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【地方政治】地方に生きるからこそ、政治に関わるべき理由

声を形に、新しい日南。

7月27日は「政治を考える日」だそうです。

「誰が政治をやっても一緒」、「私は政治にはかかわらないようにしているから」

地域を巡っていると、そんな声をたまに聞きます。
しかし地方に生きる人こそ、もっと政治にかかわらなきゃいけないのです。

その理由を4つに分けて説明します。


国民負担率は約5割 自分が払ったお金に関心を持とう

記者時代、3月になると当初予算の発表の記事を書くのに忙しくしていました。
当初予算とは、行政が1年間に使うお金をあらかじめ決めておいたものです。予算の資料は膨大ですが、それらを読めば行政が今後1年間でどんなお金を何に使うのか、どんな目玉事業があるのかが理解できます。
予算規模は自治体によってまちまちですが、日南市の場合はだいたい300億円です。
これだけの額が皆さんの財布から税金として徴収されて自分たちが住むまちの事業に使われているのです。

日本の国民負担率は、1970年には24.3%でしたが、2022年には44.6%に上がっています。
国民負担率は、税や社会保障がどれくらい皆さんの負担になっているかを表しています。単純に言うと、皆さんの財布のお金の半分は政府に徴収されているということです。
これだけ厳しい負担を受けているのですから、その使い道についてもしっかりと目を配ることが大事だとは思いませんか。
もしかしたら、皆さんが知らないだけで、めちゃくちゃな税金の使い方がされているかもしれません。

山梨県市川三郷町は、2023年9月に「財政非常事態宣言」を発表したことで話題になりました。
高齢化や人口減少で税収の落ち込みなどが続き、このままの財政運営を続けると同町は、7年後に財政が破綻するおそれがあるそうです。
住民向けの説明会では、「今までいったい何をしていたのか」などと、自治体に対する怒りの声が出ました。

でも厳しい言い方をすると、行政の財政指標は毎年、公表されていたわけですし、住民や住民が選んだ市議会議員だって、それをいつでもチェックできる立場にいたわけです。

もちろん、自治体財政を理解するのは難しいでしょうが、難しいからといって、現実が変わるわけではありません。
結局、政治に無関心なばっかりに、財政再建のために自分たちの将来負担が増えていくことにもつながります。
だからこそ、しっかり政治について理解をしておく。もしくはちゃんと行政をチェックできる市議会議員を選ぶことが大事なのです。

政治の衰退が経済の衰退も招く

地方政治の良しあしによって、地方の経済主体である企業や消費者も大きく影響を受けます。
私が過去に取材した例で言うと、三重県津市に中勢グリーンパークという公園がありました。
だだっぴろいスペースに、遊具だけが置いてある場所でしたが、週末になると親子連れがたくさん訪れることで有名でした。
一方で、日よけがないため直射日光に当たることや、飲食のスペースがないなどの不満の声がありました。
津市は、地元の企業体でつくったグループと連携。公民連携事業として公園を新たに整備し、飲食店などが出店できるようになりました。

公園や図書館など、集客効果を見込める行政施設に、民間企業も入ってきてもらう。田舎ではそもそも、人が集まるところ自体が貴重なので、こういう公民連携は地域経済の活性化に必要なのです。

しかし、いくら民間側にやる気があっても行政にやる気がなければ、事業はうまくいきませんし、仮に予算がついたとしても議会で否決される可能性もあります。

だからこそ、地域経済の発展を考える市長や議員を生み出していくことが地域の人たちにとっても大事なのです。
もちろんそれは、政治によって自分たちが甘い蜜を吸いたいという、我田引水的な発想ではなくて、地域全体の発展を考えたものではないといけません。

無関心は「現状維持」を選択している

「政治にかかわらないのはうちの家訓だから」「誰がやっても一緒」という言葉は結局、あなたが不満を持つ既存の政党や政治家を喜ばせているだけです。「現状維持」という政治選択をしているのです。

そして、これだけ変化の激しい時代において「現状維持」を選べば、間違いなく地方は衰退していきます。

この前、サンデーモーニングに孫正義さんがコメンテーターとして初登場していました。孫さんによると、AIの能力はこの4年間で1000倍にまで進化を遂げたそうです。そして、これからの12年で、AIの能力は1000倍×3で10億倍になるそうです。

これだけ行政サービスが多様化し、人手不足も深刻化する中で、AIなどの技術を導入して省力化を図っていくことは必須になっていきます。 

だからこそ、変化に対応できるスピード感のあるリーダーが地域に求められているのです。
もちろん、今の政治に満足していて「現状維持」を選ぶのはよいでしょう。しかし、私はこの数カ月、日南市のいろいろな人に話を聞いて、「今の市政に満足している」という声はほとんど聞いたことありません。
それなのに現状維持を選ぶというのは、「不満足な政治の続行」を選んでいることにほかならないのです。

国政より迅速に地方政治は変えられる!

「今の国政の政治とカネの問題に飽き飽きしている」といった趣旨の言葉もよく聞きます。
市民目線から言えば、国政における政治家たちの働きが、「市民のために動いている」ようには見えていないのです。

首相はあくまで与党の代表であって直接、住民に選ばれるわけではありません。しかし、自治体の首長や地方議員は住民が投票によって直接選ぶことができます。
だからこそ、国政のような停滞感を感じることなく、ダイナミックに政治を変えることができるのです。
「地域のリーダーが変わればまちが変わる」。これは私が記者会見で伝えたメッセージですが、言い換えれば、「まちを変えたければ地域のリーダーを変える」のが一番ですし、実際にそれは4年に1回、投票行動を通じて実現できるのです。

政治家もわかりやすく伝える工夫を!

以上が、私が考える地域の人たちが政治にもっと興味を持った方がいい理由です。

私も記者時代、投票率について考える若者向け座談会を企画したり、市の課題に対する有権者の声を聞いたりして、記事を書いていましたが、結構、政治について実名を出して語ってくれる人って少ないんですよね。

なので、自然とこちらも、政治リテラシーが高い住民にお願いしてしまいがちに、、、

という裏事情はさておき、結局、政治に興味があるのは一部の限られた人で、多くの一般市民には「関係ない」みたいな雰囲気があるのです。

だからこそ、政治家がもっと分かりやすくメッセージを伝えたり、行政の難しい言葉を市民向けに「翻訳する」ことが大事になります。私もその一助になれるように今後も頑張っていきますね。

あとはやっぱり政治に関する教育ですね。先日、日南市のThe Nightというイベントで講師として登壇された中川敬文さん(都農町で中学生が主体となったまちづくりを手掛ける、https://note.com/keibun_nakagawa/)が子どもたちの政治リテラシーを上げていくことの重要性を話していました。「子どもたちが政治について質問すれば、親だってさすがに意識が高まるでしょ」(中川さん)。なるほどなーと思いました。

皆さん、政治は怖いものじゃありません。子どもたちにもちゃんとその重要性を伝えてきましょう。むしろ積極的に関わっていくことで、どんどん良いまちに変えてくことができるのです! 


備考

7月27日が「政治を考える日」なのはロッキード事件で田中角栄さんが逮捕された日からだそうです。ロッキード事件に関しては真山仁さんのロッキードという本に詳しいです。

これを読むと、政治を考えるというよりは、「マスコミと東京地検特報部の関係性を考える日」な気もしますが…。田中角栄というパワフルな政治家と、政治史に残る大事件「ロッキード事件」について理解を深めることができます。結構分厚いので、良い枕にもなります。

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