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鎌倉の古い地図のはなし

こんにちは!鎌倉市図書館です!
鎌倉市図書館も鎌倉市教育委員会noteに参加して、役に立ったり立たなかったり、ひょっとしたら役に立つかもしれない情報などを自由闊達に発信していきます♪
毎日の生活の中で、ふらっと立ち寄って読んでいただけたら嬉しいです。

さて、図書館では毎日様々なお問合せ(「レファレンス」と言います)が寄せられます。そんな中で、よく聞かれる「鎌倉の古い地図」についてご案内します。

「鎌倉の古い地図ありますか~?」と聞かれた時に私たちがまず思うのは、「あなたの「古い」はいつ?」

人によって見たい地図が、昭和だったり鎌倉時代だったり、いろいろなんですよね~。
さてさて、どれくらいまで古い地図は見られるのでしょうか?

そもそも、私たちが「地図」といって想像する、ちゃんと測量された地図があるのは明治以降です。

明治初期に関東地方を対象に作られた「迅速測図(じんそくそくず)」と呼ばれるものがあるんですが、これが見られるサイトがあります。
じゃじゃん!

名前は難しいけどひるまなくても大丈夫!
まずは、横浜でも茅ヶ崎でもいいですが、クリックしていただいて、鎌倉の方へずずいっとドラッグ移動してください。拡大もできるので便利です~♪

このサイトの良いところは、現在の道路(赤線)、河川(水色線)などが入っていて、明治と今とを比較できるところです。滑川って流路がほとんど変わっていないんですね~。鎌倉のいわゆる「地図」の一番古いものは、この迅速測図です

迅速測図とは、明治初期から中期にかけて行われた簡便な測量法とその成果の地図のことです。関東地方では明治13(1880)年から明治19(1886)年にかけて平野部から房総半島を対象に作成されました。
                 「歴史的農業環境閲覧システム」より

お次は、こちらもおススメ「今昔マップ on the web」

「歴史的農業環境閲覧システム」は昔の地図と今の地図を重ねて見られるのですが、今昔マップ~の方は、並べて見ることができます。どちらがお好みでしょう??
しかも、データが年代別になっているので、年代ごとの地図がみられるのもにくいではありませんか!尚且つ、データ収集を続けているので、新たに地域が追加されるのも嬉しいですね~。

そして、よく利用される住宅地図。一軒一軒まで載っている詳しい地図ですね。これが作られ始めたのは戦後のことなので、鎌倉のは昭和30年代からしかありません。明治とか大正時代の住宅地図を見せてください、といわれるんですけど、残念ながら存在しておりません。

さて、さらに昔、江戸時代の地図は?といいますと、申し上げたように鎌倉のまちなかの「地図」はありません。でも、「絵図」ならあります。
たとえばこんな感じ↓

https://lib.city.kamakura.kanagawa.jp/c1/bib/pdf10017.pdf

図書館ホームページの「探す・予約する」→「デジタル資料」で、資料の種類を「絵図・地図」にしていただくとほかにも見られます。

縮尺も何もめちゃくちゃで、位置関係がわかるだけですが、こういう絵図なら何枚か中央図書館にありますので、自由にご覧いただけます。大仏さまの顔が一枚一枚違ってたり、浜で地引網をする人の人数が増えたり、絵師さんの遊び心もなかなか楽しい♪

さてさて鎌倉ですから、鎌倉時代の鎌倉の地図というご要望もあります。でも、江戸時代だって絵図しかないんですから、「鎌倉時代の鎌倉の地図」は当然、現代になって作られた「推測地図」でしかありません。

発掘の成果や吾妻鏡など史料の記載などをもとに作られたものがあるにはあります。『全譯吾妻鏡 別巻(旧版)』(新人物往来社)の折込地図など見やすいですね。『吾妻鏡』がない図書館なら、『国史大辞典 3』(吉川弘文館)の付録地図でもいけるかな。

ただ、これらの地図が作られたときにはわからなかったこともたくさんあり、必ずしも正しいとは限りません。たとえば「甘縄にあった」という「安達邸」は甘縄神明社付近ではなく、近年の研究で今の鎌倉市役所北側付近だったことがわかっています。

鎌倉の郷土資料の中でも利用率1・2位を争う様々な地図。そんなこんなでいろいろあります。古いものは中央図書館が持っています。迷ったら職員にお声掛けくださいましね~。