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私は虫であり、虫は私である_熊田千佳慕

1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書より~

◆経歴

熊田千佳慕(本名 熊田五郎)
日本のグラフィックデザイナー、絵本画家、挿絵画家、童画家。
『ファーブル昆虫記』などが代表作。70歳となった1981年(昭和56年)には、絵本の国際展として名高い、イタリアはボローニャの国際絵本展入選。

◆生きている絵

僕の虫の絵を見た多くの人が、「生きている」と言ってくださるんです。(中略)僕は虫を見ている時、自分も虫になって、一緒に遊んでいる。だから何時間もずっと見ているんです。(中略)
僕は七十歳の時、夢で「私は虫であり、虫は私である」という声を聞きました。僕は虫の姿を借りて自分を描いているから、自分の目も心も命も、すべてがそこへ映って、生きているものが描けるんだなって。神様が教えてくれたのです。

◆なすがまま

僕は、人生で八十代が一番輝いていたと思っているんです。新しい仕事が増えて、それまで溜めてきたものを、どんどん発散することができたし、周りに輪をつくってくれる人もできた。(中略)
虫や自然と接している時は、すごくピュアで、無心になれる。だから人生でも、小川を流れる枯れ葉のように、もうなすがまま。ぶつかりぶつかり大海へ出よう。これが自分の姿だ、と。

◆「生きる」ということ

皆さん「生きる」というと、大変なことのように考えるけれど、僕は簡単なことだと思うんですよね。毎日一膳のご飯がいただける、これが「生きる」ことだと思うんです。これを積み重ねていけばいいだけで、何も難しいことはない。

◆感想

素晴らしい絵でした。まさに「生きている」と感じました。
そして絵から無限の愛が伝わってきました。

好きなことに時間を忘れて取り組める情熱が素晴らしいことだと思いますし、それが花開いた時期が八十代であることには大変勇気を頂きました。
悲観的になることの多い現代で、八十代が一番幸せだと考えたら、多少何かに躓いたとしても「いいか」と思えてくるのではないでしょうか

そして日々在ることに感謝すること。
毎日一膳のご飯がいただけることに感謝をしながら、無心で日々懸命に生きることを積み重ねた先に道が開ける、そう教えていただいているような気がしました。

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