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「かまくらULTLAプログラム」一人ひとりの個性や特性に応じた学びで、子どもの自立を支援

教育長の岩岡です。

「みんなちがって、みんないい」

この言葉は童謡詩人である金子みすゞの代表作『私と小鳥と鈴と』の1フレーズです。皆さんも一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

私たちは子どもも大人も、唯一無二の個性や特性を持っています。
それは「学び方」についても同様で、一人ひとりに自分らしい学び方があります。

活字ベースの学びが得意な子もいれば、音声ベースの学びが得意な子もいる。集団での学びが得意な子もいれば、個人の学びが得意な子もいる。思考スタイルも発散傾向・収束傾向と多様ですし、関心領域も様々でしょう。
生まれ持った特性や生育環境の影響を受け、一人ひとりのユニークな学び方(認知特性・学習特性)が成長に伴って形成されていきます。

学校でも、子どもたちの多様な能力や特性、興味などを引き出す「個別最適な学び」の実現に日々挑戦しています。

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(図)ユニークな個性・特性・学び方の形成イメージ

1 かまくらULTLAプログラムの着想

一方で、学びたい、何かやってみたいという気持ちはあるけれど、学校での学習になじめず、不登校あるいは休みがちになっているなど、学校に通うのがつらいと感じている子どももいます

こうした子どもたちに対して、学校や本市としても、教育相談・学習支援など様々な取組を行ってきており、それらの取組自体は非常に大切なものなのですが、そもそも学校の学びに馴染めないと思う原因となったユニークな学び方(認知特性・学習特性)に着目した支援ができていただろうか。これがULTLAの出発点です。

こういう学校に行くのが辛いと思う根っことなるような自分の特性に、劣等感や嫌悪感を感じている子どもも多いかもしれません。

しかしそんな風に思わなくても大丈夫、と私は言いたい。

そうしたユニークな学び方にこそ宝石が眠っていると思うし、唯一無二のその人らしさが埋もれていると考えます。

学校への行きづらさを抱えている子ども一人ひとりが、自分のそうしたユニークな学び方を「認識して、発揮して、ワクワクする」。そんな経験を提供することが、学校の学びに馴染めないと感じている子どもたちの将来にわたる自立・幸福の礎となるのではないか。

こうした思いから、今年度から「かまくらULTLAプログラム」を開発・実施することにしました。

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(かまくらULTLAプログラムのチラシより抜粋)

2   かまくらULTLAプログラムの基本要素

こうした理念を実現するために、ULTLAは大きく分けて2つの要素からなっています。一つは、アセスメントです。学術的な根拠に基づいて作られたアセスメントで、その人の学びの特性を言語化していきます。
しかし、特性の評価シートを受け取ったからといってそれだけでパッと人生が変わるわけではありませんので、自分らしい学びを「試す」場所、すなわち探究プログラムがあわせて必要です。
素敵な環境、ゆったりとした時間、安心してチャレンジできる「正解のない」学びの環境の中で、アセスメントの結果をヒントにしながら、自分の心が動く方向にじっくり学んでいく機会を提供します。

ULTLAプログラムでは、アセスメントなどを通じて自分の個性や特性を自ら把握しながら、それを生かして探究的な学習に取り組み、好奇心や情熱をカタチにすることに喜びを感じ、自信と意欲をもって学びに向かうことができる力を育むことを目指します。

プログラム当日は、鎌倉という地域特性を生かした題材や資源を活用し、例えば「海」をテーマに、魚や食、環境といった切り口でそれぞれの専門家・通称「ULTLAナビゲーター」と共にまちに出たり、少しマニアックなことを掘り下げたり・・・。

「正解」に向かってではなく、「自分の心のコンパス」を頼りに、自身の特性や興味関心を生かして自分らしい学びに没頭できるよう、プログラムをデザインしています。

プログラムの詳細、参加要件などは、特設サイトを参照ください!

皆さんもぜひ一度、ULTLAの世界をのぞいてみてください。

※ULTLAは「Uniqueness Liberation Through Learning optimization and Assessment(学びの最適化と評価による個性の解放)」の略。

(広報かまくら 令和3年10月1日号 掲載文に加筆)