秋華賞3着のハーパーはエリザベス女王杯3人気3着)。リバティアイランドが抜けてしまった牝馬クラシック戦線だったが、こういう年は、やや遅れ気味のクラシック参戦組の方が成長分を加味しても面白いのかもしれない。過去の抜けたクラシック馬がいるときは新興勢力が台頭している。
3着にはオークス2人気2着のハーパー。リバティアイランドの人気が抜けていて、春の勢力が維持されていたので2人気でも辛い人気ではなかったと言える。マスクに2着を譲ってしまったところに成長が止まった感が出てしまっていた。続くエリザベス女王杯は3着までになっている。その後は全く好走できていない。
4着にもオークス15人気3着のドゥーラ。1人気へ辛い人気変動したクイーンSでは完勝していて成長したところを示していた。
5着にはNHKマイル5人気6着だったモリアーナ。紫苑Sでオークス14人気6着馬を倒しての参戦だった。この年の場合、ローズSの方がメンバーが揃っていた感があり、掲示板が精一杯だった。
2022年 スタニングローズ
人気構成:4強型
1人気3.0倍 スターズオンアース
2人気3.3倍 ナミュール
3人気5.7倍 スタニングローズ
4人気6.7倍 アートハウス
5人気14.6倍 プレサージュリフト
✴︎ローズSは中京2000mで開催
オークスの1〜3着、7着馬が集結。東西トライアルも1人気でオークス上位馬が完勝したので上位人気をオークス出走馬が独占。
1人気は桜花賞→オークスと2連勝で休み明けのスターズオンアース。オークスから見ると、10人気2着のスタニングローズが3人気になっていたので1人気でも楽な人気だった。しかし、結果は3着。2人気のナミュールも同様にオークスからみてそれほど人気は辛くなかったが休養明け2着と勝ちきれなかった。
勝ったのは、そのオークスからみて辛い人気になったスタニングローズ。前述2頭との差は、休養明けでトライアルの紫苑Sを1回使っていたこと。そこでは辛い1人気で完勝し充実度が継続していることを示せていた。
4人気アートハウスは5着。こちらはオークス2人気7着後にローズSを1人気1着していてトライアル勝っていたが馬券圏内には入れなかった。この年のローズSはオークスからの出走馬が少ない珍しい年だった。紫苑Sはオークス出走馬が5頭(他に除外馬1頭)いて紫苑Sではいずれも上位人気になっていた。春の有力勢力がどのレースに回っていたのかも重要になりそうで、実質的なトライアルレースなっていたかもポイントになりそう。
2021年 アカイトリノムスメ
人気構成:集中型
1人気1.9倍 ソダシ
2人気5.6倍 ファインルージュ
3人気7.3倍 アンドヴァラナウト
4人気8.9倍 アカイトリノムスメ
5人気10.6倍 ユーバーレーベン
✴︎ローズSは中京2000mで開催
桜花賞馬で、オークス1人気8着で休養明けの札幌記念勝ち後のソダシが1人気。3歳馬では特殊なローテで人気を集めたものの10着に凡走した。あまり特殊なローテで人気を集めた時は疑ってかかりたい。
この年は、オークス1人気8着だったソダシが1人気だったこともあって、あまりオークスの評価が低かった年といえる。オークス勝ち馬のユーバーレーベンは5人気と低評価だったことが物語っている(結果11着)。
勝ったのはオークス2人気2着で休養明けのアカイトリノムスメ。桜花賞ではソダシ0.2差の4人気4着。オークスは2人気と辛い人気変動になったが2着。今回休養明けで4人気と実績がありながらも楽な人気ポジションだった。
2着には、桜花賞8人気3着→オークス4人気11着だったファインルージュ。トライアルの紫苑S2人気1着からの出走だった。オークスの評価が低かったので、ソダシ同様にオークスの着順に関係なく人気を集めた。人気先行気味だった分の2着か。
3着には、春のクラシック不在で条件戦から上位人気でローズSに出走してきた3人気のアンドヴァラナウト。オークス評価が低い年は食い込んできやすいのかもしれないので、そういう年は新興勢力馬にも警戒が必要か。
2020年 デアリングタクト
人気構成:集中型
1人気1.4倍 デアリングタクト
2人気6.7倍 リアアメリア
3人気15.4倍 ウインマイティー
4人気16.0倍 マルターズディオサ
5人気17.2倍 ウインマリリン
✴︎ローズSは中京2000mで開催
2冠馬デアリングタクトが休養明けで出走。オークスですでに集中人気で勝っている状態でトライアルを使わずに圧倒的な人気に。春の勢力関係そのままで新興勢力不在と判断されていた年だった。ここも完勝した。
2着には10人気マジックキャッスル。オークスではデアリングタクトと0.4差の14人気5着で僅差実績があって大穴ポジションだった。大穴でいられたのは、休養明けの紫苑Sで6人気4着と目立たない結果だったからか。すでにトライアル全無視でデアリングタクトの人気が抜けているのだから、トライアル結果はあまり重要視しなくて良かったのかもしれない。実際に、ローズSを勝ったリアアメリアや、紫苑S勝ったマルターズディオサは秋華賞では凡走している。
3着には9人気ソフトフルート。春のクラシック不在の夏の上がり馬。条件戦中京2000m1人気1着からの出走だった。この年からローズSは中京2000mで実施されていて、そのタイムと遜色ない好タイムで勝った後だった。また、新興勢力も春のクラシック勢力で1頭だけ抜けているような年は食い込みやすくなるのかもしれない。
2019年 クロノジェネシス
人気構成:分散型
1人気3.5倍 ダノンファンタジー
2人気5.6倍 カレンブーケドール
3人気6.5倍 エスポワール
4人気6.9倍 クロノジェネシス
5人気9.6倍 コントラチェック
オークス勝ち馬不在、紫苑Sではオークス出走していない馬が勝ってオークス2着馬敗戦、オークス3着馬は休養明けで人気は分散状態になった。
1人気は桜花賞1人気4着→オークス4人気5着で休養明けローズSを1人気で勝ったダノンファンタジー。結果は8着。ローズSではオークスの上位馬不在でメンバー的に薄めのトライアルだった。今回メンバーアップで1人気で辛い形になったのだろう。
2人気は、オークスで12人気2着後に紫苑Sで1人気3着と軽い凡走していたカレンブーケドール。結果は2人気2着。人気なりに走った。2022年のスタニングローズと同じように、オークス大穴激走→紫苑S人気好走していると本番も勝ち負けになるのかもしれない。こういうローテーションの場合には充実度を重視したい。とはいえ、紫苑S負けて勝ち馬よりも人気だったので人気先行感もあったので2着までだった。秋華賞後のジャパンカップでは5人気に人気を落としたところ2着に入っているように、オークス大穴激走馬で秋のトライアルで人気で好走した場合は、そのシーズンのG1では何かしら絡んでくると考えていいかもしれない。
3人気はエスポワール。条件戦からの上がり馬で重賞初挑戦。さすがにメンバーアップで上位人気には応えられず9着に終わっている。
勝ったのは4人気クロノジェネシス。桜花賞3人気3着→オークス2人気3着の実績があって4人気は走りやすい人気だったといえる。1人気はオークス5着馬、2人気はオークスで大穴激走馬、3人気に初重賞の馬だったのだから順当勝ちだろう。休み明けで実績馬の人気が楽になるならトライアルに出ない方がいいのかもしれない。ダノンファンタジーのようにトライアル勝って人気を負ってしまうこともあるので。
3着は桜花賞7人気2着→オークス5人気12着→休養明けローズS4人気4着で10人気に人気を落としたシゲルピンクダイヤ。ローズSではやや人気先行気味に人気していて軽く負けて大きく人気を落とした。1人気のダノンファンタジーと実績でも大きな差はなかったので(ローズSでも0.4差と僅差)、春実績があってトライアルを軽く負けて大きく人気を落とす馬にも警戒が必要か。
2018年 アーモンドアイ
人気構成:超集中型
1人気1.3倍 アーモンドアイ
2人気7.3倍 ラッキーライラック
3人気14.0倍 カンタービレ
4人気14.3倍 サラキア
5人気15.6倍 ミッキーチャーム
オークスを集中人気で圧勝し2冠になっていたアーモンドアイが休養明けでも再び圧倒的な人気。結果は1着。トライアルでも新勢力の台頭がないからこそ圧倒的な人気になるのだから、こういう場合は逆らえないか。春上位争いをした2人気のラッキーライラックも休養明けで2人気だった(結果9着)ので、この点からも勢力図に変更がないことが表れていたといえる。
2着には、条件戦3連勝中で5人気のミッキーチャーム。春のクラシック戦線には不在で初重賞での出走だった。春の時点での1頭が抜けた状態だと新興勢力も台頭しやすいのは、2020年のデアリングタクトのときに3着に入ったソフトフルートも同じパターン。2012年のジェンティルドンナのときにも3着には重賞初挑戦のアロマティコが6人気で3着している(春は忘れな草賞で7人気4着まで、夏の条件戦を2回使っての参戦)。
2017年 ディアドラ
人気構成:分散型
1人気3.6倍 アエロリット
2人気5.6倍 ファンディーナ
3人気6.3倍 ディアドラ
4人気7.0倍 リスグラシュー
5人気8.6倍 モズカッチャン
オークス1・3着馬不在で混戦。1人気は桜花賞6人気5着→NHKマイル2人気1着のアエロリット。古馬との混合戦クイーンSを休養明け2人気で勝ってきたので変則ローテも押し出される人気に。結果は7着。同世代牝馬同士での実績や距離実績もあまりなかったので辛かったか。
2人気は牝馬ながら皐月賞に回って1人気7着、牝馬クラシックは使わずに春を終えたファンディーナ。休養明けのローズSは1人気6着だった。結果は13着。こちらも実績薄めで人気先行だったか。
勝ったのは3人気のディアドラ。春のクラシックで桜花賞では6着、オークス9人気4着とそこそこの実績があって、休養明けの紫苑Sでは1人気1着と辛い人気変動で勝利している。紫苑S2・3着馬は大穴だったので人気面では楽ではなかったと思われるが完勝した。ローズSのローテーションの馬は10頭出ていたものの勝てなかったので、紫苑Sの方がローテーション的にはよい可能性がある。この傾向は紫苑Sが重賞になって(2016年)から顕著である。ただし2020年から中京開催になっているので変化が起きる可能性も。
2着にはリスグラシュー。桜花賞3人気2着→オークス3人気5着と春に人気を集めて上位争いした馬。休み明けローズSは3人気3着後だった。ローテとしては疲労も少なく、実績がありながらも勝ちきれなかったところは、前述のように紫苑Sと比べるとローテーション的に劣る可能性もある。
3着にはローズS2人気7着から巻き返した5人気モズカッチャン。オークス6人気2着の実績馬だった。ローズSを勝ったラビットランは6人気4着になっていて、ローズSは負けた馬の方が上に来ている点も注意したいところ(ローズS2着馬も秋華賞では5着だった)。
2016年 ヴィブロス
人気構成:やや3強型
1人気2.5倍 ビッシュ
2人気3.9倍 ジュエラー
3人気6.3倍 ビブロス
4人気13.7倍 パールコード
5人気17.0倍 アヴァンセ
オークス上位馬2頭不在。オークス勝ち馬のシンハライトはローズS1人気で勝ったものの秋華賞は出走していない。そういうわけでオークス3着馬で紫苑S圧勝ビッシュが1人気になった。結果は10着。ビッシュは紫苑S圧勝したものの、人気面では実績の割に分散型の1人気で走りやすいポジションだった。G1で少し人気が抜けてしまうとまだまだだったのだろう。
2人気は桜花賞3人気1着後、休養明けのローズSでは2人気になりながらも11着に敗退しているジュエラー。結果は4着。ローズSでは桜花賞では勝っていたシンハライトが勝ったのだから11着は負けすぎだし、ここでも2人気は人気先行気味だった。
勝ったのは紫苑Sでビッシュと人気を分け合ったヴィブロス。春のクラシック戦線にはほとんど入れなかった(トライアル2桁着順)が、夏を挟んで上位人気で紫苑S2着に入って成長したところを示せた。上位2頭と離れた3人気だったので人気面でも走りやすくなったところがある。
2着には紫苑Sで2人気5着と凡走して人気を少し落としたパールコード。紫苑Sでは人気先行なところもあったので、人気が少し軽くなったここで巻き返してきた。
3着には春のクラシックではトライアル6着で乗れなかったカイザーバル。夏を挟んでローズSでオークス馬と0.1秒差で成長を示した。ローテーション的にあまりよくないのか3着までだった。
まとめ
⚫︎春の時点で1頭が抜けていると、初重賞のような上がり馬も馬券圏内に入りやすい
⚫︎オークス大穴激走馬がトライアルで人気で好走していると充実期に入っていることがほぼ確定して秋のG1戦線で買いパターンになる
⚫︎紫苑Sからのローテーションが重賞になった2006年から好調、対してローズSはやや成績が悪くなっている。ローズSからのローテーションでは巻き返す馬の方に注意した方が良さそう。ただし、ローズSは2020年から中京開催なので今後も注視する必要はある。
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