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復刻菓子「はちまんじゅう」~おいしさの裏側~

鎌倉紅谷は2024年、創業70周年を迎えました。これを記念して「雪ノ下一丁目」と「はちまんじゅう」、2つの“復刻菓子”を販売しています。
今回はその中で、「はちまんじゅう」の企画の裏側についてご紹介します。

「クルミッ子」の生地をベースにしたバター香る生地で、北海道産小豆を100%使用したこし餡を包んだ「はちまんじゅう」は、和と洋の要素が融合した鎌倉紅谷ならではのおまんじゅうです。
→「はちまんじゅう」の詳細はこちら

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洋菓子職人の2代目が開発し、2020年まで過去20年以上にわたり鎌倉紅谷のお菓子としてご愛顧いただいた「はちまんじゅう」。復刻へあたっての想いや製造のポイント、デザインのこだわりについて開発メンバーに取材を行いました!


復刻にあたっての想い

発売当初は「鎌倉まんじゅう」という名称で販売していました。現在の3代目にとっても幼少期から親しんでいた思い入れのあるお菓子で、バター生地とこし餡の相性に加え、クルミを一緒に食べた瞬間のおいしさは“至福のひととき”だったといいます。

発売当初の「鎌倉まんじゅう」。
パッケージには源頼朝がデザインされていました。

その後、2008年に3代目が代表取締役に就任し、ブランドリニューアルを行ったタイミングで商品名を「はちまんじゅう」に改名。パッケージデザインも一新しました。
以降も、地元鎌倉の皆様をはじめ多くの方々に親しまれてきましたが、2020年6月に製造スペースの関係で惜しくも終売とさせていただきました。

2008年のブランドリニューアル後の「はちまんじゅう」。
商品名とパッケージデザインを一新しました。

そして2024年、創業70周年を迎えるにあたり、鎌倉紅谷のお菓子をご愛顧いただいているお客様へ感謝の気持ちをお伝えするとともに、これまでの歴史を感じていただきたく、復刻することが決定。終売後も、多くのファンの方々より復刻を希望されるお声があり、そして社内でも復刻に向けた声があがっていたことが大きな後押しとなりました。

製造の裏側

復刻が決まり、いざ製造を始めるとなると、終売前と比べて原材料の調達や製造時の課題がいくつもありました。なかでも開発担当者が注力したことは、配合と製造工程の見直しだったといいます。

「はちまんじゅう」に使用しているバター生地は、温度や湿度で状態が変わりやすく、同じ配合でも日によって焼いた後に生地が割れてしまうことがあります。そのため、配合や水分量、焼成温度、焼成時間を調整したり、都度生地を練り直したりと、“バランスの良い状態”を追求していくことに苦労したそうです。

ベストな生地づくりに向けて、今までの知識や経験に基づき予測を立てながら、半年程かけて何度も試作を行いました。生地の水分量やオーブン庫内の温度・湿度など、少しずつ段階を踏みながら調整をしていったことで、焼きあがった時にきれいな表面に仕上がるように。また、餡の水分を逃げにくくすることで生地と餡の一体感が生まれ、和と洋の素材が織りなす味わいを一層深く感じていただけるようになりました。

さらに、このなめらかな表面には、今回の復刻と改良を機に可愛らしい「リスくん」の焼印を入れることにしました🐿実は、商品そのものにリスくんが描かれているお菓子は今回が初めてです!復刻前、表面にのせていたクルミは、おまんじゅうの裏面に入れることで受け継ぎました。あんこの甘さに対してクルミの程よい渋みとカリッとした食感がアクセントになっており、「はちまんじゅう」ならではのこだわりポイントです♪

復刻前の「はちまんじゅう」
リスくんの焼印が可愛らしい復刻版「はちまんじゅう」。
生地の表面がなめらかであるからこそ映える焼印です。
アクセントのクルミは裏面に入っています。

ここで少しだけ製造時のポイントをご紹介!

【バター生地の仕込み】

材料が混ざりやすくなるよう、入れる順番や量、混ぜる速度などを職人の目で確認しながら調節しています。

一晩寝かせて馴染ませたバター生地。

こし餡を包むバター生地の歴史は長く、「鎌倉まんじゅう」の頃に、鎌倉紅谷創業時(1954年)から販売しているサブレ「鎌倉だより(プレーン)」(当時のいちょうサブレ―)の余り生地を使って製造していたことが始まりです。この生地は、現在の「クルミッ子」の生地のベースにもなっています。
その後、それぞれのお菓子の生産数が増えたことや製造工程が変更になったこともあり、現在はお菓子ごとに別々に生地を仕込んでいますが、長年鎌倉紅谷のお菓子の基盤となっている大切な味です。

【包餡・成形】

バター生地でこし餡を包む作業です。機械に入れて包餡を行う前に、一晩寝かせたバター生地を再度こねます。その都度練り直すことで焼いた後の生地の割れを防いでいます。

機械で包餡した直後の様子。
手作業で形を整えた後、クルミをのせていきます。

【焼成】

その日の気温や湿度によって焼成温度や焼成時間、蒸気のコントロール等、微調整しています。

きれいに焼き上がりました✨

【焼印】

「リスくん」の焼き印を押したら完成!どの製造スタッフが担当してもきれいに焼印が押せるよう、機械の高さを調節しています。

パッケージデザインのこだわり

復刻に合わせてパッケージデザインも一新しました。「はちまんじゅう」のふんわりとした焼き色や柔らかな食感を、背景に水彩を重ねることで表現しています。担当したデザイナーは、お菓子の特徴を踏まえ、和と洋が融合した唯一無二の印象を目指してデザインしたといいます。

先代から受け継ぎ歴史を紡いできた「はちまんじゅう」は、素朴で優しい甘さはそのままに、さらにおいしさを追求し改良を加えることで、新たに生まれ変わりました!
お菓子のおいしさとともに、鎌倉紅谷の“歴史”と“進化”を感じていただけましたら幸いです。

鎌倉紅谷公式サイト(https://beniya-ajisai.co.jp/)内「お知らせ」では、商品の販売情報についてご案内しています。
「はちまんじゅう」の販売については、以下よりご確認ください👇
https://beniya-ajisai.co.jp/news/post_news/14184/